• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

ネオアンチゲン特異的T細胞の分化と機能を制御する分子基盤の解明による治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K27453
補助金の研究課題番号 23H02762 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関近畿大学

研究代表者

垣見 和宏  近畿大学, 医学部, 教授 (80273358)

研究分担者 長岡 孝治  近畿大学, 医学部, 准教授 (80649799)
小林 由香利  近畿大学, 医学部, 助教 (40866919)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
キーワードT細胞Exhaustion / CRISPRスクリーニング / ネオアンチゲン / ネオアンチゲン特異的T細胞 / TCR-T細胞治療 / Tpex / Ttex / CRISPR-Cas9 / 腫瘍特異的T細胞 / TCR-T細胞 / がん免疫 / ゲノム編集 / 免疫制御
研究開始時の研究の概要

CRSPR-Cas9システムを用いてT細胞のゲノムワイドの機能スクリーニングを行い、in vitroの培養で抗原刺激を繰り返したのちも増殖能を維持している細胞、あるいは、担癌マウスに養子移入後に腫瘍内でエフェクター機能を保持して腫瘍を縮小させた腫瘍浸潤T細胞のシングルセル解析を行い、個々の細胞における責任分子と、それによる遺伝子発現の変化を解析することで、NeoAg特異的細胞のTpexからTtexへの分化と機能を制御する分子基盤を解明し、その制御に基づいたがん免疫治療法を開発する。

研究実績の概要

腫瘍内で腫瘍抗原を認識したT細胞は、腫瘍による持続するTCRシグナルにより、エフェクターT細胞(Teff)から疲弊T細胞(Tex)へと分化する。Texは、さらに増殖能を保ったprecursorあるいはprogenitor exhaustedの状態にあるT細胞(Tpex)と、エフェクター機能を亢進する代わりに増殖能を喪失したterminally exhaustedの状態に陥ったT細胞(Ttex)に分けられる。腫瘍内TCRシグナルが持続する中でTpexからTtexへ分化するプログラムに介入し。細胞増殖とエフェクター機能の両者を持続させるためのカギとなる分子メカニズムを同定するために本研究を行った。
TpexからTtexへの分化を再現するために、マウス胃がん細胞株YTN16のネオアンチゲンmCdt1を特異的に認識するCD8陽性T細胞からTCR遺伝子をクローニングしてレトロウイルスベクターに組み込み、CD8陽性T細胞に遺伝子導入して、mCdt1特異的TCR-T細胞を作製した。このTCR-T細胞とYTN16細胞を繰り返し共培養して抗原刺激を持続させると、TCR-T細胞はLy108+Tim-3-のTpexからLy108-Tim-3+のTtexへと変化した(in vitro exhaustion model)。
マウスの腹腔内にYTN16細胞を播種して胃がんの腹膜播種モデルを作製した。腹腔内にmCdt1特異的TCR-T細胞を投与すると、投与後1週間程度は腫瘍増殖を抑制したが、その後T細胞のエフェクター機能の喪失と共に急速に腫瘍が増大した(in vivo exhaustion model)。
TpexからTtexへと変化するin vitroおよびin vivo exhaustionモデルにおいて、TCR-T細胞に対してゲノムワイドのCRISPRスクリーニングを行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度はTpexからTpexへの分化を安定して再現できるin vitroとin vivoの実験系を構築できたことから、次年度以降、腫瘍特異的CD8陽性T細胞の実際の腫瘍内微小環境課に近い状況でのゲノムワイドのCRISPRスクリーニング解析を可能にするシステム構築を完了できたことから、本研究はおおむね順調に進行している。
腫瘍特異的CD8T細胞において、ゲノムワイドのCRISPRスクリーニングを効率よく実施するため、理化学研究所sCAT (systematically Cas9-expressing transgenic)マウスの提供を受け研究に用いた。このマウスの脾細胞からCD8陽性T細胞を分離し、抗CD3/CD28抗体ビーズで刺激後にTCRα鎖β鎖遺伝子の定常部分に対するガイドRNA(gRNA)をエレクトロポレーションしてTCR遺伝子のノックアウト効率を検討した。コントロールには、Cas9蛋白質gRNA複合体(RNP)を用いた。RNPを用いたポジティブコントロールでは完全にTCRの発現をノックアウトできたが、Cas9トランスジェニックマウスにgRNAを導入したT細胞ではノックアウト効率が低かった。このマウスではCAG プロモーター制御下でhumanized Cas9を発現するため、組織でのCas9発現と比較してリンパ球でのCas9蛋白の発現が低いことが原因であると考えられた。現在リンパ球での発現が期待できるプロモーターを用いた新たなCas9トランスジェニックマウスの作成準備中である。

今後の研究の推進方策

CRISPRスクリーニングを効率よく実施するために、リンパ球(特にCD8陽性T細胞)でCas9蛋白を高発現するトランスジェニックマウスを作製するため、EFプロモーターの下流にCas9遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを作製する。しかしながら、Cas9トランスジェニックマウスの作製や使用に問題が生じても、CD8陽性T細胞に対してCas9蛋白のエレクトロポレーションあるいは、レンチウイルスべクターを用いたCas9遺伝子導入によって、CRISPR-Cas9による遺伝子編集技術によるゲノムワイドのCRISPRスクリーニングを実施する予定である。
マウスではネオアンチゲン(Cdt1)特異的TCR-T細胞を用いたTpexとTtexの解析系が構築できたので、令和6年度は、ヒト患者の腫瘍由来のネオアンチゲン特異的TCR-T細胞を用いたTpex/Ttex解析系を構築する。すでに肺がん患者のネオアンチゲンを同定し、そのTCR遺伝子も同定済みであることから、レトロウイルスベクターを用いてヒト末梢血CD8陽性T細胞に遺伝子導入してTCR-T細胞を作製する。in vitroでのネオアンチゲンペプチドを用いた抗原刺激によりTpexからTtexへの分化を促し、CRISPRスクリ-ニングを可能にする。PBMCに対してレトロウイルスベクターを用いてTCR遺伝子導入を行うと、内因性のTCRとのミスペアリングが生じるため、TCRシグナルが減弱する可能性がある。その場合は、TCRα鎖β鎖をTCR遺伝子領域にノックインすることで内因性のTCRの発現を妨げ、導入するネオアンチゲン特異的TCRのみを発現するTCR-T細胞を作成して、CRISPRスクリーニングを実施する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Mathematical modeling identifies LAG3 and HAVCR2 as biomarkers of T cell exhaustion in melanoma2023

    • 著者名/発表者名
      Beck Richard J.、Sloot Sander、Matsushita Hirokazu、Kakimi Kazuhiro、Beltman Joost B.
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 26 号: 5 ページ: 106666-106666

    • DOI

      10.1016/j.isci.2023.106666

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Concurrent identification of true neoantigens and neoantigen-specific T cells by scRNA-Seq and scTRC-Seq.2023

    • 著者名/発表者名
      Yukari Kobayashi, Koji Nagaoka, Sachiko Okamoto, Kazuhiro Kakimi,
    • 学会等名
      SITC 2023 San Diego: the 38th Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] scTCR/RNA-Seq identifiy two exhausted T cell subsets in neoantigen-specific CD8+ T cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Koji Nagaoka, Yukari Kobayashi, Hiroto Katoh, Tomoko Saito, Yoshikazu Totsuka, Kazuyoshi Takeda, Shumpei Ishikawa, Kazuhiro Kakimi.
    • 学会等名
      SITC 2023 San Diego: the 38th Annual Meeting
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 軟部肉腫におけるネオアンチゲン特異的TCRの探索2023

    • 著者名/発表者名
      小林由香利, 長岡孝治, 佐藤靖祥, 船内雄生, 久保花織, 西江敏和, 岡本幸子, 高橋俊二, 垣見和宏
    • 学会等名
      第20回日本免疫治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] scRNA-Seq, TCR-Seqデータを用いたネオアンチゲン特異的TCRの同定と、ネオアンチゲン特異的CD8+T細胞に含まれる2種類の疲弊T細胞の解析.2023

    • 著者名/発表者名
      長岡孝治, 小林由香利, 加藤洋人, 齊藤知子, 戸塚義和, 竹田和由, 石川俊平, 垣見和宏
    • 学会等名
      第20回日本免疫治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 養子免疫細胞療法におけるがん微小環境のエージェントベースモデルによるシミュレーション解析2023

    • 著者名/発表者名
      河西硯紀, 長岡孝治, 垣見和宏, 角田達彦
    • 学会等名
      第20回日本免疫治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 肺がんと軟部肉腫におけるネオアンチゲン特異的TCRの探索とその性質の比較2023

    • 著者名/発表者名
      小林由香利, 長岡孝治, 佐藤靖祥, 船内雄生, 久保花織, 西江敏和, 岡本幸子, 高橋俊二, 垣見和宏
    • 学会等名
      第27回日本がん免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] scRNA-Seq,scTCR-Seqデータを用いたネオアンチゲン特異的TCRの同定とそれらを持つ2種類の疲弊T細胞の解析2023

    • 著者名/発表者名
      長岡孝治, 小林由香利, 加藤洋人, 斉藤知子, 戸塚義和, 竹田和由, 石川俊平, 垣見和宏
    • 学会等名
      第27回日本がん免疫学会総会.
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 肺がんと軟部肉腫におけるネオアンチゲン特異的TCRの探索2023

    • 著者名/発表者名
      小林由香利. 長岡孝治. 佐藤靖祥. 岡本幸子. 榎竜嗣. 垣見和宏.
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi