研究課題/領域番号 |
23K27151
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補助金の研究課題番号 |
23H02458 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
村谷 匡史 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50730199)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
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キーワード | 宇宙環境応答 / リキッドバイオプシー / 宇宙環境 / オミックス解析 / 宇宙 / ミトコンドリア / 細胞外小胞 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙では放射線、微小重力、閉鎖環境ストレスが複合的な影響を生体に与え、その医学的理解と対応策の開発は重要な課題である。これまでに、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在する宇宙飛行士を対象とした液体生検(リキッドバイオプシー)解析が行われ、血漿中の細胞外RNA・DNA解析により、体内深部組織の宇宙環境応答が明らかになった。この過程で、宇宙滞在中には血漿中に細胞外ミトコンドリアを含む細胞外小胞(EV)が放出され、代わって、地上で血漿中に存在するEVが減少することが見出された。本研究では、表面抗原を指標としたEV分画法を応用して、宇宙環境に応答する血漿中EVの解析を行う。
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研究実績の概要 |
初年度にミトコンドリアおよび核にコードされる遺伝子のRNAを指標とした抗体のスクリーニングを再度行うとともに、宇宙飛行士を対象とする研究の残検体を用いた血漿分画のRNAシーケンスデータの取得と解析を完了した。また、DNA解析についても血漿分画を用いた解析を行い、これらの結果をまとめた論文がアクセプトされた。 実際に国際宇宙ステーションに長期滞在した宇宙飛行士の検体を用いた研究機会は限られていることから、6名のデータを統計値としてNASAのGeneLabデータベース登録し、国内外の研究者による再解析やデータ利用を積極的に推進した。これにより複数の国際共著論文を投稿するに至り、次年度以降のさらならる論文公表が期待できる。 これらの共同研究を発展させ、ミトコンドリア応答を主な評価項目として用いる宇宙医学研究の提案や検体処理プロトコルの標準化の調整もJAXAの新規研究課題の公募に合わせて行い、今後の本研究成果の発展への道筋をつけることができた。 多様な生物種の宇宙研究を進めている研究者らと共同することで、その生物学的な意義について検討を進めることができた。具体的には、宇宙で見られるマウスの各組織のミトコンドリア応答の共通性や差異が地上で知られているミトコンドリアや酸化ストレス応答とどのように関連するのかを検討する必要性が明らかになった。ミトコンドリアは進化的に幅広く保存されており、宇宙環境における応答でも動物種間、さらに光合成生物、電子伝達系として共通性をもつ他のオルガネラや微生物の生化学系との関連について、進化的な視点からも宇宙環境応答における重要性が認識された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに入手した抗体パネルの全てについて、網羅的な血漿分画の精製とRNAシーケンス解析を完了し、血漿中の細胞外DNAとRNAの解析から得られる情報の有効性と、現在のアプローチでの限界の理解に至ったと考えられることから、残検体を用いたデータ取得としては当初計画の完了に近いと言える。また、本研究の結果に基づいて、新たな宇宙飛行士を対象とした研究がJAXA公募において採択され、本家研究の発展性についても目途が立った。
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今後の研究の推進方策 |
2030年に予定されている国際宇宙ステーションの退役以降は、宇宙飛行士の長期宇宙滞在の機会を利用した医学研究は難しくなる可能性が高く、民間宇宙ステーションでの宇宙医学研究の方針を決める議論に貢献できる研究成果を国際的にも広く発信する。現在までに得られている結果のマウスデータとの比較をさらに進め、リキッドバイオプシー解析と深部組織の分子状態の相関についての本研究での結論をまとめる。
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