研究課題/領域番号 |
23K27315
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補助金の研究課題番号 |
23H02624 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47020:薬系分析および物理化学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
寺沢 宏明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (10300956)
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研究分担者 |
吉永 壮佐 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 講師 (00448515)
松島 綱治 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (50222427)
寺島 裕也 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 講師 (90538729)
牧野 宏章 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (40784369)
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
高橋 秀依 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10266348)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 生体内分子置換反応 / システイン / 炎症シグナリング / NMR / MRI |
研究開始時の研究の概要 |
システインは反応性の高いチオール基をもつアミノ酸であり、生体内において様々な化学修飾を受けるため、生体機能調節に重要な役割を果たす。本研究グループは、炎症シグナリングタンパク質フロントの構造機能解析を行い、抗炎症作用をもつ化合物がフロント分子上のシステインと結合し、炎症シグナリングを抑制することを明らかにした。 本研究は、独自に決定したフロントの立体構造に基づいて、システイン近傍の分子表面に高い親和性で結合する化合物群をデザイン・取得し、評価することにより、炎症シグナリングを制御する新規化合物の獲得を目的とする。本研究は、次世代の抗炎症薬の獲得のみならず、広く共有結合性阻害薬の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
システインは反応性の高いチオール基をもつアミノ酸であり、生体内において様々な化学修飾を受けるため、生体の機能調節に重要な役割を果たしている。炎症性自己免疫疾患の要因となるシグナル伝達タンパク質群においても、システインに化学修飾が生じ、炎症シグナリングが制御される。本研究グループは、炎症シグナリングタンパク質フロントの構造機能解析を行い、抗炎症作用をもつ化合物がフロント分子上のシステインと結合し、炎症シグナリングを抑制することを明らかにした。 本研究は、独自に決定したフロントの立体構造に基づいて、システインおよび近傍の分子表面に高い親和性で結合する化合物群をデザインし、有機合成手法に基づいて取得し、試験管、細胞および動物個体レベルで評価することにより、炎症シグナリングを制御する新規化合物の獲得を目的とする。 得られる成果は、次世代の抗炎症薬の獲得のみならず、広く共有結合性阻害薬の開発に貢献する。 上記の抗炎症作用をもつ化合物について、化学構造を改変したもの9種類をデザインし、有機合成した。このうち6種類について、フロントとケモカイン受容体の結合を阻害する活性をもつことを確認した。残りの3種類については評価中である。これらの化合物のうち5種類について、大腸菌を用いて調製した15N安定同位体標識フロントタンパク質への結合を、2次元1H-15N相関NMRスペクトルを用いて追跡した結果、化学構造改変前の化合物と同様に、フロント上のシステインと結合することを示すNMRスペクトル変化を生じることを明らかにした。以上の結果より、フロント上のシステインと結合するのに必須な化学構造空間について、有益な情報を収集することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画通りに、抗炎症作用をもち、フロントに結合する化合物の化学構造を改変したもの9種類をデザインし、有機合成した。さらには、次の改変体の合成へ向けた合成ルートの確立に成功した。 また、これらの化合物の活性をHTRFアッセイ、および、炎症モデル動物において評価を進めた。 さらに、15N安定同位体標識フロントタンパク質を調製し、フロント上の結合部位について、NMRを用いて解析を進めることに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)DSF改変体の調製・フロントとの相互作用解析・薬効評価:DSF改変体の有機合成、および、大腸菌を用いて安定同位体標識フロントタンパク質の試料調製を行う。DSF改変体のフロント結合・阻害活性はHTRF法とSPR法、ならびに細胞遊走アッセイ系を用いて評価する。DSFの既知標的であるアルデヒド脱水素酵素に対するフロントへの特異性を指標とする。化合物の溶解性・安定性、および、フロントとの反応産物・反応部位の解析は、NMR解析と質量分析により行う。有望な化合物について、In-cell NMRを用いた細胞内動態の解析を行う。化合物によるフロントの細胞内局在変化および分解についても解析する。また、MRIを用いてマウス・ラットの動物モデルにおいて炎症抑制効果を評価する。牧野・澤・高橋が有機合成を担当し、寺島・松島が阻害活性評価、細胞レベルおよび種々の炎症モデル動物における炎症抑制効果の評価を担当する。寺沢・吉永が、タンパク質試料調製、質量分析、NMR解析、MRI解析を担当する。 (2)GSハイブリッド化合物の調製・フロントとの相互作用解析・薬効評価:DSF改変体とグルタチオンのGSハイブリッドを調製し、(1)と同様に解析・評価を進める。合成は、高効率な合成法について牧野・澤・高橋と探索し適用する。また、グルタチオンを構成するグルタミン酸とグリシンを別のアミノ酸に置換したペプチドライブラリーを用いて、より親和性が高いものを探索する。 (3)機能付与化合物Xハイブリットの調製・フロントとの相互作用解析・薬効評価:フロント結合後に細胞内において分解を促進させる、あるいは局在を制御する等の機能を付与した化合物をデザイン・有機合成し、DSF改変体とのハイブリッド化合物を調製する。グルタチオンに機能分子を結合させる等の工夫を施す。牧野・澤・高橋が合成を担当する。
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