研究課題/領域番号 |
23K27287
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補助金の研究課題番号 |
23H02596 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
合同審査対象区分:小区分47010:薬系化学および創薬科学関連、小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐藤 美洋 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (90226019)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 二酸化炭素 / メタラサイクル / カルボキシル化反応 / 光レドックス触媒 / メタララクトン / カルボキシル化 / オキサメタラサイクル / コバルト / 遷移金属触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題はアルキンやアルケンなどの多重結合と二酸化炭素が金属触媒と反応することで生成する「メタララクトン中間体」を光レドックス触媒によって還元し,光をエネルギー源,二酸化炭素を炭素源として利用した新たなカルボン酸合成法の開発を目指す.メタララクトン中間体の還元は,既存の方法では触媒金属以外に他の金属試薬を還元剤として用いる方法が知られているが,この場合は反応を触媒的に進行させるためには,化学量論量以上の還元剤を用いる必要がある.上記の方法が開発できた場合は,各種アミノ酸の合成への応用も計画している.
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研究実績の概要 |
本研究課題の目標は,CO2とアルキンやアルケンなどの多重結合を持つ化合物が金属錯体と反応し生成する「メタララクトン中間体」を経由するカルボキシル化反応に焦点を当て,これまでの研究において浮上した課題や限界を克服し,CO2を利用したカルボキシル化反応を更に深化させることである.すなわち,光によって励起されることで一電子移動(酸化・還元)を引き起こすことができる「光レドックス触媒」の特性を利用し,メタララクトン中間体の還元的開裂や官能基化の方法論の確立を目指す.メタララクトン中間体を経由するカルボキシル化反応においては,最も難しい課題は「強固な金属―酸素結合をいかに開裂させるか」であり,既存の方法ではこの反応過程で金属還元剤等の使用が必要であった.そこで,本研究課題の開始初年度である今年度は,「金属―酸素結合を金属還元剤等を使用せずに開裂できるか」に焦点を当て,メタララクトン中間体と類似の構造を持つ「オキサメタラサイクル中間体」をモデル中間体とした反応の検討を行った.その結果,Co触媒とアルキナールとの反応において,添加剤としてH2Oを加え,光レドックス触媒の一種である4czIPNの存在下,青色LEDを照射すると反応が触媒的に進行し,対応する環状アルコールが収率よく得られることを見出した.H2Oの添加によってオキサメタラサイクル中間体の金属―酸素結合が開裂できることは以前から知られていたが,この際に生成する高原子価の金属錯体を還元するために化学量論量以上の金属還元剤等の添加が必須であった.一方,我々の反応では生成した高原子価の金属錯体の還元の役割を光レドックス触媒が担うことで,化学量論量以上の金属還元剤等の添加を回避できたことは注目に値する成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上述の通り,本年度の研究においてメタララクトン中間体と類似構造を持つオキサメタラサイクル中間体の金属―酸素結合をH2Oの添加と光レドックス触媒4czIPNを利用することで,Co触媒によるアルキナールの還元的環化反応が化学量論量以上の金属還元剤等を添加せずとも進行することを見出した.本研究は,2023年度末(2024年2月16日webリリース)にアメリカ化学会が刊行するACS Catalysis(IF=12.9)に報告するとともに,北海道大学よりプレスリリースされた.また,日本最大の化学ポータルサイトとして著名な「Chem-Station(https://www.chem-station.com)」にスポットライトリサーチとして取り上げられた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究においては,メタララクトン中間体と類似構造を持つ「オキサメタラサイクル中間体」をモデル中間体とした検討を行い,上述の通り,Co触媒と光レドックス触媒による協働触媒系で進行する新たな還元的環化反応を見出すことができた.今後は,「メタララクトン中間体」でも同様に金属―酸素結合の開裂が進行するかを確認したい.また,上述の反応では,金属―酸素結合をH2Oで切断し,その際生成する高原子価の金属錯体の還元に光レドックス触媒を用いているが,メタララクトン中間体の金属ー酸素結合を直接光レドックス触媒によって還元することで,ラジカル種またはアニオン種が生成できると考えられる.そこで,このラジカル種またはアニオン種の生成,及びそれらの活性種を利用した直接的な官能基化を検討していく予定である.
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