研究課題/領域番号 |
23K27173
|
補助金の研究課題番号 |
23H02480 (2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐藤 政充 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50447356)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
|
キーワード | 遺伝子発現制御 / 染色体 / 休眠 / クロマチン / ZGA / ヒストン / ヌクレオソーム / 有性生殖 / 発芽 / 分裂酵母 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞の目覚めの際は、細胞内で一体何が起きているのかという細胞生物学の基本となる課題にとりくみ、植物種子の休眠と目覚め、また動物細胞におけるがん化や組織の再生における休眠打破機構の解明に取り組む。そのために、どのようなシステムが細胞内で働くのか、また、特定の遺伝子のmRNAが減少する分子機構を解明したい。同様に、各種の細胞内分子分解機構の関与も明らかにする。また、本研究課題を遂行するにあたり、ATAC-seq法を中心として、クロマチン状態を判定するための技法を分裂酵母胞子に対して、かつシングルセルレベルで実施する技術を開発することを目指す。
|
研究実績の概要 |
細胞は環境中の栄養状態などを認識して、自身の休眠と、休眠からの打破を適切に切り替えることで環境に応答したフレキシブルかつロバストな生存を維持している。分裂酵母は胞子の休眠と休眠打破を簡便に誘導することが可能であり、これを利用して休眠細胞の目覚めのメカニズムを探ることができる。私どもは世界初の酵母胞子シングルセル・RNA-seq法を開発し、細胞は目覚めとともにヒストンH3の量を減少させることを発見した。本研究では、ヒストンの減少が染色体のクロマチン状態を変化させることで、細胞の目覚めを誘発していると想定し、これを検証することで、細胞の目覚めのメカニズ ムを解明する。細胞の目覚めとともにどのように特定の遺伝子のmRNAが減少するのか、その分子機構を解明したい。これまでのところ、RNA分解酵素として働くことが知られる核内エキソソームや、CCR4-NOTの関与について具体的に調べている。予備的な実験結果において、核内エキソソームが発芽に関与することを見いだしており、現在は核内エキソソームその他の因子が発芽時に特定のmRNAを減少させるのかについて、RNAの可視化方法を探りながら追究している。また、細胞が休眠から目覚めに転じる的に大規模な遺伝子発現変動がみられるが、遺伝子の発現変化がクロマチン状態の変動に由来するものかどうかを調べるため、ATAC-seq法を胞子に適用する研究を進めている。ATAC-seq法はこれまで胞子細胞ではなく一般的な増殖細胞に対しての技術が開発されてきたが、細胞壁が通常よりも厚い胞子壁をもつ細胞に対してもATAC-seq法を適用できるよう、技法の改良が必須である。これまでのところ条件検討をおこない技術改良が進み、胞子に対しても一定の成果を挙げられるように進捗している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時点に想定していたATAC-seq法の酵母胞子への適用は、ぶれのない実験結果を再現良く得るための安定性に疑問を示す場面があったが、現在は条件検討の結果、安定して実験結果を出せるように改良されてきた。入念に手法を評価するため、個人ごとに異なる実験結果が出るような技法を良しとせず、個人に依らず同様の実験結果を出せるように再現性の獲得には力を入れている。RNA分解についても初年度は条件検討や試行錯誤を反復したが、ある程度の困難は予想していたところがあり、おおむね予想通りの進捗状況にある。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、(1) 胞子細胞が発芽する際にRNA分解複合体が関与するかどうかの検証を実施する。たとえば核内エキソソームの変異体におけるRNAの可視化など実験技法を確立させることにより、関与を示す証拠を集める。また、(2) 発芽に伴うクロマチン状態の変動については、基盤となるATAC-seq法の改良と適用がほぼ実施できつつあるため、野生型および特定の変異体において、クロマチンの変動を検出する。これまでのところ細胞集団に対するATAC-seqアッセイは順調に進んでおり、この成果をもとにこれを1細胞レベルでも達成可能となるように、さらなる技術のブラッシュアップに努める。
|