研究課題/領域番号 |
23K27131
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補助金の研究課題番号 |
23H02438 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 勉 九州大学, 薬学研究院, 教授 (70264059)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | DNA複製 / 複製開始複合体 / 染色体 / 細胞周期 / 試験管内再構成 |
研究開始時の研究の概要 |
染色体DNAの複製開始反応は、細胞周期の制御や環境に応じた細胞増殖の制御とも連係している。そのためこの反応そのものの分子メカニズム、および、その制御システムの解明は、細胞の増殖や恒常性維持の分子機構の理解にも重要となる。さらにそれらの進化の理解のためにも重要となる。代表者は世界最先端で大腸菌染色体の複製開始反応の分子メカニズムとその制御システムを明らかにしてきた。本研究ではそのような成果を基にして複製開始メカニズムの進化的普遍性と多様性を解析し共通原理の解明を進める。また複製開始制御システムが細胞周期と連係する分子機構の解明を進める
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研究実績の概要 |
1. 複製開始複合体の機構の普遍性と多様性---大腸菌の複製開始複合体は、複製起点oriC, 複製開始タンパク質DnaA、DNA屈曲タンパク質から形成される。本年度は、進化的に最も保存性の高いDNA屈曲タンパク質HUによる複製開始メカニズムを解明し、大腸菌などが特有に持つIHFタンパク質と比較し機能的な普遍性と多様性を明らかにした。加えてDnaAとoriCの構造における機能構造相関も解明した。 2. 複製ヘリカーゼ装着の分子機構と制御機構---複製ヘリカーぜの装着機構では、まず、1段階めでDnaBが開始複合体に安定に結合する。このメカニズムは過去に解明した。次の2段階めとなる動的な相互作用によってDnaBがoriC開裂領域に装着されるが、このメカニズムは不明である。本年度は、この段階に重要となるDnaBの機能構造の解析を進めた。 3. DARSシステムの分子機構と制御機構---DARS2はDnaAを適時的に活性化するDNA因子である。DARS2-IHF-Fis複合体が適時的に形成されDnaAを活性化する。DARS2-Fis結合の制御機構については過去に解明した。本年度はDARS2-IHF結合の動的制御に重要な因子を生化学的および分子遺伝学的な手法によって探索し、複数の重要因子を明らかにした。 4. DDAHシステムの分子機構と制御機構---datAはDnaA を適時的に不活性化するDNA因子である。 datA-IHF複合体が適時的に形成されDnaAを不活性化する。適時的なIHF結合・解離の制御には複数の未知因子が必要である。本年度は、これらの同定・解析を進め、1つの因子がdatA部位のRNAポリメラーゼによる転写反応であることが明らかとなった。 以上の成果は独自性が高く、複製開始機構の普遍性・多様性の理解、および、開始制御機構の理解のため重要な意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DNA屈曲因子HUによる複製開始メカニズムが解明され、国際的に評価の高いジャーナルで論文発表に至った。DnaAとoriCの構造(開裂部位、DnaA結合部位の配置と配向)における多様性が合理的に理解できるようになり、論文発表を行なった。DnaBヘリカーゼ装着の分子機構についても計画していた実験によるデータが十分得られ、具体的な機構モデルが想定できるようになり、その検証も進んできた。datA-IHF複合体の解離に必要となるdatA領域の転写機構が明らかとなり、論文発表に至った。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って順調に進展しているため、本年度の新たな成果にもとづいて、今後さらに推進してゆく。
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