研究課題/領域番号 |
23K27078
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補助金の研究課題番号 |
23H02385 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
保坂 善真 九州大学, 農学研究院, 教授 (00337023)
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研究分担者 |
田村 純一 鳥取大学, 農学部, 教授 (30221401)
岩崎 智仁 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (30305908)
尾嶋 孝一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60415544)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | エストロゲン / コンドロイチン硫酸 / 筋間質 / 間葉系前駆細胞 / 細胞分化 / 脂肪細胞分化 / 骨格筋間質 / 細胞外マトリクス |
研究開始時の研究の概要 |
骨格筋組織の間質は筋力伝達に重要だが、低エストロゲン状態では脂肪化や線維化が生じやすく、筋量や筋力低下の原因になる。間質内の間葉系前駆細胞(MPC)は、E2によってCS産生を変化させ、成長因子の制御をしていると考えているが、分子基盤は不明である。今年度は、ERの遺伝子発現を抑制したMPCを用いて、CS産生に関与するERを同定する。また、CSと成長因子の結合の解析ならびにCS合成酵素の発現調節細胞による解析も行い、MPC分化制御メカニズムの統合的理解を目指す。
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研究実績の概要 |
筋線維間(筋間質)の機能維持機構の理解のために今年度は次の実験を行った。 ①ラット間葉系前駆細胞(MPC)に対して、E2処理(1、10nM)を行い、細胞増殖と糖鎖合成・分解酵素遺伝子の変動を解析した。処理48時間後の細胞増殖性はE2の濃度依存的に上昇した。糖鎖(コンドロイチン硫酸: CS)合成・分解関連酵素遺伝子は、E2処理していない(0 nM)MPCでは培養開始48時間後にその発現量が上昇した一方、E2処理のMPCでは有意な低下を見せた。CS量もE2添加によって減少した。E2は未分化なMPCに対して、細胞増殖能を示す一方、糖鎖合成では負に働く可能性がある。 ②精巣除去(ORX)マウスの筋組織損傷後にE2を投与し、筋組織再生の様子を観察した。ORXにE2を投与すると筋線維断面積は損傷前とほぼ同レベルまで回復した。このときE2受容体の一つであるERβの発現量が上昇していたことから、雄マウスでも雌同様E2がERβを介して筋再生を進行させてていることが考えられた。興味深いことに損傷14日目の対照群(精巣除去せずに筋損傷)では筋間質が脂肪化していたが、ORX/E2では蓄積する脂肪はわずかであった。これに関する検討は今後必要である。 ③脂肪細胞分化過程でのCS含有量、平均分子量、CSの硫酸化パターンの変動を解析した。細胞内のCS量は、脂肪細胞への分化前と比較して分化後に有意に減少し、CS合成酵素遺伝子発現も低下した。脂肪細胞の糖鎖の分子量は分化前のそれよりも低値であった(短かった)。分化後の脂肪細胞でCS量が減少していたことから、脂肪細胞の分化にともないCS量が低下する、あるいはCS量が脂肪細胞の分化を制御する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋組織でのE2の影響を多面的に解析し、間葉系前駆細胞ならびに脂肪細胞へのE2の機能を解明することができた。また、脂肪細胞分化前後での糖鎖CSの詳細なプロファイルを明らかにすることで筋間質に認められる脂肪細胞の発生や形成を理解するための重要な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
①現在維持している2系統のERKOマウス(ERaKO, ERbKO)よりMPCを分離して実験を行う。1) CS産生を変動させる(関与する)ERアイソフォームを同定する。ERKO由来のMPCにE2刺激を与え、同細胞が産生するCSを解析する。2)ERKO-MPCを脂肪細胞と線維芽細胞へと分化誘導し、分化前後の増殖率、細胞内骨格の変化、細胞特異マーカー遺伝子の発現の変化等を解析、比較する。3)E2刺激後の2種類のERKO細胞を透過型電子顕微鏡で観察し形態学的特徴を把握する。 ②筋再生時のCSと成長因子との分子レベルでの結合を解析する。1)CSと成長因子(bFGFとTGFbを想定)の結合能を水晶発振子マイクロバランス(QCM)法で解析する。2)CSと成長因子および受容体を様々な条件で結合させ、結合定数と解離定数を解析する。3)CSと成長因子との複合体を培養メディウム中に加えて脂肪細胞や線維芽細胞へと分化誘導し、分化の程度も評価する。 ③E2刺激で変動が見られたCS合成酵素遺伝子の過剰発現あるいは発現抑制したMPCを作成する。これらを脂肪細胞や線維芽細胞へと分化させ、細胞分化へのCS(ならびにE2)との関係を明らかにする。
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