研究課題/領域番号 |
23K27031
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補助金の研究課題番号 |
23H02338 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菅野 里美 名古屋大学, 高等研究院, 准教授 (20586010)
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研究分担者 |
石崎 公庸 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00452293)
古川 純 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40451687)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | リン / 輸送体 / 元素イメージング / 植物栄養 / 根 / イメージング / リン酸応答 / リン酸輸送体 / リン酸応答遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
植物は生育に17種類の元素を要するが、それらの元素は土壌中に必ずしも潤沢に存在しないため作物栽培に施肥は必須である。施肥は経験的に 行われることが多く、土壌に投与した肥料がどれほど植物に吸収され、体内で分配・代謝されるかの理解は容易ではない。その答えを得るには 植物が過不足をどう認識し、吸収・分配を制御するのかを理解する必要がある。本研究は、栄養元素リンをモデルに、トレーサイメージング解析、化学形態の解析、遺伝子発現イメージング解析を統合し植物のリン酸輸送機構を検証する。将来的に他の元素(K、Fe、S等)への応用し、 作物栽培において低投入で高い生産性を目指す施肥設計への基礎的知見を得るものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、土壌に投与した肥料がどれほど植物に吸収され、体内で分配・代謝されるかを理解し、植物が一生のうちにどれほどの元素量を必要とするかについての答えを得るための基礎研究である。そのため、本研究は、植物が過不足をどう認識し、吸収・分配を制御しているのかを理解することを目指し、栄養元素のトレーサイメージング解析、リン酸の化学形態の解析、リン酸応答マーカー遺伝子の発現イメージを統合し植物のリン酸輸送機構を検証する。本研究ではリンに注目した解析を進めるが、将来的に他の元素(K、Fe、Sなど)への応用も可能である。 今年度は、本計画で使用する生体内の元素の挙動を解析系2つについて特許を出願した。どちらの解析系とも放射性同位体核種をトレーサとして使用し、放射線を蛍光体により可視光へと変換し、高感度のCMOSカメラによる検出系を基盤としている。シンチレータとCMOSカメラの間にシンプルなレンズ系を入れることでレンズによるシグナルロスを抑えながら拡大し細胞レベルの分解能を持たせた顕微鏡システムと、レンズを使わない高感度CMOS検出系と合わせて特許を出願した。技術について論文の執筆を進めた。 本実験では、シロイヌナズナとゼニゴケを使用する。シロイヌナズナでは、体内のリン酸量が異なるシロイヌナズナ個体でのリン酸挙動の違いについて解析、形質転換体の作成を進めた。ゼニゴケでは、データベースとRNAseqデータからリン酸輸送体の種類と発現部位について整理した。高等植物の根とは機能が異なると考えられている仮根において輸送体の得意的な発現がみられたことから、仮根のリン酸獲得能について生理学実験を進めた。先行研究で開発したCMOSイメージシステムを使って仮根先端に投与したトレーサの数十秒ごとの挙動を解析した結果、仮根からのリン酸吸収があることを示唆するデータが得られ研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼニゴケのリン酸輸送機構について、高等植物の根とは機能が異なると考えられている仮根において輸送体の得意的な発現がみられたことから、仮根のリン酸獲得能について生理学実験を進めた。先行研究で開発したCMOSイメージシステムを使って仮根先端に投与したトレーサの数十秒ごとの挙動を解析した結果、仮根からのリン酸吸収があることを示唆する新規性の高いデータが得られているため、。 体内のリン酸量が異なるシロイヌナズナ個体全体でのリン酸トレーサの挙動の違いについて解析するための根圏を壊さずに異なる組成の培地へ移植するプロトコルを確立できたため。 シロイヌナズナのリン酸応答性遺伝子のうち、リン酸に比例して発現量が増加する遺伝子のプロモーターをマーカーとし、生体内でのリン酸応答レベルをモニター観察するための形質転換体の作成を進めた。コンストラクトを作成し終えたため。
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今後の研究の推進方策 |
ゼニゴケの仮根の機能についてデータを引き続き取得する。輸送体の機能を脱共役剤やプロトンATPase阻害剤等の薬剤で失活させる、もしくは輸送体遺伝子の欠損株での実験データを追加して論文として報告することを目指す。 ゼニゴケについて、高等植物とは異なり維管束が無い中での体内輸送について研究を進める。そのための輸送体の変異体株の作出を行い、局所的に投与したリン酸トレーサの挙動解析方法により観察する。 シロイヌナズナについて、上記で確立した栽培方法を使い、体内のリン酸量と個体全体のリン酸トレーサの挙動の違いについてまとめる。qPCR実験を行い詳細な解析部分について絞り込むことを優先に進める。
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