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ポリコーム複合体による減数分裂に対する抑制を生殖細胞が解除する仕組みの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K27369
補助金の研究課題番号 23H02678 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分48040:医化学関連
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

奥田 晶彦  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60201993)

研究分担者 浦西 洸介  埼玉医科大学, 医学部, 助教 (40783238)
鈴木 歩  埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80639708)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
キーワード生殖細胞 / ES細胞 / 減数分裂 / 非典型的PRC1 / Max / Myc
研究開始時の研究の概要

二倍体の細胞を一倍体の細胞に変える減数分裂は、生殖細胞に特異的な細胞分裂の様式であり、精子・卵子形成過程におけるもっともダイナミックな過程であるといっても過言ではない。この減数分裂自体に関しては、それを支配する分子機構において種間での保存性が高く、その関係で比較的解析が進んでいるが、生殖細胞が体細胞分裂を止めて減数分裂を開始する機構については種間での保存性に乏しく、そのメカニズムについてもほとんどわかっていない。本研究課題では、PRC1.6複合体、中でもその複合体でのコア部分を構成するMAXとMGAタンパク質の機能解析から、哺乳動物におけるこの仕組みの解明を目指す。

研究実績の概要

私たちは、2016年に、非典型的PRC1複合体の一つであるPRC1.6複合体がES細胞において、減数分裂関連遺伝子群の発現を強力に抑えており、この複合体の構成因子の一つであるMaxタンパク質をコードする遺伝子の破壊により、ES細胞が、生殖細胞ではないにも関わらず、減数分裂関連遺伝子群の発現が高度に上昇するだけではなくて、染色体の形態・構造においても、生殖細胞が減数分裂を開始する際に見られるのとほぼ同じ変化が見られることを報告した。そして、現在に至るまで、私たちは、Max遺伝子を欠失したES細胞で観察された、異所的な減数分裂を規定している分子基盤の解明並びにこの現象の生理的意義の解明を目指して研究を行っている。加えて、これらの研究で得られた研究成果を土台として、生殖細胞で起こっている生理的な減数分裂を支配している分子基盤の解明を目指して研究を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度における成果は、マウス個体における生殖細胞を用いて得られた結果が主である。一つには、Maxコンディショナルノックアウトマウスを用いた解析から、生殖細胞において特異的にMax遺伝子を破壊することにより、強制的に減数分裂を誘導することができることを明確に示すことができ、その結果、ES細胞での異所的な減数分裂と生殖細胞での生理的な減数分裂は、両者に共通した分子メカニズムにより制御されていることが強く示唆された。その他の結果としては、Maxタンパク質の量の減少が、胎生期における生殖隆起内において時間空間的に制御されていることが知られている雌の生殖細胞での減数分裂と酷似した時間空間的な制御を受けてることを明らかにすることができた。かつ、そのMaxタンパク質の量の低下は、転写レベルで制御されていることを明らかにすることができた。また、ES細胞や体細胞分裂時期にある生殖細胞においてMax遺伝子は、極めて高い発現を呈しているが、それら2種類の異なる細胞の両方において高発現を規定している発現領域をMax遺伝子の近傍に見出した。そして、それらの結果をまとめて、昨年度末(2024年3月)に英文雑誌(Scientific Reports)に報告した。その他、減数分裂関連遺伝子群の発現についてのES細胞での比較的緩い抑制からヘテロクロマチンの構築により、より強固な抑制を獲得するための分子メカニズムの一端を解明することができた。また、生理的な意味は未だ不明であるが、ES細胞において、多能性因子の一つであるNanogタンパク質が減数分裂遺伝子上において、PRC1.6複合体と共存しているケースが多いことを見出した。

今後の研究の推進方策

昨年度の研究から、ES細胞と生殖細胞のいずれにおいてもPRC1.6複合体が減数分裂関連遺伝子群の発現を抑制していることが明らかになり、かつ、生殖細胞は、減数分裂を開始に先立って、Maxの発現を低下させることにより、PRC1.6複合体依存的な減数分裂関連遺伝子群に対する発現抑制から解放されていることを明らかにした。但し、生殖細胞がどのようにして、Max遺伝子の発現を低下させているかについては未だ解明できていないので、それについての解明を目指して研究を行う。なお、Max遺伝子の発現の低下は、PRC1.6複合体の機能の低下につながるのみならず、Maxタンパク質を機能する上での必須なパートナーとしているMycタンパク質の機能の低下も伴うので、そのことの、減数分裂の開始における関与の有無についても明らかにすべく研究を実施する。また、私たちは、ES細胞において、PRC1.6複合体により発現が抑制されている減数分裂関連遺伝子群が、細胞の分化に伴って、より強固に抑制されるべく、まず、ヒストンH3の9番目のアミノ酸であるリジンがトリメチル化され、さらには、そのトリメチル化されたヒストンを含む領域が足場となってDNAにメチル化が導入されることについて、まだ論文として発表することはできていないが、昨年度までの研究によりその全容を分子レベルでほぼ解明できているので、本件については、2024年度中での英文論文発表を目指す。かつ、それと同時並行で、PRC1.6複合体とNanogタンパク質の減数分裂関連遺伝子上での共存についての意味及びその背景にある分子基盤の解明を目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Fred Hutchison Cancer Research Center(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] MAX controls meiotic entry in sexually undifferentiated germ cells2024

    • 著者名/発表者名
      Suzuki A, Uranishi K, Nishimoto M, Mizuno Y, Mizuno S, Takahashi S, Eisenman RN, Okuda A.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14(1) 号: 1 ページ: 5236-5236

    • DOI

      10.1038/s41598-024-55506-7

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Similarity and dissimilarity in alterations of the gene expression profile associated with inhalational anesthesia between sevoflurane and desflurane2024

    • 著者名/発表者名
      Nogi Takehiro、Uranishi Kousuke、Suzuki Ayumu、Hirasaki Masataka、Nakamura Tina、Kazama Tomiei、Nagasaka Hiroshi、Okuda Akihiko、Mieda Tsutomu
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 19 号: 3 ページ: e0298264-e0298264

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0298264

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Mga-Atf7ip-Setsb1の相互作用は非生殖細胞における減数分裂関連遺伝子抑制機構の構築に寄与する2024

    • 著者名/発表者名
      浦西洸介、鈴木歩、平崎正孝、西本正純、奥田晶彦
    • 学会等名
      第4回有性生殖研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Maxによる減数分裂遺伝子の抑制制御機構2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木歩、浦西洸介、北村友佳、水野洋介、西本正純、望月健太郎、水野聖也、高橋智、奥田晶彦
    • 学会等名
      第4回有性生殖研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] MgaはAtf7ipとSetdb1をリクルートすることによって減数分裂関連遺伝子にH3K9me3を導入する2023

    • 著者名/発表者名
      浦西洸介、鈴木歩、平崎正孝、西本正純、奥田晶彦
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 減数分裂開始のためのポテンシャル獲得とその発揮の制御機構2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木歩、浦西洸介、北村友佳、水野洋介、西本正純、望月健太郎、水野聖也、高橋智、奥田晶彦
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 埼玉医科大学 医学部 ゲノム基礎医学

    • URL

      https://www.saitama-med.ac.jp/uinfo/biomedsci/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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