研究課題/領域番号 |
23K27301
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補助金の研究課題番号 |
23H02610 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47010:薬系化学および創薬科学関連
小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
合同審査対象区分:小区分47010:薬系化学および創薬科学関連、小区分47050:環境および天然医薬資源学関連
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研究機関 | 岡山大学 (2024) 九州大学 (2023) |
研究代表者 |
谷口 陽祐 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00452714)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2026年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 3本鎖DNA / 人工核酸 / 遺伝子発現阻害 / 遺伝子発現活性化 / 遺伝子修復 / 遺伝子発現抑制 / マルチコンジュゲート |
研究開始時の研究の概要 |
2本鎖DNAに直接作用できる分子は、遺伝子異常を伴う疾患の根本的な治療や診断法につながると期待される。これまでに天然の核酸では相互作用できない2本鎖DNA中のCGや5mCG塩基対を認識し安定な3本鎖DNAを形成可能な独自の人工核酸の開発、培養細胞を用いた転写阻害法の開発に成功している。そこで、分子設計概念の拡張による新規TA塩基対認識人工核酸の開発、さらに遺伝子発現の阻害だけでなく3本鎖DNA形成による遺伝子発現の活性化や遺伝子修復研究へ展開し、革新的2本鎖DNA相互作用可能な核酸分子の創成を行う。
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研究実績の概要 |
本課題では、独自の3本鎖DNA形成技術の成果を発展させて「人工核酸による3本鎖DNA形成を基軸とした新規遺伝子発現コントール技術の基盤構築」を目的とする。2本鎖DNAに直接作用できる分子は、遺伝子異常を伴う疾患の根本的な治療や診断法につながると期待される。中でも化学修飾したオリゴヌクレオチドを用いた2本鎖DNA標的アプローチの開発研究は遅れている。そこで、これまでに天然の核酸では相互作用できない2本鎖DNAに対して安定な3本鎖DNAを形成可能な独自の人工核酸の開発、培養細胞を用いたmRNA転写阻害法の開発に成功しているため、分子設計概念の拡張による新規TA塩基対認識人工核酸の開発、さらに遺伝子発現の阻害だけでなく3本鎖DNA形成による遺伝子発現の活性化や遺伝子修復研究へ展開し、革新的2本鎖DNA相互作用可能な核酸分子の創成を行う。 今年度は、TA塩基対を認識可能なフェノール性水酸基を有する新規人工核酸を数種類合成し、3本鎖DNA形成能の評価を行ったところ、その中から有用な分子を見出すことに成功した。また、細胞内さらには核内にオリゴヌクレオチドを到達させるためのマルチコンジュゲート可能な分子の化学合成にも成功した。光反応ユニット分子に関しては化学合成を行い、オリゴヌクレオチドに組み込むことに成功したが、水中での光反応はほとんど進行せず、反応性は非常に悪いものであった。さらに、遺伝子活性化ペプチドとして、論文を参考にして数種類のペプチドを合成することにも成功した。一方で、遺伝子発現がエピジェネティック抑えられている配列に3本鎖DNAを形成させることで、逆に遺伝子発現を活性化させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、研究期間内に次の3項目の内容を明らかにするための詳細な研究を行うことにしている。項目①として、3本鎖DNA形成配列の更なる拡張によるTA塩基対認識人工核酸の創成、項目②として、マルチコンジュゲート核酸の開発によるオリゴヌクレオチドの高度機能化、さらに項目③として、3本鎖DNA形成を基軸とした遺伝子発現の人工的コントロールを行う計画をしている。 項目①では、TA塩基対認識分子として、1点水素結合可能な分子を設計した。この分子は、ベンズイミダゾール骨格を基本としてフェノール性水酸基を有する構造をしている。この分子の誘導体を含む数種類の化合物の合成を達成し、オリゴヌクレオチドに組み込み3本鎖DNA形成能の評価をゲルシフトアッセイにより行った結果、その中からTA塩基対に対して安定な3本鎖DNAを形成可能な分子を見出した。項目②では、マルチコンジュゲート可能な分子の化学合成にも成功しており、オリゴヌクレオチドに組み込むことにも成功している。一方で、光反応を用いたコンジュゲート形成反応を期待したユニット分子は、化学合成に成功はしたものの、機能評価において光反応がほとんど進行しないことが明らかとなった。項目③では、3本鎖DNA形成による遺伝子発現活性化を目指して、3本鎖形成オリゴヌクレオチドに結合させる活性化ペプチドとして、報告論文を参考にして数種類のペプチドを合成することに成功した。さらに、遺伝子発現がエピジェネティック抑えられている配列に対して、安定な3本鎖DNAを形成させ、遺伝子発現抑制分子の結合を阻害することにより、遺伝子の発現を活性化させることにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、研究期間内に次の3項目の内容を明らかにするための詳細な研究を行うことにしている。項目①として、3本鎖DNA形成配列の更なる拡張、項目②として、マルチコンジュゲート核酸の開発、さらに項目③として、3本鎖DNA形成を基軸とした遺伝子発現の人工的コントロールを行う計画をしている。 今後の研究の進め方について、それぞれの項目に関して記述する。まず、項目①では、TA塩基対を認識可能なフェノール性水酸基を有する分子の開発に成功している。しかしながら、選択性が不十分なため選択性を向上させるために、今後は、フェノール性水酸基部分を他の置換基に変換する。例えば、アミノ基に変えた化合物を合成しオリゴヌクレオチドに組み込んで、機能評価を行う計画をしている。このことにより、アミノ基部分の水素結合かつユニット連結部位として利用できると期待される。また、項目②では、マルチコンジュゲートユニットの合成に成功しているため、今後は、種々の機能性分子を連結して細胞を用いた機能評価を行うことにより、それらの機能を明らかにする。また、光反応ユニットは反応条件を種々変更して反応を行い、コンジュゲートが可能かどうかの評価を、HPLCを用いて検証を行う計画をしている。さらに、項目③では、化学合成したペプチドとオリゴヌクレオチドをコンジュゲート可能か様々な反応条件を試して行う。化学合成が可能であれば、非細胞系のアッセイ系を用いた機能評価を行う、または、市販のトランスフェクション試薬を用いて培養細胞に導入し実際に特定遺伝子の発現量を上昇させることができるのかの詳細な検討を行う計画をしている。
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