研究課題/領域番号 |
23K27088
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補助金の研究課題番号 |
23H02395 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
尾畑 やよい 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (70312907)
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研究分担者 |
池田 晋也 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 特任助教 (10966542)
外丸 祐介 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (90309352)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2025年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 卵母細胞 / 母性因子 / 胚発生 / 卵子形成 / 転写因子 / 発生能 |
研究開始時の研究の概要 |
卵母細胞成長過程では、受精や胚発生に必要な母性因子を卵細胞質に蓄積していく。そのため、成長期に移行した卵母細胞では転写・翻訳が爆発的に活性化される。一方、卵母細胞は成長前に休眠し非成長期で静止するが、卵母細胞の成長期への移行には転写因子Noboxが必須である。Noboxを欠損した卵母細胞は、成長期に移行できない。しかし、Noboxは成長期以降も卵母細胞で高発現しており、母性因子の転写に寄与している可能性がある。そこで本研究は、転写因子NOBOXの卵母細胞成長過程における役割を解明することを目的とし、NOBOXにより制御される母性因子群が受精後の個体発生に及ぼす影響も併せて解析する。
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研究実績の概要 |
本研究では、転写因子NOBOXの卵母細胞成長過程における役割を解明することを目的としNOBOXの機能喪失のためにオーキシンデグロン法を用いる。そのために、本年度は以下の研究を実施した。 1)トランスジェニックマウスの作製:オーキシン受容体遺伝子でありユビキチンリガーゼE3複合体の構成因子であるTIR1遺伝子OsTIR1 (F74G)をニワトリアクチン遺伝子(CAG)のプロモーターで過剰発現するためのベクターを構築した。現在までに誕生したトランスジェニックマウスでは、OsTIR1の発現が低いことから、引き続きトランスジェニックマウスの作製を行う必要が残された。 2)ノックインマウスの作製と繁殖:ゲノム編集により、TIR1との結合が誘導される最小デグロン配列 mAID(204 bp)、加えてNOBOXを検出するためのFLAG Tagsの配列(66 bp)をNobox開始コドン直下にノックインし、ヘテロ型ノックイン(mAID+/-)マウスを得た。現在、founderマウスと野生型マウスの交配により1世代目が誕生している。 3)プロモーターアッセイ系の樹立:NOBOXはGdf9遺伝子のプロモーターに結合し転写を制御することが報告されている。本研究ではNOBOXが未知の標的遺伝子のプロモーターに結合し転写を制御しうるか否かを解析していく必要がある。そこで、Gdf9プロモーター領域をルシフェラーゼアッセイ用のプラスミドにクローニングし、これとNobox発現ベクターをHEK293細胞に導入した。NOBOXがGdf9プロモーターを活性化することが確かめられ、他の遺伝子のプロモーターをアッセイする実験系は樹立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、mAIDおよびFLAG Tagsノックインマウスの作製は完了し、交配により次世代を得ていることから、この点は当初の計画通りに進行している((2)の実験)。一方、OsTIR1トランスジェニックマウスは誕生してきているが、現在、より発現量の高いトランスジェニックマウスラインの作製を試みており((1)の実験)、そのため、当初予定していたトランスジェニックマウスとノックインマウスの交配はまだ行われていない。一方、トランスジェニックマウスの作製と並行して、2年目以降に予定していた、プロモーターアッセイ系の樹立を行うことができた((3)の実験)。そのため、本研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
転写因子NOBOXの卵母細胞成長過程における役割を解明することを目的とし、今後は以下の研究を推進する。 1)トランスジェニックマウスの作製と繁殖:オーキシン受容体遺伝子でありユビキチンリガーゼE3複合体の構成因子であるTIR1遺伝子OsTIR1(F74G)をニワトリアクチン遺伝子(CAG)のプロモーターで過剰発現するヘテロ型トランスジェニック(OsTIR1+/-)マウスをC57BL/6系統で作製し、繁殖する。 2)mAIDおよびFLAG Tagsノックインホモ型マウスの作製と雌の妊孕性およびNOBOXの発現確認:ノックインした配列そのものが卵母細胞形成に影響しないことを検証する。また、ノックインマウスにおいて卵母細胞形成過程のどの時期にNOBOXが発現しているかを解析する。 3)オーキシンデグロン駆動(OsTIR1+/-; mAID+/+)マウスの産生:1)と2)のマウスの交配により(OsTIR1+/-; mAID+/-)マウスを産生する。さらに、これらの兄妹交配あるいは(mAID+/-)マウスとの交配により、(OsTIR1+/-; mAID+/+)マウスを産生する。 4)オーキシンデグロン駆動(OsTIR1+/-; mAID+/+)マウス卵母細胞におけるNOBOXの機能解析:(OsTIR1+/-; mAID+/+)マウスの卵巣および卵胞を採取し、体外培養を行う。培地にオーキシンのアナログである5-Ph-IAAを添加し、NOBOXを時期特異的に消失させ、卵母細胞の遺伝子発現や成長に及ぼす影響を解析していく。また、レポーターアッセイやChIP-qPCRにより、NOBOXにより転写が制御される遺伝子を同定する。
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