研究課題/領域番号 |
23K27446
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補助金の研究課題番号 |
23H02755 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
宮田 憲一 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, 特任研究員 (20816938)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 多様性 / エピゲノム / 膵がん |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞は多様性に富む不均一な細胞集団であり、この多様性ががんの悪性度や治療抵抗性を高める根源となっている。そのため、がん細胞が多様性を獲得する分子機構の解明は、がん治療やがんの本質を理解するために極めて重要である。本研究計画では、膵がんで起きているエピゲノム改変因子(EpiModifiers)の機能異常が、がん細胞の多様性を引き起こし、これが悪性化や治療抵抗性の獲得に寄与している仮説に基づき 、EpiModifiersの機能異常がもたらすがん細胞の多様性及び治療抵抗性獲得機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
がん細胞は多様性に富む集団であり、この多様性ががんの悪性度や治療抵抗性を高める根源となっている。そのため、がん細胞が多様性を獲得する分子機構の解明は、がんの本質の理解や治療のために極めて重要である。しかし、がん細胞の多様性獲得機序やどのレベルの多様性が治療抵抗性に寄与しているのか不明な点が多い。 事前検討して、研究代表者は、膵がん患者で起きているエピゲノム改変因子(Epigenetic modifiers) の機能低下が、がん細胞の多様性を増大させている可能性を見出している。そのため、本年度はまず、①がん細胞の多様性レベルを正確に定量するための評価指数の検討、及び、②多様性に富むがん細胞集団を模倣したモデルの構築に取り組んだ。まず、①生物種の多様性指数として知られているシャノン指数、及び主成分分析から出力される代表的な主成分得点のバラツキが、がん細胞集団のトランスクリプトーム多様性レベルを評価できる多様性指数として有用であることを見出せた。また、②膵がん患者で起きているEpigenetic modifiers の機能低下を、複数の膵がん細胞株に対して誘導することで多様性レベルが増大させると同時に、各クローン情報を保持したままシングルセル解析を行える画期的なシステムの開発に成功した。この新規システムは、膵がん患者で見られるEpigenetic modifiers の機能低下に起因する多様な細胞集団を模倣していることを示唆しており、多様性ががんの悪性化に与える影響を解析できうるため、さらなる解析によりがん細胞の多様性の理解に進展へと繋がることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、がん細胞の多様性レベルが腫瘍進展へ及ぼす影響を解明すべく、多様性レベルの大小を評価できる指数の検討を行った。そして、生物種の多様性指数として知られているシャノン指数、及び主成分分析から出力される代表的な主成分得点のバラツキが、がん細胞集団のトランスクリプトーム多様性レベルを評価できる多様性指数として有用であることを見出せた。さらに、膵がん患者で起きているEpigenetic modifiers の機能低下を、複数の膵がん細胞株に対して誘導することで多様性レベルが増大させると同時に、各クローン情報を保持したままシングルセル解析を行える画期的なシステムの開発に成功した。以上の成果より、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度確立した多様性評価指数と新たに開発した多様性解析システムを用いて、膵がん患者で起きているEpigenetic modifiers の機能低下が、具体的にどういった遺伝子群や制御領域が多様性の創出へと寄与しているのかをトランスクリプトーム・エピゲノムの階層に着目し、これをシングルセルレベルの解像度で解析することで、がん細胞の多様性レベルが腫瘍悪性化機構へ及ぼす影響の解明に向けた方策を得たい。
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