研究課題/領域番号 |
23K27038
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補助金の研究課題番号 |
23H02345 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
森 智夫 静岡大学, 農学部, 准教授 (80536516)
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研究分担者 |
道羅 英夫 静岡大学, 理学部, 教授 (10311705)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 微生物間相互作用 / 複合微生物系 / 木材腐朽 / 白色腐朽菌 / 相互作用 / リグニン分解 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌との相互作用を利用した、遺伝子組換えに置き換わる新たな白色腐朽菌機能の制御技術を提案するべく、これまでに開発した複数の「木材腐朽活性が向上した白色腐朽菌-細菌複合微生物系」を基にして、まず、菌叢構造を変動させた二次複合微生物系を多種作出し、解析する事で白色腐朽菌機能に強く影響を与える細菌を選抜し、それら細菌との相互作用機構を解明する。次いで、明らかとなった相互作用機構を基にして選抜細菌および白色腐朽菌を用い複合微生物系を再構築し、白色腐朽菌機能を微生物環相互作用により制御する技術の開発を試みる。
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研究実績の概要 |
複数の「白色腐朽菌と自然界由来細菌叢からなる複合微生物系」から、寒天培地を用いて二次複合微生物系を作出し、それらの各種木材腐朽関連活性(酵素活性・資化特性等)を経時的に調査したところ、白色腐朽菌の木材腐朽自体を大きく阻害している二次複合微生物系が大半であった。しかし、一部の二次複合微生物系は腐朽特性に対し誘導・阻害効果を与えており、培養初期にリグニン分解が大きく進み、培養後期には特に多糖分解が著しく抑制されるという結果を得た。リグニン分解挙動については、リグニン分解酵素活性の変動と協調している用に見えたが、複合微生物系木粉培地におけるリグニン分解酵素活性は、白色腐朽菌単一培養時よりも常に高い活性値を示していたことから、リグニン分解酵素以外にリグニン分解に関与する要因が存在することが示唆される。この二次複合微生物系の菌叢構造解析は未実施であるが、培養初期と後期で大きく菌叢構造が変動していることが予測された。 また上記複合微生物系では、白色腐朽菌とは異なる条件でリグニン分解酵素活性が誘導されているなど、特徴的な特性を示していたことから、この二次複合微生物系の元となった複合微生物系から、成分組成の異なる寒天培地を用いて新たな二次複合微生物系を作出した。現在までに、予備的にこれら二次複合微生物系の寒天培地上における菌叢構成解析を実施し、それぞれの菌叢構造が異なっている可能性を示す結果を得ており、木材腐朽特性と菌叢構造解析に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
木粉培地上で継代した複合微生物系を寒天培地で継代した結果、大半の複合微生物系では木材腐朽特性が大きく抑制される予想とは異なる結果となったが、一部の複合微生物系とは白色腐朽菌単独培養時とは異なる木材腐朽特性を示しており、ここから二次複合微生物系を作成することで、菌叢構造の異なる複合微生物系を得ることに成功し、木材腐朽時の各種活性特性および菌叢構造の変動の調査を進める事が出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
計画の通りに、二次複合微生物系の木材腐朽特性や菌叢構造の経時的な変動を調査し、その後、菌叢解析データと各種活性データ値を基に細菌叢比較分析(細菌間の関連性を予測するネットワーク解析、各データ値と各種細菌群の存在量の関係を解析する冗長性分析等)を行い、白色腐朽菌のリグニン分解あるいは多糖分解能に対し、誘導的ないし抑制的な影響を与える可能性のある細菌種を予測する。また、リグニン分解酵素活性に影響を与える細菌の予測ならびに酵素活性誘導機構の調査も併せて行う予定。
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