研究課題/領域番号 |
23K27311
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補助金の研究課題番号 |
23H02620 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
池田 恵介 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (00553281)
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研究分担者 |
中尾 裕之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (00805020)
亀田 倫史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40415774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 膜透過ペプチド / DDS / 環状ペプチド / 膜透過 / ドラッグデリバリ―システム / 脂質膜 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、新規膜透過測定法と人工知能(AI)による、薬物キャリアとして利用可能な高い膜透過性を発揮する環状ペプチドを合理的に設計する方法を確立する。このような環状ペプチド設計法が実現すれば、環状ペプチドの高い安定性を生かした経口投与が可能で、効果が高く副作用の少ない新しい創薬開発につながる技術革新となる。そこで、種々のアミノ酸を網羅的に含む数十~百種類の環状ペプチドについて、独自に構築した測定系により脂質二重膜透過量の測定をおこなう。このデータに応募者らが開発したAIによるタンパク質配列設計法を適用することで、高い膜透過性を持つ配列を非天然アミノ酸を含む広い探索空間から発見する。
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研究実績の概要 |
本研究では、新規膜透過測定法と人工知能(AI)による、薬物キャリアとして利用可能な高い膜透過性を発揮する環状ペプチドを合理的に設計する方法を確立する。このような環状ペプチド設計法が実現すれば、環状ペプチドの高い安定性を生かした経口投与が可能で、効果が高く副作用の少ない新しい創薬開発につながる技術革新となる。そこで、種々のアミノ酸を網羅的に含む数十~百種類の環状ペプチドについて、独自に構築した測定系により脂質二重膜透過量の測定をおこなう。このデータに応募者らが開発した人工知能(AI)によるタンパク質配列設計法を適用することで、高い膜透過性を持つ配列を非天然アミノ酸・特殊アミノ酸を含む広い探索空間から発見する。得られたペプチドの膜透過メカニズムを実験および分子シミュレーションの両面から解析することで、膜透過に重要な因子を明らかにする。また、ペプチドに結合した薬物の細胞内移行性を実験で検証する。本手法の具体的な適用として、がん組織に特徴的な低pH(6.5-6.8)環境においてのみ高い膜透過性を持つpH選択性ペプチドのデザインに応用する。令和5年度は、特殊アミノ酸であるアミノスベリン酸、アミノアジピン酸を含む環状ペプチドについて、そのpH依存的な膜透過性と膜透過メカニズムの解析を実施した。その結果、これらのアミノ酸を用いることで、膜透過pHを調節するとともに、膜透過活性を大きく向上させることが可能であることを明らかにした。これらは今後の膜透過環状ペプチドの合理的設計において重要な情報となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
AIを用いた膜透過環状ペプチドの予測のためのデータの取得を進行中である。現在のところ様々なペプチド変異体を合成し、その膜透過性を評価している。この膜透過性評価のため、蛍光プレートリーダーを用いた測定法を確立し、多数のペプチド試料、溶媒pH条件において効率的に膜透過測定が実施可能な状況が整っている。これまでに、特殊アミノ酸であるアミノスベリン酸、アミノアジピン酸を含む環状ペプチドについて、そのpH依存的な膜透過性を評価した。環状ペプチドに含まれる酸性アミノ酸の側鎖長が大きくなるほど、膜透過が起こるpHが高くなる傾向がみられたことに加え、膜透過速度も増大した。特に、アミノスベリン酸を含む環状ペプチドは、正常組織pHであるpH7.4では膜透過性を示さないのに対し、がん組織に特徴的なpH6.5で顕著な膜透過性を示すことが明らかとなった。このように、環状ペプチドの膜透過性について新たな知見が得られつつあるなど、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、これまでに合成した環状ペプチドに加えてさらなる変異体ペプチドの合成を進める。上記で確立した膜透過測定法を用いて、ペプチドの膜透過測定を実施予定である。得られたデータを機械学習に利用することで、さらに高性能なペプチド配列の予測を実施する。また、膜透過メカニズムの理解のため、CDスペクトル測定を用いて膜透過の際のペプチド構造変化を評価する予定である。
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