研究課題/領域番号 |
23K27042
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補助金の研究課題番号 |
23H02349 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
光延 聖 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (70537951)
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研究分担者 |
白石 史人 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (30626908)
加藤 真悟 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 上級研究員 (40554548)
濱村 奈津子 九州大学, 理学研究院, 教授 (50554466)
徳永 紘平 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 人形峠環境技術センター, 研究職 (50814729)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | ヒ素 / 水田 / 微生物 / 土壌修復 |
研究開始時の研究の概要 |
水田土壌は、世界30億人以上に主食であるコメを提供する食糧生産地であり、アジア圏の人々にとって最重要な農業資源の1つである。しかし近年、水田環境を脅かす土壌汚染が日本を含めたアジア諸国で頻発している。本研究ではとくに、現在世界で最も深刻な水田汚染である「無機ヒ素による水田土壌汚染」を対象とし、① 申請者らが見出した水田土壌表層へのヒ素濃集現象の化学的・微生物学的メカニズムを解明し、②さらにこのヒ素濃集現象を応用した低コストかつ簡便な自然模倣型土壌浄化法の実証を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では現在世界で深刻な水田汚染である無機ヒ素による水田土壌汚染を対象とし、申請者らが初めて見出した水田土壌表層へのヒ素濃集現象の化学的・微生物学的メカニズムを解明し、さらにこのAs濃集現象を応用した低コストかつ簡便な自然模倣型土壌浄化法の実証を目指している。 2023年度は水田表層へのヒ素濃集現象メカニズムの解明を進めた。濃集が進んだ水田土壌コアの薄片を作成し、マイクロXAFS-XRF法により多元素分布を調べたところ、ヒ素の濃集部では鉄およびマンガンの濃集も観察された。鉄およびマンガンの化学状態を調べるとそれぞれFe(III)、Mn(IV)が多く含まれており、ともに元素吸着性の高い(表面積、表面電荷の大きい)鉱物体として存在していることが示唆されため、これらのFe/Mn鉱物がヒ素の吸着媒として作用している可能性について、今後研究を進める予定である。 また、濃集部におけるヒ素の化学状態を調べた結果、表層濃集部のヒ素価数は5価優勢であり、下部枯渇部でのヒ素価数は3価が多いことから、ヒ素の濃集にはヒ素の価数変化が大きな影響を与えていることが明らかになった。現在、ヒ素濃集部の微生物群集とヒ素代謝遺伝子量を調べており、ヒ素代謝に関連する微生物の存在がヒ素濃集に影響を与えている可能性について引き続き研究を進める予定である。 また、化学的なメカニズム解明については、新たな分析法の確立も進めていく。具体的にはマイクロXAFS法より高い空間分解能で元素化学状態を調べられる走査型透過X線顕微鏡(STXM法)の適用を考えている。STXM法はマイクロXAFS法とは異なり透過法であるため試料調製に工夫が必要であるため、現在水田土壌観察に特化した試料調製法について予備的な実験を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌条件を再現した室内実験法の確立も済んでおり、予定通り順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
実験室系の構築に加えて放射光を利用したマルチスケール分析によって、水田表層におけるヒ素濃集現象の化学的なメカニズム解明が進みつつある。今後は化学的メカニズムに加えて濃集現象に影響を与える微生物活動について研究を進める予定である
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