研究課題/領域番号 |
23K27456
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補助金の研究課題番号 |
23H02765 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 弘樹 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 特任教授(常勤) (20448054)
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研究分担者 |
樺山 一哉 大阪大学, 放射線科学基盤機構, 教授 (00399974)
下山 敦史 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (90625055)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2026年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | アスタチン / 悪性腫瘍 / ナノ粒子 / アルファ線 / 核医学治療 / 癌 / 標的アイソトープ治療 / 核医学 |
研究開始時の研究の概要 |
金ナノ粒子(AuNP)はα線放出核種であるアスタチン(211At)と簡単にかつ直接強固に結合し、その結合が生体内で極めて安定である。本研究では、211At-AuNPを核とした、α線による新しい癌治療法の開発を目指した研究を行うことを目的としている。211At-AuNP薬剤の局所投与による表在性癌の治療、静脈投与による全身投与による癌治療、さらに、腹腔内投与による悪性腫瘍腹膜播種の治療法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、ナノ粒子を核とした、標的アイソトープ治療薬剤の開発を目指している。 これらの薬剤は、その剤型を工夫することにより、投与方法に関して最適化することを目標としている。 本年度は、まず腹腔内投与薬剤に重点を置いて開発を開始した。 まず、これまでの検討におけるいわゆるリード化合物としてmPEG-S-AuNP[211At]-c[RGDfK(C)]について検討を進めた。これまでに、ラットグリオーマ、およびヒト膵癌株BxPC3を対象に検討を行い、有効性を示唆する結果を得たが、さらに膵癌株(PANC-1)の播種モデルに対して、その生存期間延長効果を確認した。その結果、PANC-1に関しても明らかな全生存期間延長効果が認められた。作用機序の確認のため、腫瘍細胞傷害性に関する試験として、ミトコンドリア機能(CCK8)、DNA二重鎖断裂(DSB)、さらに、コロニー形成阻害試験を施行した。その結果、C6、BxPC3細胞に関して、すべての試験で腫瘍細胞傷害性を認めた。また、その効果は放射能依存性であった。さらに、環状RGDペプチドを修飾しない金ナノ粒子mPEG-S-AuNP[211At]に細胞を暴露したところ、コロニー形成阻害性はリード化合物暴露の場合と比較して弱かった。このことから、作用機序はアルファ線によるものであり、薬剤は環状RGDによるターゲティングにより悪性細胞に作用することが明らかになった。さらに、リード化合物とは異なる構造を持つ類似化合物に関しても、in vivoによる薬物動態試験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アスタチン標識金ナノ粒子薬剤の腹腔内投与による、悪性細胞の殺傷に関する基本的なデータの収集を行っている。細胞実験レベルで細胞障害性が放射能依存的であること、標的分子による細胞内在化がメカニズムとして重要であることを示唆する実験結果を収集し始めている。これらは、アルファ線による腹膜播種治療に関して、重要な基礎的データであり、成果である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実験動物の腹腔内に提案するリード化合物を投与し、その動態を詳細に確認する予定である。さらに、分子構造を変化させたその他の候補化合物を作成し、それらの化合物の安定性を確認したうえで、実際に実験動物の腹腔内に投与し、その動態を同様に確認する予定である。また、それらの化合物にアスタチンを標識し、その標識率、標識の安定性の確認も必要であると考えている。
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