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イオンポンプ蛋白質作動機構の構造的理解の完成とその高次機能の構造生物学への発展

研究課題

研究課題/領域番号 23K27136
補助金の研究課題番号 23H02443 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分43040:生物物理学関連
研究機関東京大学

研究代表者

豊島 近  東京大学, 定量生命科学研究所, 特任教授 (70172210)

研究分担者 金井 隆太  東京大学, 定量生命科学研究所, 特任講師 (50598472)
西山 尚志  東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (30647011)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
キーワード構造生物学 / イオンポンプ / 膜蛋白質 / 能動輸送 / クライオ電子顕微鏡 / 原子構造 / 作動機構 / クライオ電顕 / 結晶解析
研究開始時の研究の概要

イオンポンプを代表するCa2+ポンプとNa+ポンプに関し原子構造に基づく作動機構の理解の完成を目指す。既に多数の反応中間体の原子構造を決定したが、中間体間の構造変化が大きすぎるため、構造変化の機構を理解できない部分がある。立体障害を導入した人工的中間体の創生や、蛋白質分解酵素によってドメイン間のリンクを切断した構造を決定しその解決を図る。一方で、ポンプ蛋白質は細胞膜裏打ち蛋白質までもその活性化に利用しているらしいこと、脂質環境や複合体形成によって機能が大きく変化することがわかってきた。本研究では、ポンプ蛋白質の原子構造から高次構造、高次機能の構造生物学への発展を目指す。

研究実績の概要

本研究はイオンポンプを代表するCa2+ポンプとNa+ポンプに関し、その作動機構の原子構造に基づく理解を完成することを目指している。
(a)Ca2+ポンプ作動機構の構造的解明:膜内に隔離したCa2+を内腔側に放出する過程、すなわちE1P.ADP.2Ca2+からE2Pに至る過程は、構造変化が大きすぎるためにそのメカニズムがよくわからなかった。そこで、その間に位置する人工的中間体を創出するために、立体障害の導入を試みた。立体障害としては側鎖レベルから二次構造要素等広く考えられるが、まずは点変異体から始め、4つの変異体を設計し、長時間の分子動力学計算によって安定性を検討するとともに、実際に高等動物培養細胞にて大量生産し、蛋白質分解酵素を用いた部分分解によるfoldingの検討を行った。そのうち2つについてはクライオ電顕による予備的検討を終えた。一方で、これまでに得た結晶解析データの見直しと高分解能化を行い、E1.ATP.2Ca2+ -> E1P.ADP.2Ca2+における燐酸転移とE2P -> E2におけるgating機構に関し、重要な知見を得ることができた。
(b)Na+ポンプの構造生物学:X線結晶解析によるE1.3Na+状態の原子構造に関する論文を発表した。また、ポンプをチャネルに変える海産毒素パリトキシンとの複合体の構造決定を進め、チャネル化した状態のクライオ電顕による構造決定にも成功した。現在論文を執筆中である。さらに、adducinやカベオリンとの複合体の構造決定に向け、両者の大量生産を行う系を確立できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

Ca2+ポンプ、Na+ポンプの両方の研究で予想より進展している。Ca2+ポンプに関しては燐酸転移に係る高分解能結晶構造解析が予想外の進展を見せており、Na+ポンプに関しては海産毒物パリトキシンによるイオンポンプのチャネル化の機構を明らかにでき、非常に困難と予想していたパリトキシンそのものの原子モデル構築をも完成できたからである。これら2つのポンプの構造的・機能的違いと共通の作動原理も、予想以上に明らかになった。

今後の研究の推進方策

(a)Ca2+ポンプ作動機構の構造的解明:人工的中間体創出に関しては系を確立できたので、中間体の系統的な生成に向けて、挿入位置、挿入配列の最適化を試みるとともに、実際の構造決定に挑戦する。E1.ATP.2Ca2+ -> E1P.ADP.2Ca2+における燐酸転移に関しては、そのメカニズムに迫れるデータが得られつつあるので、結晶化条件、データ収集のタイミング等の最適化を図り、高分解能データを収集する。
(b)Na+ポンプの構造生物学:パリトキシンとの複合体によるポンプのチャネル化の論文を完成することが第一目標である。また、E2P状態にK+が結合することによる細胞外側ゲートの開閉機構に関する重要な知見を得たので、その出版が次の目標である。一方で、adducinやカベオリンとの複合体をナノディスクに再構成し、構造決定を試みる。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Aarhus University(デンマーク)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] The role of the C-terminal tail region as a plug to regulate XKR8 lipid scramblase2024

    • 著者名/発表者名
      Sakuragi Takaharu、Kanai Ryuta、Otani Mayumi、Kikkawa Masahide、Toyoshima Chikashi、Nagata Shigekazu
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 300 号: 3 ページ: 105755-105755

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2024.105755

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Crystal structures of Na+,K+‐ATPase reveal the mechanism that converts the K+‐bound form to Na+‐bound form and opens and closes the cytoplasmic gate2023

    • 著者名/発表者名
      Kanai Ryuta、Vilsen Bente、Cornelius Flemming、Toyoshima Chikashi
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: 597 号: 15 ページ: 1957-1976

    • DOI

      10.1002/1873-3468.14689

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Na+,K+-ATPaseのNa+選択性の構造的理解2023

    • 著者名/発表者名
      金井隆太、Bente Vilsen, Flemming Cornelius, 豊島近
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 陽チャネル化したNa+,K+-ATPaseの構造解析2023

    • 著者名/発表者名
      金井隆太、Bente Vilsen, Flemming Cornelius, 豊島近
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 東京大学定量生命科学研究所・先端定量生命科学研究部門・膜蛋白質解析研究分野

    • URL

      https://www.iqb.u-tokyo.ac.jp/lab/toyoshima/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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