配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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研究実績の概要 |
1) CLDN4‐LXRbeta経路による乳がん増悪機構の解明 CLDN4/LXRbeta高発現ヒト乳癌細胞であるT47D及びMCF-7では、CLDN4ノックアウト(KO)株、CLDN4/LXRbetaダブルKO(dKO)株及び各種レスキュー株(dKO:CLDN4:LXRbeta, dKO:CLDN4:LXRbetaS432A, dKO:CLDN4:LXRbetaS432Eを含む)を樹立した。一方CLDN4低発現/LXRbeta高発現株MDA-MB-231ではCLDN4過剰発現細胞を樹立した。これらの細胞株を用いてin vitro/vivoにおける機能欠失・獲得 を評価するとともに、RNAシークエンスにてCLDN4標的遺伝子を解析した。その結果、CLDN4‐LXRbeta経路は乳癌代謝・増悪に寄与することを突き止めた。またCLDN4/LXRbetaをともに高発現するトリプルネガティブ乳がん症例では、予後が極めて不良であることが判明した。 2) がんにおけるpS510-LRH1の臨床病理学的意義の検証 pS510-LRH1を特異に認識するモノクローナル抗体を開発した。手術を受け転機の判明している肝細胞癌167症例を対象として、組織標本をpS510-LRH1抗体で免疫染色した。その結果、pS510-LRH陽性シグナルは肝細胞癌組織の核に限局しおり、そのシグナル強度と陽性率は症例によって異なっていた。半定量した結果、高pS510-LRH1シグナル群の肝細胞癌症例は5年無再発生存率が有意に低く26.5%であった。多変量解析では、高pS510-LRH1シグナルが肝細胞癌再発を予測する独立したバイオマーカーであることが明らかになった。浸潤性膵管癌や肺扁平上皮癌でも、高pS510-LRH1シグナル独立した予後不良因子となる結果が得られている(未発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度に以下の英文原著論文を発表した。 1) Murakami-Nishimagi Y, Sugimoto K, Kobayashi M, Tachibana K, Kojima M, Okano M, Hashimoto Y, Saji S, Ohtake T, Chiba H. Claudin-4-adhesion signaling drives breast cancer metabolism and progression via liver X receptor beta. Breast Cancer Res: 25, 41, 2023. 2) Nishimagi A, Kobayashi M, Sugimoto K, Kofunato Y, Sato N, Haga J, Ishigame T, Kimura T, Kenjyo A, Kobayashi Y, Hashimoto Y, Marubashi S, Chiba H. Aberrant phosphorylation of LRH1 at serine 510 is predictable of hepatocellular carcinoma. Clin Exp Med, 23: 4985-4995, 2023. また肝細胞癌以外のがんにおけるpS510-LRH1の臨床病理学的意義についても解析が進んでいる。 以上の理由から、本研究課題は当初の計画以上に進展していると判断した。
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