研究課題/領域番号 |
23K27198
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補助金の研究課題番号 |
23H02506 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
吉本 光希 明治大学, 農学部, 専任教授 (40399316)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | オートファジー / 亜鉛欠乏 / 亜鉛欠乏応答 / 液胞 / 分解 / 金属イオン恒常性維持機構 / 必須微量金属 / 亜鉛 / 栄養欠乏 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者のこれまでの実験結果から、亜鉛欠乏時のオートファジー変異体(atg変異体)では、液胞内の遊離亜鉛イオン量の減少が感知され、そのシグナルに基づき亜鉛/鉄トランスポーター (ZIP) により副次的に鉄吸収が促進していると考えられた。しかし、液胞内の亜鉛イオン量を感知するセンサー分子や、感知したシグナルを伝達して鉄吸収を制御する機構は未解明である。 本研究では、ランダムに変異を導入したatg変異体から亜鉛欠乏耐性を獲得した個体を選抜し、それら責任遺伝子を同定することで、未知の亜鉛センサー、その下流のシグナル因子や鉄吸収トランスポーターの同定を目的とし、最終的には植物の亜鉛-鉄恒常性維持機構の根幹に迫る。
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研究実績の概要 |
亜鉛は植物必須金属元素の1つであるが、世界の農耕地の50%以上が亜鉛欠乏土壌であり、そこでは作物の生産量や品質が損なわれている。したがって、亜鉛欠乏応答(耐性)機構の解明は、作物生産の向上に急務である。 申請者はこれまでに、植物細胞内では亜鉛欠乏時にオートファジーが誘導され、自己成分が分解されることで亜鉛イオンが遊離し、亜鉛利用効率が向上することを明らかにした。また、亜鉛欠乏時のオートファジー変異体(atg変異体)では、過剰に吸収された鉄により活性酸素種が生成され、葉が黄化することを見出した。亜鉛欠乏時にatg変異体で遊離亜鉛量が低下することを踏まえると、液胞内の遊離亜鉛イオン量の減少が感知され、そのシグナルに基づき亜鉛/鉄トランスポーター (ZIP) により副次的に鉄吸収が促進されると予想された。しかし、液胞内の亜鉛イオン量を感知するセンサー分子や、感知したシグナルを伝達して鉄吸収を制御する機構は未解明である。 本研究では、ランダムに変異を導入したatg変異体から亜鉛欠乏耐性を獲得した個体を選抜し、それら責任遺伝子を同定することで、未知の亜鉛センサー、その下流のシグナル因子や鉄吸収トランスポーターの同定を目的とし、最終的には植物の亜鉛-鉄恒常性維持機構の根幹に迫る。Zn欠乏時に遊離Zn2+イオン量が極端に低下するatg変異体を変異原処理のバックグラウンドとして用いることで、Fe過剰によるZn欠乏クロロシスを感度良く可視化することが可能になる。これにより野生型バックグラウンドで同様の実験を行った場合では見逃されるような変異体を取得することが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、atg 変異体種子に変異原エチルメタンスルホン酸処理を行い、自家受粉させて取得した15,000 個のM2 種子をZn 十分条件で7日間生育後、Zn 欠乏条件に移植して、7 日後でも顕著なZn 欠乏症状を示さない個体を6つ取得した。それらの全ゲノム配列のリシーケンスを行い原因遺伝子の同定を試みた。 その結果、2つのラインから共通のSNPが検出され、atg変異体の顕著なZn欠乏症状を抑制する原因因子の候補遺伝子を一つ同定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、この候補因子に着目し、まずは候補遺伝子のT-DNA挿入変異体を取得して表現型が再現できるか確認する。 また、候補因子の立体構造をAlphafold2によって予測するとともに、その因子がどの様に亜鉛-鉄恒常性維持に寄与するのかを調査する。さらに、細胞内局在や、亜鉛および鉄を輸送する能力があるか等を様々な方法を駆使して精査する。
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