研究課題/領域番号 |
23K27115
|
補助金の研究課題番号 |
23H02422 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松木 陽 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (70551498)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2026年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
|
キーワード | 動的核偏極(DNP) / 固体NMR / GPCR / 蛋白質構造アンサンブル |
研究開始時の研究の概要 |
G蛋白質共役受容体(GPCR)のような、柔らかな構造ゆらぎを基盤にしてプロミスカスな機能を発現する蛋白質の構造研究は既存の方法では制限も多く、作動機序の理解が遅れている。本研究では、極低温・動的核分極(DNP)固体核磁気共鳴(NMR)法に基づく新しい方法で、GPCRとその共役蛋白質双方について構造アンサンブルの分布を原子分解能で観測し、ゆらぎを介した信号伝達の物理的・構造的根拠を明らかにする。構造ゆらぎは周囲の化学・物理環境に敏感であるから、細胞内の多価的・分子夾雑環境を再現する試料調製法も確立する。
|
研究実績の概要 |
最終標的蛋白質のGPCR(β2アドレナリン受容体=β2AR)について、無細胞系発現・精製・調製法を改良した。安定化蛋白質と変異の導入で活性蛋白質収量の向上に成功した。また正しいSS結合を維持する無細胞合成系の最適化を行った。蛍光リガンドによる結合活性の定量のため、蛍光性の作動薬合成を行い、単離精製作業の効率向上を図っている。並行して合成した蛍光リガンド分子とβ2AR分子の結合モードをMDシミュレーションで確認した。固体NMR試料管へのパッキングを向上するのに、治具の改良を行った。1H観測多次元測定や、化学シフト異方性を検出して蛋白質の品質管理を行うシーケンスを設計し、テストを進めた。 高次元・残基間相関用の背景信号除去を行う新手法を開発し、観測信号の質向上を目指した最適化を行った(論文で公表)。最適制御理論に基づいた信号帰属技術を開発し、解析の効率化を図った(論文で公表)。装置の長期安定性を向上するために、微小な磁場不均一性を補正するシム電源の改良を行った。 構造アンサンブルの計算科学的解析法については、データベースマイニングに則る基礎的な手法を確立し、αシヌクレインの液液相分離(LLPS)状態ドロップレット中の構造アンサンブル解析や、バイオ医薬品抗体分子のヒンジ領域の構造分布解析でテストを始めた。よりGPCRの解析に有用な解析法に発展させるため、QM/MMアプローチに基づく、活性部位周辺のde novo化学シフト計算の検討を始めた。 以上より、モデル系、標的蛋白質試料ともに試料調製、DNP-固体NMR測定法、解析法、いずれについても計画に沿って順調に発展させ、膜蛋白質の二重膜中、構造アンサンブル解析の基盤作りを進展させた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画にどおり最終標的蛋白質GPCR(アドレナリン受容体)の無細胞合成法の改良が進んだ。リガンド合成、試料パッキング法、DNP測定・解析法いずれについても順調に発展している。
|
今後の研究の推進方策 |
計画通りすすめる。リガンド結合活性の定量化を進め、構造アンサンブル情報取得のための計算科学的方法論を発展させ、分極剤の送達法を研究する。これらによりGPCRへ応用可能なレベルに試料と技術を近づける。
|