研究課題/領域番号 |
23K27096
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補助金の研究課題番号 |
23H02403 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小倉 淳郎 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 室長 (20194524)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2026年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | ハムスター / ゲノム編集 / ノックアウト動物 / ノックイン動物 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、マウスおよびラットに次いて、小型げっ歯類実験動物として優れた特性を有するゴールデンハムスターのゲノム編集技術(ノックアウトおよびノックイン)を開発し、その実験動物としての有用性を高めるとともに、新たな遺伝子機能の解明、および実験モデルを開発する。本研究の成果は、マウス・ラットでは進めることが困難であった医学生物学研究の推進を加速すると期待される。
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研究実績の概要 |
遺伝子改変動物は、現代の医学・生物学研究における必須の解析ツールである。特にマウスは、その実験動物としての数々の利点によって、最も数多くの改変系統が生み出されている動物種である。しかし一部の研究分野では、生理や代謝の特殊性によりマウスは必ずしも最適なモデルではなく、さらに、一定の比率で生じる無表現型のノックアウト(KO)マウスは、その遺伝子機能の過小評価につながっている可能性がある。そこで本研究では、ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)に着目し、その容易な飼育・繁殖、多産、哺乳類最短の世代交代、マウス・ラットと異なる分類(科)という特長を活かすために、応募者が確立したノックアウト(KO)動物作出技術のノウハウを活用し、ハムスターの汎用実験動物としての基盤を高度化を目指す。主な課題は、①ノックイン(KI)系統作出、②安定した凍結保存の確立、③喫緊のKOハムスター系統の作出である。本研究の成果により、ハムスターが、マウスのギャップを埋めるsecond choiceの研究モデルとしての地位を確立し、遺伝子改変ハムスターが我が国の独創的な医学・生物学研究の発展を加速するものと期待される。①i-GONAD法を用いたハムスターKI 技術の開発では、ドナーDNAの透明帯通過のために透明帯を薄くする還元型グルタチオンを導入したが、ドナーDNAは導入されなかった。②胚・精子凍結保存技術の開発では、ハムスター胚は極度に紫外線や可視光(特に短波長)に弱いため、蛍光灯の光を遮った実験台を整備し、胚のガラス化保存を試みたところ、凍結胚由来の産子が生まれた。今後さらに例数を増やす予定である。③喫緊のKOハムスターの開発では、新たに免疫系の遺伝子のKOハムスターを2系統作出した。現在、その表現型を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①i-GONAD法を用いたハムスターKI 技術の開発:i-GONAD法を用いたハムスターKI 技術の開発のためには、ドナーDNA が受精卵の核まで到達しなければならない。これまでのハムスターを用いた研究では、電気によりCas9タンパク質は透明帯を通過するが、mRNA は通過しないことがわかっている。このため、ドナーDNAの透明帯通過には多くの困難が伴うと予想される。そこで、卵管内に透明帯を薄くする還元型グルタチオンを導入し、透明帯を緩めた後にiGONAD法を試みたが、ドナーDNAは導入されなかった。 ②胚・精子凍結保存技術の開発:樹立したKO/KI ハムスター系統を安全かつ効率的に保存するための胚凍結保存技術を開発した。ハムスター胚は極度に紫外線や可視光(特に短波長)に弱いため、蛍光灯の光を遮った実験台を整備し、胚のガラス化保存を試みたところ、凍結胚由来の産子が生まれた。今後さらに例数を増やす予定である。精子の凍結保存は、凍結液や融解条件を数多く試みた結果、体外受精の成功に至っている。しかし、ハムスター胚は体外で容易に発生停止するため、産子を得るまでに至っていない。今後、卵子に影響を与えにくい条件を検討する必要がある。 ③新たなKOハムスターの開発:新たに免疫系の遺伝子のKOハムスターを2系統作出した。現在、その表現型を解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
①i-GONAD法を用いたハムスターKI 技術の開発では、2023年度は、いきなり卵管内への還元型グルタチオンの導入実験を行ったので、in vitro で条件設定を進める予定である。あた、AAV の導入も試みる。②胚・精子凍結保存技術の開発では、胚の凍結保存はほぼ確立したが、ブリーダーにおけるハムスターの SPF 化の影響なのか、体内受精効率が極端に低下している。新たな系統の導入も検討したい。精子の凍結保存は、凍結液や融解条件を数多く試みた結果、体外受精の成功に至っている。しかし、ハムスター胚は体外で容易に発生停止するため、産子を得るまでに至っていない。今後、卵子に影響を与えにくい条件を検討する必要がある。③新たなKOハムスターの開発は順調に進んでいるが、やはり受精率と妊娠率が低く、さらに食殺率が高いため、効率が非常に悪い。今後、新しい系統ハムスターの導入などにより、基本的な繁殖成績を高めて、ゲノム編集を実施する。次は受精に関わる遺伝子のKOを進める予定である。
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