研究課題/領域番号 |
23K27288
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補助金の研究課題番号 |
23H02597 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
合同審査対象区分:小区分47010:薬系化学および創薬科学関連、小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
植田 浩史 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (50581279)
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研究分担者 |
小林 長夫 信州大学, 繊維学部, 特任教授 (60124575)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 二量体型天然物 / 全合成 / 酸素酸化 / フタロシアニン / アルカロイド / 天然物合成 / 創薬研究 / 二量体構造 / カップリング反応 / 鉄フタロシアニン / 化学選択性 |
研究開始時の研究の概要 |
二量体型天然物は、構造の多様性と有用な生物活性を兼ね備えており、薬学的に注目を集めている化合物群である。しかし、既存の有機合成技術では、その量的供給や構造活性相関研究を視野に入れた誘導体合成は容易ではなく、二量体型天然物の系統的な創薬研究は困難である。本研究では、酵素を模倣した鉄フタロシアニン触媒による酸化的カップリング反応を基軸とし、多様な二量体型天然物の収束的合成を実現する統合的手法を開発する。さらに、天然物の構造をモチーフとした非天然の二量体型化合物を創製し、他に類を見ない化合物ライブラリーの構築を通じて、有機合成を基盤とした新たな創薬領域の開拓を目指す。
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研究実績の概要 |
本申請課題では、生体酵素を模倣した高活性酸素酸化触媒の開発を基盤とした高次構造を有する二量体型天然物の統合的合成および創薬を指向した化合物ライブラリーの構築を目的とする。近年の医薬リード化合物の枯渇問題を受け、構造の多様性と有用な生物活性を兼ね備える、二量体型天然物が注目を集めている。しかしながら、その多くが自然界からの供給量が乏しく、また高度な構造のため有機合成による供給が困難なことから、創薬研究の対象から除外されているのが現状である。このような背景のもと、本研究では、酵素を模倣した鉄フタロシアニン触媒による酸化的カップリング反応を基軸とし、多様な二量体型化合物の収束的合成を実現する統合的手法の開発を目指す。さらに、掲げたコンセプトのもと、二量体型高次構造天然物や天然物の構造をモチーフとした非天然の二量体型化合物の収束的かつ網羅的全合成を通じて、独創的な創薬研究を展開する。 1) アミノ酸由来二量体型生物活性アルカロイドの高収束的全合成のテーマに関しては、独自に開発した酸化的カップリング反応を、トリプトファン残基を含む多様な生理活性オリゴペプチドや天然由来の環状ペプチド、医薬品ペプチドへと応用し、対象とする基質をこれまでの天然アルカロイドから中分子ペプチドまで拡大することに成功した。さらに、より分子量の大きいトリプトファン含有タンパク質の二量化反応を展開し、さらなる汎用性の拡大に向けて検討を行っている。 2) モノテルペンインドール由来二量体型生物活性アルカロイドの高収束的全合成のテーマに関しては、独自に開発した酸素酸化反応を、単量体にあたる多環性アルカロイド、プレイオカルパミンとピロカテク酸とのカテコールの酸化を伴うカップリングに適用した。その結果、既存の手法の収率を大幅に上回り、二量体型高次構造アルカロイドであるビプレオフィリンの世界初の完全化学合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
モノテルペンインドール由来二量体型生物活性アルカロイドの高収束的全合成のテーマにおいて、標的化合物に設定したビプレオフィリンは、合成天然物合成の世界的第一人者でもあるHanessian教授が、現代の有機合成の分野において「登るべき山」と称した化合物であり、最も複雑な構造を有したインドールアルカロイドの一つとしてみなされている天然物である。その高度な構造により、研究の遂行に困難が予想されたが、本年度内での世界初の完全化学合成を達成することができた。さらに、確立した酸化的カップリング反応は、既存の手法と比較して目的化合物の収率をおよそ20倍も向上しており、標的化合物の量的供給を可能にした。これらの優れた研究成果により、研究計画を前倒しに進めることができ、天然物の全合成のみならず、単量体ユニットを立体異性体や構造の異なる他の天然物に置き換えた擬似的天然分子の創製まで着手できている。
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今後の研究の推進方策 |
1) モノテルペンインドール由来二量体型生物活性アルカロイドの高収束的全合成に関しては、各ユニットが異なる構造様式を有するヘテロ二量体の合成研究を展開する。標的化合物として、ビンコリンとプレイオカルパミンから形成されるヘテロ二量体型天然物であるプレイオコリンを設定する。本化合物は、ヒドロキシインドリン骨格とカルボリン骨格が連続する四置換炭素で連結した高度に縮環した複雑な構造を有しており、未だその全合成例はない。具体的な合成戦略としては、独自に開発した酸素酸化反応をヒドロキシインドリン部の酸化を介する[3+2]環化付加反応へと応用する。本カップリング法の開発を通じて、プレイオコリンの世界初の全合成を目指す。さらに、確立した合成経路をもとに、擬似的天然分子の創製を行い、共同研究を通じて合成した化合物の生物活性評価を行う。 2) フェノール由来二量体型生物活性天然物の高収束的全合成に関しては、レスベラトロールのオリゴマー合成を行う。これまでに、レスベラトロールの二量体であるイプシロン-ビニフェリンの選択的な合成に成功しているが、収率に課題を残している。そのため、まず二量化反応における目的化合物の収率向上を目指し、触媒の構造や反応条件の最適化を行う。その後、ナパレンシノールBを含む四量体の収束的全合成を目指す。
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