研究課題/領域番号 |
23K27110
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補助金の研究課題番号 |
23H02417 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊東 孝祐 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20502397)
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研究分担者 |
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
真柳 浩太 九州大学, 薬学研究院, 講師 (50418571)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 結核菌 / 休眠 / X線結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡解析 / 遺伝情報発現 / 代謝 / クライオ電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
我々はこれまで、結核菌の休眠を誘導する鍵分子である増殖制御因子が、遺伝情報発現に関わる様々な因子と直接相互作用し、それら因子の活性を制御していることを明らかにしてきた。本研究では、それら遺伝情報発現に関わる因子と増殖制御因子との複合体の立体構造を、X線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡解析により明らかにする。そして、その結果を基に生化学的解析や結核菌を利用した解析を行い、増殖制御因子が休眠を誘導する仕組みを原子分解能レベルで明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
結核菌は、今でもなお年間150万人以上の尊い命を奪っている脅威の病原菌である。現在、様々な抗結核薬が存在するが、結核菌は休眠して薬剤の標的代謝を停止させ、薬剤に抵抗する能力を有する。そのため、結核菌の休眠誘導機構の解明は、結核根絶のための重要な研究課題の一つである。 我々はこれまで、休眠誘導において鍵となるタンパク質 (以下、休眠制御因子) を同定し、この休眠制御因子が遺伝情報発現や代謝等に関わる様々なタンパク質と相互作用することを明らかにしている。本研究は、これらタンパク質と休眠制御因子との複合体の立体構造を、X線結晶構造解析とクライオ電子顕微鏡で明らかすることを目的としている。本研究は、結核菌の休眠能、すなわち薬剤抵抗能を剥奪する新規薬剤の開発に大きく貢献する研究である。 我々は本年度、休眠制御因子とDNA複製関連タンパク質との複合体の構造解析に取り組んだ。まず、生化学実験によって、休眠制御因子とDNA複製関連タンパク質との相互作用に関与するドメインを同定した。そして、それらドメインを混合して結晶化を行い、X線回折データを取得した。構造計算の結果、DNA複製関連タンパク質の電子密度に加え、休眠制御因子の一部と考えられる電子密度を取得することができた。現在は、この電子密度が休眠制御因子のものなのか確かめるため、部位特異的変異体を作製して相互作用実験を行っている。また、ドメイン分割体のみならず、タンパク質全長での構造解析に向けて、クライオ電子顕微鏡解析もスタートしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、休眠制御因子とDNA複製関連タンパク質について、生化学的実験により相互作用に関与するドメインを同定した。そして、それらドメインの混合物から結晶を得ることができた。また、その結晶を利用してX線回折データを取得し、構造計算を行って電子密度を取得することにも成功している。得られた電子密度を精査した結果、DNA複製関連タンパク質の電子密度に加え、休眠制御因子の一部と考えられる電子密度が観測できた。そして、この電子密度が休眠制御因子のものなのか確かめるため、部位特異的変異体を作製して相互作用実験を行っている。また、ドメイン分割体のみならず、タンパク質全長での構造解析に向けて、クライオ電子顕微鏡解析もスタートしている。以上のように、およそ計画通り研究が進行していることから、「概ね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
休眠制御因子とDNA複製関連タンパク質の複合体のX線結晶構造解析については、精密化計算を続行するとともに、部位特異的変異体を使用した相互作用解析の続きを行う。また、クライオ電子顕微鏡解析により、タンパク質全長の構造解析も行う。また、我々は、休眠制御因子がDNA複製関連タンパク質だけでなく、転写関連タンパク質、翻訳関連タンパク質、代謝関連タンパク質とも相互作用することを見出した。よって今後は、これらのタンパク質と休眠制御因子との複合体の構造解析を行う。そのために、まず各タンパク質について、休眠制御因子との相互作用に関与するドメインを、ドメイン分割体を利用した相互作用解析により調べる実験を行う。
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