研究課題/領域番号 |
23K27434
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補助金の研究課題番号 |
23H02743 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤本 明洋 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30525853)
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研究分担者 |
松岡 雅雄 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), シニア教授 (10244138)
鵜木 元香 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (30525374)
安永 純一朗 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (40362404)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | がん / 転写異常 / ロングリード / トランスクリプトーム / 長鎖シークエンス / 転写産物 |
研究開始時の研究の概要 |
発がんのメカニズム解明と治療標的の発見は、がん研究において最も重要な研究課題の一つである。本研究では、長鎖シークエンス技術を用いて、複数の難治性がんの転写産物の完全長解析を行うことを目的とする。この研究により、がんの転写異常の全貌をスプライシングバリアント単位で明らかにし、発がんのメカニズムの解明、治療標的の探索を行う。転写産物完全長の網羅的な解析は、長鎖シークエンス技術によって初めて可能となった。本研究により有用な発見が得られる可能性は非常に高いと考えられる。
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研究実績の概要 |
発がんのメカニズム解明と治療標的の発見は、がん研究において最も重要な研究課題の一つである。これまでに、多くのゲノムや転写産物の研究が行われてきた。しかしながら、多くの先行研究は、読み取り長が短い(短鎖)の次世代シークエンサー(NGS)を用いて行われてきた。短鎖NGSは、リード長が短いため変異や転写産物の全体像を明らかにすることができない。本研究では、複数の難治性腫瘍を標的として、長鎖シークエンス技術を用いて、転写産物全長を決定し、発がんのメカニズムの解明、治療標的の探索を行う。 2023年度はATLの主に解析を行った。成人性T細胞白血病(ATL)はHTLV1ウイルスの感染により生じる血液腫瘍である。発症機序の解明や治療標的の発見を目的として様々な研究が行われ、関連する遺伝子や変異が同定されてきた。トランスクリプトーム研究は細胞中に存在するRNAを網羅的に解析する研究であり、発現量を解析することで発がんに関係する遺伝子を発見することが期待される。本研究では、ATL患者と健常者に由来するATL細胞サンプルとCD4陽性T細胞サンプルのRNAを用いて長鎖シークエンシング(Oxford Nanopore)を行った。シークエンス結果はSPLICEソフトウエアを用いて解析し、ATL細胞とCD4陽性T細胞で発現量が有意に異なるアイソフォームを検出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ATL細胞と正常細胞で発現量に差があるアイソフォームについて、発現量の差とコードされるタンパク質の構造に着目した解析を行った。その結果、遺伝子単位では発現量に有意差はないが、アイソフォーム単位では有意差の存在する遺伝子が存在した。さらに、検出されたアイソフォームのうち、タンパク質をコードすると見做せるものを網羅的に翻訳してモチーフ検索を行ったところ、遺伝子内の複数のアイソフォームにおいて、ATLで発現量が変化してるアイソフォームに共通するモチーフが発見された。この結果に基づいてドライバー遺伝子候補を選択し、細胞株で強制発現とノックダウン実験を行ったが、遺伝子導入効率が想定よりも悪かった。現在、実験のプロトコルを見直し、最適な条件を確立できつつあるが、予想よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、細胞株で強制発現とノックダウン実験のプロトコルを見直し、最適な条件を確立できつつある。ATLのドライバー遺伝子の機能解析を行う予定である。 また、MDSのシークエンス解析も引き続き行う予定である。
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