研究課題/領域番号 |
23K27061
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補助金の研究課題番号 |
23H02368 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大石 勲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副研究部門長 (50314472)
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研究分担者 |
迎 武紘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40803309)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2024年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | ニワトリ / 生殖工学 / 始原生殖細胞 / 遺伝子ノックイン / トランスジェニック / 細胞死誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
ニワトリは世界屈指の産業動物であり、数百もの品種が存在しています。我が国でも地域固有の地鶏などが多く知られていますが、飼育者の高齢化や鳥インフルエンザの影響により、希少品種が絶滅の危機に瀕しています。そこで、本研究ではニワトリ品種を確実に保全し、活用できる基盤技術の開発を目指して研究を行います。具体的には精子や卵子を殆ど作らないニワトリ品種を遺伝子工学により作出し、これを代理親として用いることで希少品種を凍結細胞から個体に再生可能にする技術開発を試みます。
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研究実績の概要 |
ニワトリは産業動物として重要性が高く、希少品種も含め世界中に200種以上の品種がある。しかし、希少品種は絶滅の危機にあり、その保全が急務である。また、ニワトリ遺伝子改変技術の進展により新たな系統の作出が期待される一方で、これらを含めたニワトリバイオリソースの保全技術も重要な課題である。 現時点で実用に最も近いのはニワトリ始原生殖細胞を用いたバイオリソースの保全である。発生初期に血液中に存在する始原生殖細胞は凍結保存が可能であり、ドナー細胞として別のレシピエント胚血液中に移植することで生殖巣キメラ個体を作出し、雄雌のキメラ個体を交配することで後代にドナー由来系統を得ることができる。この方法を成功させるには生殖巣キメラ個体におけるドナー寄与率を十分に高める必要があり、できればドナー寄与率を常に100%にできる技術が理想である。そこで、本研究ではレシピエントニワトリの生殖細胞の完全除去技術を開発、検証する。 本年度は生殖細胞特異的に薬剤誘導によって細胞死を引き起こすシステムの構築と検証を行った。生殖細胞特異的に発現するchicken vasa homolog (CVH)のC端に2Aペプチドを介して薬剤誘導性に細胞死を引き起こす蛋白質(inducible caspase-9; icasp9)を発現するノックインベクターを構築した。icasp9のcaspase9はヒト由来の物とニワトリ由来のものをそれぞれデザインし、ニワトリ始原生殖細胞を用いてCVHのエキソン17にあるCVHのC端にゲノム編集を用いた相同組換えにより遺伝子ノックインした。ノックイン細胞をケミカルインデューサー(AP20187)で処理したところ細胞死が誘導されたが、薬剤感受性はヒト由来caspase9を用いたものが有意に高く、これを用いたノックインニワトリ個体の作出を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞死誘導を起こすノックインベクターを2種類構築し、ニワトリ始原生殖細胞にノックインした。上述の通りCVHエキソン17にノックインすることで生殖細胞特異的なicasp9の発現を期待している。また、実際にノックイン細胞の細胞死誘導にも成功しており、0.01nMのAP20187で細胞死が観察されている。
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今後の研究の推進方策 |
ノックイン始原生殖細胞をドナー細胞としてレシピエント胚に移植し、生殖巣キメラニワトリを作出する。これを飼育、性成熟させ、後代にノックインニワトリを樹立する。ノックインニワトリ由来のicasp9発現胚をAP20187で処理し、生殖細胞の除去可能性を検討するほか、移植実験によるレシピエントとしての有効性を評価する。
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