研究課題
基盤研究(B)
植物による血縁認識の発見は、私達の植物に対する考え方を大きく転換した。植物は周囲の同種他個体との血縁関係に従って、個人合理性を超えてグループで適応的な挙動を示すのである。この社会行動とも呼べるふるまいは、これまでの植物の個体群や群集構造の成り立ちに関する古典的理解を一新する可能性を秘めている。本研究では、数理生物学による理論構築と、実証生態学の経験論的手法の協働により、植物をめぐる主要な相互作用である土壌資源をめぐる競争、およびポリネータの誘引に関して、植物の血縁認識によって、血縁者に対する利他的行動が進化し、植物個体群構造が自己組織化され、協力の安定的維持が実現することを明らかにする。