研究課題/領域番号 |
23K27220
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補助金の研究課題番号 |
23H02529 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45020:進化生物学関連
小区分45010:遺伝学関連
合同審査対象区分:小区分45010:遺伝学関連、小区分45020:進化生物学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
児玉 有紀 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (80582478)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2027年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2026年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | ミドリゾウリムシ / クロレラ / 細胞内共生 / トリコシスト / 共生胞膜(PV膜) / ミトコンドリア / 蛍光抗体法 / リアルタイムPCR / ダイナミン |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは繊毛虫のミドリゾウリムシとその細胞内に共生している緑藻類のクロレラを用いて、細胞内共生の成立過程を経時的に追跡でき る実験系を確立し、共生の成立に必須な次の4種のチェックポイントの存在を発見した。1: クロレラが宿主食胞内でリソソーム消化酵素耐性 を示す。2: クロレラが食胞膜から細胞質中に脱出する。3: クロレラを包む食胞膜が、宿主リソソーム融合を阻止するPV膜に分化する。4: PV 膜に包まれたクロレラが、宿主細胞表層直下へ定着して細胞内共生を成立させる。本研究では、4種のチェックポイントの調節機構を解明する ことで、細胞内共生の成立機構を解明することを目的としている。
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研究実績の概要 |
令和5年度は以下の成果を得た。 ミドリゾウリムシの共生クロレラを包む共生胞膜の一種であるperiaglag vacuole(PV)膜は、宿主ミトコンドリアとの接着によって宿主細胞表層直下に固定されている。ミドリゾウリムシのミトコンドリアとトリコシストを特異的に認識するモノクローナル抗体を用いた間接蛍光抗体法によって、共生クロレラが接着する際の宿主ミトコンドリアと近接するトリコシストの配置や数の変化を調べた。その結果、クロレラの再接着にはトリコシストは不要であり、ミトコンドリアはクロレラと共局在していることが示唆された。しかし、共生クロレラが無い宿主細胞前方領域にも多くのミトコンドリアが存在していた。したがって、ミトコンドリアが存在する全ての領域にクロレラが接着できるわけではなく、宿主細胞内ではクロレラの局在に偏りがあることが分かった(Kodama and Fujishima, 2023)。
ミドリゾウリムシには細菌、酵母、他の藻類、自由生活性のクロレラなども感染する。しかし、それぞれの詳細な感染過程は不明である。自由生活性のクロレラ株NIES-2169と元の共生クロレラ株1Nの感染過程の違いを明らかにすることを目的とした。その結果、(1)宿主細胞内には最終的に元の共生クロレラのみが保持され、一種の宿主適合性を示すこと、(2)宿主細胞表層直下におけるクロレラの局在様式は、クロレラの株によって異なり、これは共生胞膜であるPV膜形成の違いに起因することが予想された(Kodama and Endoh, 2024)。
また、クロレラと共生前後の宿主細胞のトランスクリプトーム解析で明らかになった重要な遺伝子について、リアルタイムPCRで遺伝子発現の変化を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者らは繊毛虫のミドリゾウリムシとその細胞内に共生している緑藻類のクロレラを用いて、細胞内共生の成立過程を経時的に追跡できる実験系を確立し、共生の成立に必須な次の4種のチェックポイントの存在を発見した。1: クロレラが宿主食胞内でリソソーム消化酵素耐性を示す。2: クロレラが食胞膜から細胞質中に脱出する。3: クロレラを包む食胞膜が、宿主リソソーム融合を阻止するPV膜に分化する。4: PV 膜に包まれたクロレラが、宿主細胞表層直下へ定着して細胞内共生を成立させる。本研究では、4種のチェックポイントの調節機構を解明することで、細胞内共生の成立機構を解明することを目的としている。
今年度はチェックポイント4に関して、ミトコンドリアは共生クロレラと共局在していることを明らかにした。 さらにチェックポイント3に関して、宿主細胞表層直下におけるクロレラの局在様式は、クロレラの株によって異なり、これは共生胞膜であるPV膜形成の違いに起因することを明らかにした。
このように研究計画通りに実験を遂行し、研究成果を2報の原著論文で発表したため「概ね順調にしている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した実験方法で来年度は以下の通りに研究を遂行する。
チェックポイント1に関して:一部のクロレラのみが宿主消化酵素耐性を示す理由を明らかにする クロレラの再共生過程において、クロレラ除去細胞とミドリゾウリムシから単離したクロレラを混合してから3分後に、アシドソームとリソソームが融合した宿主食胞内で一部のクロレラ が一時的に消化酵素に耐性を示すのは必須な現象であるが、クロレラが示す消化酵素耐性の要因はまだ明らかにされていない。今年度は宿主食胞膜の酸性化を阻害することで、チェックポイント1のメカニズムを明らかにする。
チェックポイント3に関して:研究協力者の藤島が、PV膜と食胞膜のそれぞれに特異的なモノクローナル抗体を複数作製することに成功した。それらを用いて蛍光抗体法と、クロレラの再共生過程における各抗原の出現と消失のタイミングを調べることで、食胞膜からPV膜への分化のタイミングを明らかにする。
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