研究課題/領域番号 |
23K27057
|
補助金の研究課題番号 |
23H02364 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
堀内 浩幸 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (80243608)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
|
キーワード | 高病原性鳥インフルエンザ / 自然免疫 / ニワトリ / 宿主免疫応答 / ゲノム編集 / HPAIV / RIG-I / 抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
日本において,高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)は,養鶏業界の脅威となっており2022年度は過去最大の被害となり,鶏卵生産にも 影響がでている。本研究では,我が国ではHPAIV対策に使用できない獲得免疫機構(ワクチネーション)に頼らない自然免疫系に着目し,HPAIV感受性ニワトリ,抵抗性ニワトリや遺伝子改変ニワトリをモデルとして利用し,HPAIV感染対策に有効な自然免疫系関連遺伝子の解析を行う。最終的には,HPAIVに感染しない,もしくは感染してもウイルスを排出しないニワトリの育種へ活用する。
|
研究実績の概要 |
・タイ在来鶏由来系統Xは,その交配系により9種(A~J)を導入し,孵卵胚から胚線維芽細胞(CEF)を培養した。培養したCEFは,poly(I:C)の導入と非導入系の2種に分け,それぞれからゲノムDNAとmRNAの抽出を行なった。抽出したmRNAは逆転転写によりcDNAを合成し,PCRに供試した。その結果,交配系AとEにおいて,ゲノムDNAおよびmRNAからアヒルRIG-Iと相同性を有する塩基配列が検出された。 ・タイ在来鶏由来系統Xは,その交配系により9種から作出したCEFに対して,高病原性鳥インフルエンザ(HPAIV)分離株3種を感染させて細胞変性効果(CPE)とmRNAの抽出を行なった。CPEの観察では,感染24時間後から多くの細胞で細胞死に伴う培養器からの剥離が観察され,CPEの観察ができなかった。抽出したmRNAはcDNA合成まで終了させた。 ・感染実験用に搬入したRIG-I強制発現トランスジェニックニワトリ では,輸送中に糞尿に血液が混入していることが観察され,腸管からの出血が想定された。一方,野生型のニワトリ では糞尿での血液の混入は認められなかった。 ・感染依存的にRIG-Iを発現させるニワトリ の作出研究では,培養したニワトリ 始原生殖細胞(PGC)のMx遺伝子(マウスにおいてRNAウイルス感染時にRIG-Iと同様な発現パターンを示す)にCRIS-PITCh法を用いてMx遺伝子に共発現するようにRIG-Iをノックインした。ノックインしたPGCは,クローニング後,目的の位置にRIG-Iが導入されたものを選抜し,ニワトリの初期胚へ移植した。現在,移植胚から誕生した雛を育成中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に計画していたほぼ全ての研究計画を遂行することができた。 ・タイ在来鶏由来系統Xは,その交配系の9種(A~J)の中にRIG-I相同遺伝子が存在する可能性が明らかになった。 ・実際にHPAIVの感染実験をin vitroで行い,解析用試料を準備した。 ・常時RIG-Iを発現しているRIG-I強制発現トランスジェニックニワトリは,輸送などのストレスに応答して粘膜組織等での炎症を起こすことが推定された。 ・感染依存的にRIG-Iを発現させるニワトリ の作出研究は順調に進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
・タイ在来鶏由来系統Xは,その交配系によりRIG-Iの相同遺伝子の存在が示唆された。2024年度は2023年度に検出されたRIG-I相同遺伝子のゲノム構成,転写翻訳系の有無,自然免疫に機能するかどうかを明らかにする。 ・タイ在来鶏由来系統Xの交配系による遺伝的要因を9種(A~J)を用いて明らかにする。 ・RIG-I強制発現トランスジェニックニワトリの腸管粘膜細胞に着目し,RIG-Iの常時発系における炎症の更新を解析する。 ・感染依存的にRIG-Iを発現させるニワトリ の作出研究では,2024年度に10羽のG0世代からG1世代を作出し,RIG-I導入の有無まで確認する。
|