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完了しない種分化には何が足りないのか?:昆虫のホストレースを例に

研究課題

研究課題/領域番号 23K27234
補助金の研究課題番号 23H02543 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分45030:多様性生物学および分類学関連
研究機関京都府立大学

研究代表者

大島 一正  京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50466455)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
キーワード植食性昆虫 / 寄主適応 / 交配実験 / 強化 / 同系交配 / 配偶行動 / 集団解析
研究開始時の研究の概要

餌とする植物種や生息環境といった生態的な分化が集団間の交雑を妨げ,種分化への道を歩み始めるきっかけとなることが近年の研究からわかりつつある。しかし,このような生態適応の分化が引き起こす隔離障壁の多くは完全に交雑を妨げるには不十分であり,種分化が進行しているとはいえ,その完了には程遠い場合がほとんどである。では,生態適応に伴う種分化が不完全なのは,単に種分化が始まってからの時間が短いためだろうか,それとも,メカニズム的に何かが足りていないことも原因なのだろうか。本研究では,異なる植物種を餌とする昆虫の種内集団(ホストレース)に着目し,種分化を不完全たらしめている要因を探る。

研究実績の概要

生態適応がどのように種分化を促進するかを調べるため,クルミホソガの両ホストレースが同所的に生息している地域と,異所的に生息している地域間で,交配前隔離の強化の程度に差が見られるかを検証した.F1世代が死亡するため,より顕著に強化の効果があらわれると予想される交雑組み合わせである「ネジキレースがメス親」の場合の交雑頻度を,クルミレースと同所的に生息するネジキレースを用いた場合と,クルミレースと異所的に生息するネジキレースを用いた場合とで比較した.また,クルミホソガのホストレース間における寄主植物に依存しない交配前隔離の存在を明らかにするため,両ホストレースの雌雄を1頭ずつ交配容器に入れた計4頭での「混合交配実験」と,両ホストレースのメス各1個体にいずれかのホストレースの雄1個体を掛け合わせた計3頭での「オス選択実験」,さらに両ホストレースのオス各1個体にいずれかのホストレースの雌1個体を掛け合わせた計3頭での「メス選択実験」を行い,同じホストレースどうしがどの程度選択的に交配するかを調べた.さらに,「オス選択実験」と「メス選択実験」における配偶行動を撮影し,ホストレース間で同系交配が生じる要因を行動面から探った.これらに加え,クルミホソガの集団遺伝学的解析とその基礎となるドラフトゲノムの整備を行い,クズホソガのクズ上集団とハギ上集団,及びフジホソガのフジ上集団,アサ科・ニレ科上集団の集団遺伝学的解析用サンプルの採集と解析を行った.また,一連の研究中に見つかったホソガ科の2新種を記載した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

集団構造の解析等は,得られたサンプルから順調に進行している.また,本研究の鍵となる行動観察に関しても,赤外線カメラを用いた暗期からのモニタリングが軌道に乗ってきており,これまでのような交配結果のみからの推測に加えて,実際にどのような行動的不和合によってホストレース間での交雑が妨げられているのかが分かりつつある.行動観察には多大な時間を要するが,クルミホソガの配偶行動の基本的なシークエンスが把握できたため,今後は解析のスピードアップが期待される.また,フジホソガやクズホソガのように,ホストレースもしくは寄主上集団への分化が見られる種においても,同様の行動観察系ができつつあり,寄主植物の違いがどのように配偶前隔離に寄与し,そしてなぜに隔離が不完全となるかについて,具体的に調べることが可能な段階に達している.よって,全体として概ね順調に進行していると考えられる.

今後の研究の推進方策

クルミホソガに関しては,集団遺伝学的な解析を寄主適応に関わるゲノム領域をランドマークとした比較へと発展させる.また,行動観察の反復数を増やし,より強固なデータを得ることに注力する.クズホソガ等の材料に関しては,行動観察の実験系を本格的に稼働されるとともに,寄主適応に関わるゲノム領域の特定も目指す.また,集団解析に加える地点数を増やすことにも注力する.

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Two new species of Cameraria Chapman (Lepidoptera: Gracillariidae) associated with Salix or Cornus in Japan2024

    • 著者名/発表者名
      SAWADA MASAYASU、YOSHIZAWA KAZUNORI、OHSHIMA ISSEI
    • 雑誌名

      Zootaxa

      巻: 5410 号: 2 ページ: 177-198

    • DOI

      10.11646/zootaxa.5410.2.2

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Do host races show assortative mating when their host plants are extremely coexisted?2023

    • 著者名/発表者名
      TAKANO Shoko, OHSHIMA Issei
    • 学会等名
      Society of Evolutionary Studies, Japan
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] フジホソガの種内集団間における非対称な交雑の要因に配偶行動の観察から迫る2023

    • 著者名/発表者名
      勝部圭, 大島一正
    • 学会等名
      日本昆虫学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] More than 5% COI divergence without morphological differentiation: Four host-associated cryptic populations in Psydrocercops wisteriae (Gracillariidae)2023

    • 著者名/発表者名
      OHSHIMA Issei
    • 学会等名
      The Society for European Lepidopterology
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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