研究課題/領域番号 |
23K27296
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補助金の研究課題番号 |
23H02605 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
合同審査対象区分:小区分47010:薬系化学および創薬科学関連、小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松原 誠二郎 京都大学, 国際高等教育院, 特定教授 (90190496)
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研究分担者 |
佐藤 徹 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 教授 (70303865)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | 不斉合成 / キュバン / クネアン / セミブルバレン / 振電相互作用 / キュバン骨格編集 / ホモキュバン / ホモクネアン / ビスホモキュバン / 水熱反応 / 創薬分子骨格 / かご型炭化水素 / 触媒反応 |
研究開始時の研究の概要 |
キュバンに代表されるカゴ型多面体小分子にはキラリティを与えることができる。この分子群は,生理活性分子のベンゼン骨格と置き換え,その活性を改良するベンゼン生物学的等価体としての機能に加え,光学活性という複雑性を与えるものと期待されている。しかし,それらの光学活性体の合成は,これまで報告がなかったが,キュバン-クネアンの異性化における不斉誘導に成功した。そこで,このようなカゴ型分子からあらたなカゴ型分子への不斉異性化と骨格異性化を利用する「キュバン骨格編集」という概念を創出し,一連の分子群を合成する化学を展開している。この合成研究に加え,振電相互作用による量子化学計算により反応の記述を完全に行う。
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研究実績の概要 |
正立方体炭化水素キュバンはベンゼン生物学的等価体として、既存のベンゼン環構造保有の医薬品分子においてベンゼンと置換することで、疎水性の緩和・代謝耐性の強化などの薬理効果改善の検討に用いられている。それに加え、平面構造であるベンゼンを三次元方向に展開できるカゴ型分子である点が、薬品分子に複雑性を与える、いわゆるescape of flatlandの薬理分子設計の概念にも合致している。本研究では、この複雑性の概念に「光学活性」を与えることを目的として研究を計画した。キュバンはOh対称性分子であり、この骨格に光学活性を与えるのは、サイト選択的に三つの置換基を導入するという煩雑な分子変換が必要となる。そこで、大きく発想を転換し、キュバンという正立方体骨格を歪ませ非対称化するという合成戦略をとることとした。この概念に基づき、キュバンからクネアン(二個の三員環・二個の四員環・二個の五員環からなる六面体)への非対称化により不斉分子とした。この異性化を利用し、セミブルバレンも合成することができた。また感拡大による非対称化も利用し、ホモキュバン・ビスホモキュバン・ホモクネアンの合成を次々と実現し、報告することができた。この一連の反応は、キュバンを出発とする関連カゴ型分子の網羅的合成を実証することができ、新規な不斉カゴ型分子の選択的合成の新規な手法として示すことができた。この手法を我々は「キュバン骨格編集法」と名付け、その概念も発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
キュバンからクネアンへの触媒的不斉異性化を実現したことがきっかけで、本研究を展開した。その後、クネアンからセミブルバレン、そしてホモクネアンへの立体特異的異性化を見いだした。また、キュバンからホモキュバン、そしてビスホモキュバンへの選択的異性化も見いだした。これらは、すべて新規触・反応条件による反応の発見である。このようにカゴ型分子群の合成反応に関して大きなインパクトを与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進は、クネアン骨格からの新規な異性化反応の発見を第一としている。また、これらの骨格編集法においては、クネアンの絶対構造を立体特異的に保持することができる。したがって、光学活性クネアンの入手が鍵となる。既に、我々は、クネアンへの触媒的不斉合成に成功しているが、より実際的な大量入手法の開発が鍵となる。そこで、光学分割を検討している。これまで、クネアンの光学分割を試みた例はない。我々は、不斉補助基の利用、そして酵素反応などを駆使して、この問題を解決する予定である。
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