研究課題/領域番号 |
23K27181
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補助金の研究課題番号 |
23H02488 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 (2024) 大阪大学 (2023) |
研究代表者 |
橋本 昌和 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (60580496)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2027年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2026年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | エピブラスト |
研究開始時の研究の概要 |
多細胞生物の発生では、ゆらぎにより個々の細胞の分化状態などに一時的なばらつきが生じる。 そのようなばらつきを解消し、発生を正確に進める機構の理解は発生生物学において重要な課題の一つである。その解消機構の一つの手段として、不適応な細胞を認識し排除することが挙げられる。 本研究では申請者自身が独自に見出した、マウス着床前胚の多能性幹細胞であるエピブラストが形成される際の品質管理機構をモデルとし、不適応な細胞が出現するがそれを排除する機構・またその排除機構の後期発生・生後の活動における生理的意義を解明する。
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研究実績の概要 |
多細胞生物の発生では、ゆらぎにより個々の細胞の分化状態などに一時的なばらつきが生じる。そのようなばらつきを解消するための一つの手段として、不適応な細胞を認識し排除することが挙げられる。マウスのエピブラストは着床前の胚盤胞期に内部細胞塊から作られ、将来の個体のすべての細胞の元となる重要な多能性幹細胞である。このエピブラストは、はじめ10個程度の細胞集団として形成されるため、それら全てが高い多能性を有しており、少数でも多能性の低い細胞があると後の発生や生後へ悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、エピブラストは形成時に高く均質な多能性を有している必要があると考えられる。本研究ではわたしが独自に見出した、マウス着床前胚の多能性幹細胞であるエピブラストが形成される際の品質管理機構をモデルとし、不適応な細胞が出現するがそれを排除する機構・またその排除機構の後期発生・生後の活動における生理的意義を解明することを目的とし、それらに必要な遺伝子改変マウスの作成およびそれらの有用性の検証を行ってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞競合を引き起こすきっかけとなるシグナル伝達を蛍光ライブイメージングによる可視化を目指した。すでに系統化されているものを入手したものの、蛍光輝度が十分ではなく、新たに蛍光輝度の高いマウスの作出を試みたが、細胞毒性のためかマウス系統を得ることができなかった。そこでtetONの系を用いて自分の観察したい時のみ目的のレポーターが発現するようにしたところ、DOX ONで胚盤胞期に非常に明るいレポーター輝度をもつマウス系統を得ることができ、またそのレポーターの発現が着床前期の発生に影響を及ぼさないことも確かめることができた。現在、このレポーターマウスを利用してシグナル伝達のダイナミクスと不適応細胞の排除との関係を検証する段階に予定通り入っており、おおむね順調に進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
着床前胚エピブラストにおける細胞競合の生理的意義は未だ明らかにされていない。Caspase阻害剤であるZ-VAD-FMKを添加することでアポトーシスを抑制すると、本来ならば排除されるべき不適応細胞が残り、正常に均質なエピブラストが形成されない。この胚がこのまま発生するとどのような影響が現れるのだろうか? 遺伝学的にアポトーシスを完全に阻害したpro-apoptotic遺伝子のBak;Bax;Bok トリプルノックアウト(TKO)マウスはおおよそ正常に形態形成が進行することがオーストラリアの研究グループによって報告されている。これは細胞競合を含めた生理的なアポトーシスがそれまで考えられてきたこととは異なり、四肢形成などを除き、形態形成にはほとんど必要ないことを示唆するものである。しかし、個体発生における細胞死は、形態形成への貢献よりもむしろ生理的に正常な機能を果たす組織構築に寄与しているのではないかという考えを持っており、その検証実験を行なっていく。
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