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両方向性の分子モーターを創って生物分子モーターの動作原理を理解する

研究課題

研究課題/領域番号 23K27150
補助金の研究課題番号 23H02457 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分43040:生物物理学関連
研究機関国立研究開発法人情報通信研究機構

研究代表者

古田 健也  国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 研究マネージャー (40571831)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2026年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード生物分子モーター / パワーストローク / ラチェット / ATP加水分解酵素 / タンパク質デザイン / ブラウンラチェット
研究開始時の研究の概要

生物分子モーターは、化学エネルギーを直接運動エネルギーに変えることができる驚異的なエネルギー変換器である。構造や酵素反応の解析、一分子計測などは大きく進んだものの、一方向性運動を起こすメカニズムの統一的な理解には至っていない。そこで本研究では、2011年に発見された運動方向を切り替えることができる両方向性の分子モーターをヒントに、これとは全く異なる分子を材料として、同様の機能を持つ分子モーターを合理的な設計によって作製する。これが実際に設計通りに動作することを実験的に示すことによって、生物分子モーターが堅牢で効率的な一方向性運動を実現するメカニズムを明らかにする。

研究実績の概要

ATP加水分解能を完全に失ったキネシン頭部の変異体を、ダイニンの微小管結合部位の代わりに挿入した新しい分子モーターに関して、これらをガラス基板上に固定して微小管の滑り運動を観察した。モーター密度を変えながら運動速度の詳細なデータを取ったところ、当初に想定された通り、モーター密度に依存して運動方向をスイッチする現象が確認された。つまり、モーター密度が薄いときはマイナス端方向性の運動を起こすが、高密度域ではプラス端方向性の運動を示した。これは、分子の密度に依存して、共存する2つの運動メカニズムのうちのどちらか一方が、より顕在化し、運動方向を切り替えたことを意味している可能性がある。この仮説をさらに検証するため、ダイニンの運動方向性を逆転させた先行研究(Can et al., Nature 2019)で使われていた酵母の細胞質ダイニンの変異体をそのまま用いて、モーター密度を変えることによって運動方向が切り替わるかどうかを調べた。当該の論文では、変異によってパワーストロークの方向を逆転させたところ、逆方向のプラス端に運動するモーターになった一方で、微小管から解離しやすい方向のバイアスはマイナス端方向のままであったことから、ダイニンの運動方向はパワーストロークの向きで決まると結論付けた。しかし、我々が全く同じ変異体を用い、モーター密度を上げていったところ、運動方向がプラス端からマイナス端にスイッチしたことから、パワーストロークの向きで決まる運動メカニズムとは別の運動メカニズムによる運動が観察された可能性があると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画で想定された通りの結果が出ており、申請書に記載の年度計画と比較してほぼ遅延が無く順調に進んでいるため。

今後の研究の推進方策

クライオ電子顕微鏡法による構造解析によって、微小管上で「不活性化されたキネシンの頭部を融合したダイニン」の分子の形や向きを調べる。微小管とダイニンの結合が弱いためクライオ電顕による撮影条件を工夫する必要があったが、様々な工夫を行った結果、すでに電顕による撮影は完了しており、残るは、得られた大量の画像から微小管の極性とダイニン分子の相対的な向きを決める解析作業のみである。
また、微小管から解離しやすい方向のバイアスについて、光ピンセット装置を用いて調べる。具体的には、光ピンセットで捕捉したモーターを微小管に結合させ、プラス端方向とマイナス端方向に交互にスキャンする。このときに得られたモーターに掛かる力の向き・大きさと、モーターが解離するまでの時間の組み合わせのデータから、微小管のどちらの方向に引っ張られたときに解離しやすいか、つまり、解離方向によって運動方向が決まる、いわばラチェットとしての性質が明らかになると期待される。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [学会発表] 生物分子モーターは2つの非対称性を使って一方向に運動する2024

    • 著者名/発表者名
      中山 慎太郎, 古田 茜, 吉雄 麻喜, 網野 美紗子, 古田 健也
    • 学会等名
      第7回分子ロボティクス年次大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 生物分子モーターは独立した2つの運動機構を併用して機能する2023

    • 著者名/発表者名
      古田 健也
    • 学会等名
      第12回分子モーター討論会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 分子モーターが一方向性運動を生み出す仕組みの解明2023

    • 著者名/発表者名
      古田 健也
    • 学会等名
      第4回 発動分子科学研究会(発動・機動変形ジョイント会議)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Programmable molecular transport achieved by engineering protein motors to move on DNA nanotubes2023

    • 著者名/発表者名
      古田 健也
    • 学会等名
      第49回 内藤コンファレンス Frontiers of Microtubule and Its-Related Motors: Atomic Structures, Cellular Functions, Development and Diseases
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Constructive approach revealed the existence of two distinct mechanisms that generate unidirectionality of biomolecular motors2023

    • 著者名/発表者名
      中山 慎太郎, 古田 茜, 吉雄 麻喜, 網野 美紗子,古田 健也
    • 学会等名
      JSBBA KANSAI 10th Student Forum 京都大学
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Constructive approach revealed the existence of two distinct mechanisms that generate unidirectionality of biomolecular motors2023

    • 著者名/発表者名
      中山 慎太郎, 古田 茜, 吉雄 麻喜, 網野 美紗子, 大岩 和弘, 古田 健也
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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