研究課題/領域番号 |
23K27427
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補助金の研究課題番号 |
23H02736 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山下 政克 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (00311605)
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研究分担者 |
松岡 祐子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (10879711)
鈴木 淳平 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (20734239)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | T細胞 / 細胞老化 / エピジェネティクス / 細胞内代謝 / Innate CD8 T / Bach2 / Menin / IL-2Rb / IL-12R / IL-18R / 代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、トランスオミックス解析を駆使し、代謝-エピゲノムによるCD8 T細胞老化調節機構を解明するとともに、老化CD8 T細胞の生理学・病態生理学的役割を明らかにすることで、T細胞老化調節を介した免疫応答制御のための方法論確立を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでの研究から、腫瘍抑制因子MeninはT細胞老化・終末分化を抑制しており、その下流分子としてBach2を見出している。しかし、これらの結果はいずれもin vitro培養系を用いた研究によって得られたものであり、実際にT細胞におけるMeninやBach2の欠損が、in vivoでどのような影響を及ぼすのかは十分に解析されたわけではない。そこで、本年度はT細胞得意的Menin、Bach2の脾臓T細胞のシングルセルRNA解析を行った。その結果、T細胞得意的Bach2欠損ナイーブマウスの脾臓では、IL-18受容体(R)/IL-2Rb/IL-12R陽性のセントラルメモリー型自然CD8 T細胞(innate CD8 T細胞)数が著しく増加していることがわかった。Innate CD8 T細胞は、ヒト・マウスにおいて加齢と共に増加することが知られていることから、Bach2はCD8 T細胞老化・終末分化を抑制している可能性が考えられた。Innate CD8 T細胞の増加は、Menin欠損マウスにおいても認められたが、Bach2 欠損に比べて軽微なものであった。Innate CD8 T細胞数は、T細胞特異的Bach2ノックインマウスで減少したこと、ChIPシーケンスの再解析でIl18rap、Il12rb、Il12rb1/b2遺伝子座でBach2の結合が認められたことから、Bach2はIL-18R/IL-2R/IL-12Rの発現を直接抑制していると考えられた。わたしたちは、これまで腫瘍抑制因子MeninがBach2の発現維持に重要であること、IL-12IL-18がMeninの発現を誘導できることを見出している。このことは、Menin-Bach2-IL-2R/IL12R/IL-18R経路がフィードバック制御により発現を調節している可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Menin-Bach2による終末分化(老化)CD8 T細胞の新たな分化制御経路を見出したこと、Menin-Bach2-IL-2R/IL12R/IL-18R経路がフィードバックループによるT細胞老化(終末分化)制御の可能性を見出したから、研究は概ね順調に推移していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、Bach2欠損、Bach2ノックインマウスを用いてinnate CD8 T細胞の抗腫瘍免疫における役割について解析を進めている。今後は、リステリア感染モデルなどを用いて、innate CD8 T細胞の記憶CD8 T細胞分化について解析を進める予定である。 それに加え、新たに見出したMenin-Bach2-IL-2R/IL12R/IL-18R経路がフィードバックループによるT細胞老化(終末分化)制御機構の詳細を明らかにする目的で研究を進める。
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