研究課題/領域番号 |
23K27086
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補助金の研究課題番号 |
23H02393 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
西垣 一男 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (20401333)
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研究分担者 |
三宅 在子 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (20548622)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 内在性レトロウイルス / 抗ウイルス分子 / ウイルス進化 / 生体防御 / 共進化 / ウイルス抵抗性因子 / SLC31A1 / SLC20A1 / レトロウイルス / FeLIX / 分泌性エンベロープ / 感染防御 |
研究開始時の研究の概要 |
人や動物の染色体DNAには、生命の進化の過程で強く保存された膨大な量の「内在性レトロウイルス(Endogenous retrovirus,ERV)」が存在している。それらの存在が、生命体においてどのような役割を果たしているのかほとんど解明されていない。その存在意義の解明に向けて研究を行う。本研究では、ERVによる抗ウイルス機構に焦点を当て、その機構が動物進化の過程において出現していることを解明し、「ERVによる抗ウイルス機構」という生命現象の科学体系を確立する。これら研究は、ウイルスによる生命の進化の解明に繋がる基礎研究であるが、感染症の新規予防法や治療法といった応用に繋がる研究である。
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研究実績の概要 |
1.ネコ白血病ウイルス(FeLV)は家猫に造血器系の病気を引き起こすレトロウイルスである。FeLVには様々な種類のウイルス株が存在する。例えば、FeLV-Aの感染受容体はTHTR1であり、FeLV-Bの感染受容体はリン酸の輸送体であるPitという分子である。家猫の間で伝播しているのはFeLV-Aで、家猫に感染した後、体内でウイルス遺伝子の組換えが生じることによって、FeLV-Bというウイルスが出現する。FeLV-Aとは異なり、FeLV-Bは家猫の間で伝播しない。そこで、この現象の解明を行った。FeLIXという分泌性のタンパク質がFeLV-Bのウイルス感染を阻止していることを発見した。FeLIXは内在性レトロウイルス(ERV)によってコードされ、ウイルスのエンベロープ遺伝子を起源とし、約70万年前に家猫の祖先に感染した古代ウイルスが由来であった。感染制御の機構は、FeLV-Bの感染受容体PitをFeLIXが覆い隠すことであった。テナガザル、コウモリ、コアラ由来のウイルスに対してもFeLIXは感染の抑制に効果を示した。FeLIXは感染防御因子として機能し、多様なレトロウイルスから家猫を守っていると考えられた。 2. 現代のレトロウイルスが家猫に感染することによって、古代レトロウイルスが復活し新たな病原ウイルスが複数出現することを突き止めた。人間や動物のゲノムには、古代に感染したレトロウイルスの残骸が散らばっており、ERVと呼ばれ、動物ゲノムの数%を占めている。ERV感染が起きたのは数万~数百万年前で、このダイナミックな時間軸で、ERVの病原性は抑え込まれてきた。本研究ではFeLVが感染した後、ERVとの遺伝子組換えによって新たなウイルスが複数にわたって出現しリンパ腫・白血病の発生に関与していることを明らかにした。ERVが病原性に深く関与していることを解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
目標となっていた研究項目の論文を発表することが出来たことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
1.霊長類や動物ゲノムに存在する内在性レトロウイルスの解析を進め、ウイルスの感染性や抗ウイルス活性を示す分子が存在するかどうか探索する。 2. FcERV-gamma4のウイルス遺伝子の多様性について検討する。 3. FcERV-gamma4 CS-sequenceの機能の探索を行う。
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