研究課題/領域番号 |
23K27126
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補助金の研究課題番号 |
23H02433 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
嘉村 巧 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40333455)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | タンパク質分解 |
研究開始時の研究の概要 |
ユビキチン・プロテアソーム系を介したタンパク質分解は、様々な生命現象に重要な働きをしていることが明らかになり注目を集めている。最近われわれは出芽酵母ユビキチン化酵素Dma1およびDma2が、ミトコンドリアとミオシンを繋ぎとめている留め具タンパク質Mmr1を娘細胞内で分解することにより、母細胞から娘細胞へ運ばれたミトコンドリアのミオシンからの解離を誘導することを報告した。本研究では、Dma1およびDma2の更なる機能解明、および出芽酵母SCF複合体を中心としたユビキチン化酵素の新たな機能解明を行ない、最終的にはユビキチン依存性タンパク質分解という観点から様々な生命現象を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ユビキチン・プロテアソーム系を介したタンパク質分解は、様々な生命現象に重要な働きをしていることが明らかになり注目を集めている。この分解系では、基質特異性を決めるユビキチンリガーゼが中心的な役割を担っている。出芽酵母には約100種類のユビキチンリガーゼが存在しており、それらの機能解明は重要な研究課題である。最近われわれは出芽酵母ユビキチンリガーゼDma1およびDma2が、ミトコンドリアとミオシンを繋ぎとめている留め具タンパク質Mmr1を娘細胞内で分解することにより、母細胞から娘細胞へ運ばれたミトコンドリアのミオシンからの解離を誘導することを報告した。そこで本研究では、Dma1/2の更なる機能解明を目的に研究を進めている。まず質量分析法によりDma2と相互作用するタンパク質の検索を行い、Dma1とユビキチンリガーゼであるSkp2を同定した。免疫沈降法を用いて、Skp2とDma1やDma2が内在性のタンパク質発現レベルで結合することが明らかにした。また二倍体細胞株を用いた免疫沈降実験で、Dma1、Dma2がそれぞれホモマルチマーを形成すること、さらにDma1とDma2でヘテロマルチマーを形成することを明らかにした。次にSkp2とDma1/2はともにユビキチンリガーゼであることから、互いに分解しあう可能性が示唆されたが、欠失株を用いた実験により、それぞれのタンパク質の分解には関与していないことを明らかにした。さらにSkp2、Dma1/2のDNA修復応答における働きを調べるために、MMS、Zeocin、HUといった3種類のDNA損傷薬剤を加えたプレートで酵母スポットアッセイを行った。その結果、これらのタンパク質が協調してDNA修復応答に関与していることを明らかにした。現在これらの応答の分子機構を解析している最中である。また同時にSCF複合体に関する新たな基質を同定し解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、Dma1/2の更なる機能解明を目的に研究を進めている。まず質量分析法によりDma2と相互作用するタンパク質の検索を行い、Dma1とユビキチンリガーゼであるSkp2を同定した。免疫沈降法を用いて、Skp2とDma1やDma2が内在性のタンパク質発現レベルで結合することが明らかにした。また二倍体細胞株を用いた免疫沈降実験で、Dma1、Dma2がそれぞれホモマルチマーを形成すること、さらにDma1とDma2でヘテロマルチマーを形成することを明らかにした。次にSkp2とDma1/2はともにユビキチンリガーゼであることから、互いに分解しあう可能性が示唆されたが、欠失株を用いた実験により、それぞれのタンパク質の分解には関与していないことを明らかにした。さらにSkp2、Dma1/2のDNA修復応答における働きを調べるために、MMS、Zeocin、HUといった3種類のDNA損傷薬剤を加えたプレートで酵母スポットアッセイを行った。その結果、これらのタンパク質が協調してDNA修復応答に関与していることを明らかにした。現在これらの応答の分子機構を解析している最中である。また同時にSCF複合体に関する新たな基質を同定し解析中である。 このようにDma1/2及びSCF複合体の新規機能の解明が進んでいるため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
(A)Dma1およびDma2の更なる機能解析 ミトコンドリア輸送に加えてDma1およびDma2は、セプチンリング形成や紡錘体の整列への関与、さらにはSwe1、Pcl1、Vac17へのユビキチン修飾が報告されているので、Skp2がDma1およびDma2を介して如何にこれらに影響するかを検討する。 (B)出芽酵母SCF複合体を中心としたE3の新たな機能解析 1. 新規基質のE3による認識機構の解析 基質がE3により認識される際にはリン酸化などの修飾が認められ、E3欠失株でそれらの修飾が蓄積することが一般的である。質量分析でE3欠失株において増えている修飾およびその部位を同定する。2. 新規基質に対する試験管内ユビキチン化反応の検討 野生型あるいは1.で同定した修飾部位に変異を持つ基質を大腸菌で発現させリコンビナントタンパク質を精製する。バキュロウイルス発現系を用いてE3を精製し、ユビキチン化反応に必要な酵素E1とE2そしてユビキチンさらにATPを加え基質と反応させ、試験管内で基質へのユビキチン化反応を起こすことができるかどうかを検討する。野生型基質はユビキチン化されるのに対し、変異型基質はユビキチン化されないことが予想される。3. 新規基質に対する細胞内分解の検討 2.の試験管内ユビキチン化反応により得られた情報を細胞内で確認する。野生型あるいは変異型の基質とE3を出芽酵母に発現させ、基質に対する抗体を用いて免疫沈降する。SDS-PAGEで展開した後、抗ユビキチン抗体でウェスタンブロットを行う。また、シクロヘキシミドチェイス法により基質の半減期を測定する。4. 新規基質の分解制御による細胞生物学的影響の検討 E3の過剰発現あるいは発現抑制によって基質の発現を制御することにより、どのような細胞生物学的変化が現れるかを解析する。
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