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精緻な細胞系譜と空間オミクスに基づく中枢神経系の細胞多様性創出機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K27185
補助金の研究課題番号 23H02492 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分44020:発生生物学関連
研究機関甲南大学

研究代表者

日下部 岳広  甲南大学, 理工学部, 教授 (40280862)

研究分担者 鈴木 穣  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
中井 謙太  東京大学, 医科学研究所, 教授 (60217643)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
キーワードホヤ / 中枢神経系 / ニューロン / グリア / メダカ / 空間トランスクリプトーム / 細胞系譜 / シングルセル解析
研究開始時の研究の概要

高度に発達した脳のはたらきが地球上のさまざまな環境に適応した脊椎動物の繁栄を支えている。ゲノムに書き込まれた発生プログラムに従い、膨大な数のニューロンとグリア細胞からなる複雑かつ秩序立った脳が構築される。脳の発生機構は、複雑さゆえにいまだ完全理解には程遠い。ホヤ脳(幼生脳+成体脳)をシンプルな脊索動物脳モデルと位置づけ、幼生脳の多様な細胞が形成されるための遺伝子制御ネットワークを明らかにし、成体脳の構造と機能および発生機構解明の基盤を築く。

研究実績の概要

1.幼生脳の細胞系譜解析:細胞系譜が未確定であったいくつか細胞の発生運命を詳細し解析し、ホヤ幼生脳の細胞系譜の精度をより高めることができた。特に上衣細胞および脳内感覚器に付随する細胞の系譜解明で大きな進展が得られた。得られた細胞系譜は既知遺伝子の発現や発現制御領域を用いた細胞標識法により、細胞系譜と単一細胞トランスクリプトームの対応付けを行った。得られた成果の一部について、原著論文を投稿中である。
2.成体脳の前駆細胞のプロファイリングと発生運命の追跡:以前の研究で成体脳は幼生脳のグリア細胞(上衣細胞)の一部から生じることを明らかにしている。しかしこれらの成体脳前駆細胞がどのような性質の細胞であるか、分かっていなかった。上衣細胞のマーカーとなるいくつかの遺伝子候補について、転写調節領域に光変換型蛍光レポーターを連結したプラスミドを作製し胚に導入することで、遺伝子ごとに異なるパターンで標識されることが確認できた。これらのプラスミドを用いた解析は、現在進行中である。
3.成体脳の空間的オミクス解析:成体脳(脳神経節+神経腺)の凍結切片を作製し、空間的トランスクリプトーム解析を行った。さらに、高解像度の組織染色画像とVisium空間遺伝子発現データを深層ニューラルネットワークによりAIに学習させ,高解像度の遺伝子発現マップを推測した。得られた結果はin situハイブリダイゼーションの結果とよく一致しており,深層生成モデルをもちいて得られた高解像度遺伝子発現マップの有効性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

幼生脳を構成する細胞のうち、上衣細胞を含む未解明であった細胞系譜を決定することができた。この成果は脊索動物の頭部進化の観点からも重要な知見と考えられ、現在論文を投稿中である。また、世界に先駆けて成体脳の空間トランスクリプトームを得ることに成功し、さらに深層生成モデルをもちいて信頼性の高い高解像度遺伝子発現マップを得ることができた。これらのあたらしい成果が得られたことから、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

幼生脳については、未解明の細胞系譜が残っているので、これを明らかにする。特に成体脳の前駆細胞のプロファイリングに注力する。成体脳については、空間トランスクリプトームデータに基づいて計算機を用いた新手法によって得られた高解像度空間遺伝子発現マップにより推測された脳の領域特異的遺伝子群について、in situ HCR(in situ hybridization chain reaction)法による解析を行う。得られた結果については、成体脳の空間的オミクス解析の結果にフィードバックし、計算機を用いた超解像遺伝子発現マッピングの精度を向上させることで、より高精度な遺伝子発現マップの構築を行う。イメージング質量分析法に着手し、統合的な空間的オミクス解析に発展させる。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] 精緻な細胞系譜と空間オミクスに基づく中枢神経系の細胞多様性創出機構の解明2024

    • 著者名/発表者名
      圓尾綾菜,日下部岳広
    • 雑誌名

      細胞

      巻: 56 ページ: 264-269

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Comparative single-cell transcriptomic analysis reveals key differentiation drivers and potential origin of vertebrate retina2023

    • 著者名/発表者名
      Zeng Xin、Gyoja Fuki、Cui Yang、Loza Matin、Kusakabe Takehiro G、Nakai Kenta
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: 2023.12.03.569795

    • DOI

      10.1101/2023.12.03.569795

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 光遺伝学を用いたホヤ幼生のグリア細胞の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      大川奈菜子,保田一貴,谷口倫菜,本村晴佳,岡畑美咲,久原篤,日下部岳広
    • 学会等名
      日本動物学会第94回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ロドプシン欠損メダカの網膜プロテオミクスと視運動反応2023

    • 著者名/発表者名
      小林恵理佳,日下尚美,射場大貴,福田ゆい,大道裕,岩崎了教,池川雅哉,日下部岳広
    • 学会等名
      日本動物学会第94回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 空間的トランスクリプトームによるホヤ成体脳および周辺組織の構造と生理機能の解析2023

    • 著者名/発表者名
      圓尾綾菜,Xin Zeng,行者蕗,大川奈菜子,清水大輔,水谷健一,鈴木穣,中井謙太,日下部岳広
    • 学会等名
      日本動物学会第94回大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Spatial transcriptomic analysis of the adult brain of the ascidian Ciona intestinalis type A2023

    • 著者名/発表者名
      Ayana Maruo, Xin Zeng, Nanako Okawa, Fuki Gyoja, Ken-ichi Mizutani, Yutaka Suzuki, Kenta Nakai, Takehiro G. Kusakabe
    • 学会等名
      第56回日本発生生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] A new fish model of retinitis pigmentosa: histological, behavioral, and proteomics analyses of medaka lacking rhodopsin2023

    • 著者名/発表者名
      Erika Kobayashi, Naomi Kusaka, Taiki Iba, Yui Fukuda, Yutaka Daido, Noriyuki Iwasaki, Masaya Ikegawa, Takehiro G. Kusakabe
    • 学会等名
      第56回日本発生生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Developmental profiles of activity of gnrh-expressing cells in the larval central nervous system of the ascidian Ciona intestinalis type A2023

    • 著者名/発表者名
      Nanako Okawa, Haruka Motomura, Misaki Okahata, Atsushi Kuhara, Takehiro G. Kusakabe
    • 学会等名
      第56回日本発生生物学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] カタユウレイボヤ幼生の始原的鼻プラコード由来表皮感覚細胞からの神経経路の解析2023

    • 著者名/発表者名
      清山賢一, 日下部 岳広
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ロドプシン欠損メダカ網膜における桿体の喪失および短波長感受性錐体の増加と形態変化2023

    • 著者名/発表者名
      小林恵理佳,射場大貴,福田ゆい,大道裕,岩崎了教,池川雅哉,日下部岳広
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 光遺伝学とカルシウムイメージングを用いたホヤ幼生のグリア細胞の解析2023

    • 著者名/発表者名
      大川奈菜子,日下部岳広
    • 学会等名
      第6回ホヤ研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ホヤ成体脳の空間トランスクリプトーム解析2023

    • 著者名/発表者名
      圓尾綾菜,行者蕗,日下部岳広
    • 学会等名
      第6回ホヤ研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] カタユウレイボヤ成体の光応答と光受容組織および光受容分子の解析2023

    • 著者名/発表者名
      日下部岳広,清水大輔,圓尾綾菜
    • 学会等名
      第6回ホヤ研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ゲノムレベルでの網羅的解析が明らかにした脊椎動物進化過程における非視覚オプシンの複雑な欠失パターン2023

    • 著者名/発表者名
      行者蕗,日下部岳広
    • 学会等名
      第23回光生物学協会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ロドプシン欠損メダカの網膜プロテオーム・組織形態・行動2023

    • 著者名/発表者名
      小林恵理佳,日下尚美,射場大貴,福田ゆい,大道裕,岩崎了教,池川雅哉,日下部岳広
    • 学会等名
      第23回光生物学協会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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