研究課題/領域番号 |
23K27271
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補助金の研究課題番号 |
23H02580 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
今野 大治郎 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00362715)
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研究分担者 |
下向 敦範 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (00442971)
丸岡 久人 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60443032)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | 脳微小カラム / 神経幹細胞 / 光遺伝学 / 大脳新皮質 / 微小カラム / エピゲノム / 大脳皮質形成 / 皮質下投射ニューロン |
研究開始時の研究の概要 |
大脳皮質を構成するニューロンは、複数の細胞種から成る機能モジュールである微小カラムを形成することが知られており、その精密な組織化および連携は哺乳類高次脳機能を支える最も重要な構造的基盤の1つであると考えられている。そこで本研究では、神経幹細胞の少数細胞ラベリング技術を用いたタイムラプスイメージングと1細胞空間エピゲノム情報解析技術を組み合わせることにより、脳微小カラムを構成するニューロンのサブタイプ決定が 「いつ(発生時間)」「どこで(位置情報)」 「どのように(エピゲノム変化)」形成されるのかを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では研究実施計画として、脳微小カラムが正常な機能を発揮するための構造的基盤となる細胞サブタイプの決定メカニズムおよびそれに引き続く微小カラム形成機構の解明に向け、以下に示した4つの研究実施項目を最終的な到達目標とし実験を実施している。(目的1)大脳皮質第5層の微小カラム構成SCPN(subcerebral projection neuron)は同一神経幹細胞から生じるか? (目的2)ニューロンサブタイプの違いは神経幹細胞の時点で既に生じているか? (目的3)ニューロンサブタイプの違いは分化・成熟過程のどの段階で生じるか? (目的4)細胞相互作用はSCPNおよびCPN(Cortical projection neuron)サブタイプの決定に重要か? 2023年度は代表者(今野)がこれらの実験に使用する遺伝子組換えマウスおよび光遺伝学的手法によるエピゲノム解析を実現するための各種機器類の整備を進めた。具体的には、マウス大脳皮質第5層において微小カラムを形成するSCPNに緑色蛍光タンパク質EGFPを発現するCrym-EGFPマウスの導入および妊娠マウスにおける子宮内穿孔法を用いた遺伝子導入システムのセットアップを実施した。また405nmレーザーを搭載したデジタルミラーデバイス(DMD)装置であるPolygon1000を導入し、組織切片の任意領域への光照射が可能となる顕微鏡システムのセットアップを進めた。また分担研究についても分担者(下向)がタイムラプス観察のセットアップ、分担者(丸岡)が微小カラム形成における3次元画像解析装置のセットアップを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究目的(1)の達成を目指し、微小カラムを構成するSCPNの姉妹関係をより詳細に検証するため、SCPNでEGFPが発現するマウス(Crym-EGFP TGマウス)を用いた胎仔大脳への子宮内穿孔法により、少数細胞で赤色蛍光タンパク質を発現させたマウス胎仔脳スライスを用いたタイムラプス観察および組織学的に解析することにより、微小カラムを構成する細胞群が同一の神経幹細胞から生じるか否かを明らかにする計画であった。しかしながら、遺伝子組換えマウス導入における諸手続きのトラブルにより実際のマウス搬入に遅れが生じた。しかし最終的にマウスの導入は完了しており、現在当初の計画に従って実験を実施中である。また光照射による特定細胞のエピゲノム解析を実現するためにはデジタルミラーデバイスを搭載した顕微鏡システムの利用が必須となるが、計画通り装置の導入を進め、405nmレーザーの任意領域照射による光遺伝学実験の実施には問題ないことを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は2023年度に引き続き研究目的(1)の達成を目指し、Crym-EGFPマウス胎仔大脳へ子宮内穿孔法により少数細胞で赤色蛍光タンパク質を発現させ、微小カラムを構成するSCPNの姉妹関係を組織学的に検証する。また、これら遺伝子導入マウス胎仔脳スライスを用いたタイムラプス観察により、微小カラムを構成する細胞群が同一の神経幹細胞から生じるか否かを明らかにする。さらに、光照射による特定細胞のエピゲノム解析を実現するため、前述のCrym-EGFPマウスの胎児脳組織に対してChIL-seq法の導入を試み、EGFP陽性SCPNおよびその周辺細胞におけるエピゲノム情報取得に挑戦する。加えて、本年度は研究目的(4)の達成を目指し、マウス大脳皮質神経細胞および神経幹細胞における細胞間相互作用に重要な役割を担っているConnexinファミリー分子の機能阻害の効果を検証するため、各種発現プラスミドの構築およびそれらの子宮内穿孔法を用いた導入による脳微小カラム形成への影響を検証する。
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