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補助刺激受容体とクロストークするキメラ抗原受容体シグナロソームの視点と開発基盤

研究課題

研究課題/領域番号 23K27466
補助金の研究課題番号 23H02775 (2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2023)
応募区分一般
審査区分 小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
研究機関東京医科大学

研究代表者

横須賀 忠  東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10359599)

研究分担者 竹内 新  東京医科大学, 医学部, 准教授 (00360579)
若松 英  東京医科大学, 医学部, 講師 (40632617)
町山 裕亮  東京医科大学, 医学部, 講師 (40704606)
西嶋 仁  東京医科大学, 医学部, 講師 (60425410)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
キーワード細胞療法 / T細胞補助刺激受容体 / キメラ抗原受容体 / 分子イメージング / シグナル伝達 / CAR-T細胞 / シグナル伝達分子 / マイクロクラスター / 免疫シナプス / 免疫チェックポイント / 2B4 / ICOS / イメージング
研究開始時の研究の概要

免疫チェックポイント阻害剤もキメラ抗原受容体CAR-T細胞療法も開発にはT細胞バイオロジーを真に理解する必要がある。「シグナロソーム」=免疫細胞活性化のシグナル単位という視点から、1細胞1分子イメージングによってT細胞補助シグナルを可視化すると、同じ活性型補助受容体でも新たなシグナロソームを形成することが分かって来た。T細胞応答を調節する活性型・抑制型補助刺激受容体と、補助刺激シグナルドメインを挿入しエンジニアリングされたCARとを双方向的に研究することによって、より科学的根拠に基づいたCARのデザインの創出と、反転的に複雑なT細胞補助刺激受容体ネットワークの解明への挑戦を提案する。

研究実績の概要

免疫チェックポイント阻害剤やキメラ抗原受容体CAR-T細胞療法は適応症例が拡大している現在も、いまだメカニズムの全容は把握されておらず、開発途中にある。どちらの治療の中核を担うT細胞バイオロジーを真に理解するため、シグナロソームとして免疫細胞活性化のシグナル単位という視点に立ち、かつ1細胞1分子イメージングによってTCRおよびT細胞補助シグナルを可視化定量化することで、T細胞応答を調節する活性型・抑制型補助刺激受容体およびCARのシグナロソームとの双方向的研究を目的とした。2023年度は①T細胞およびNK細胞の補助刺激受容体2B4、②同ICOSの分子イメージングとCARの生化学的解析および抗腫瘍効果の検証を行った。通常CAR-2B4には脱リン酸化酵素SHIPがリクルートし、抑制性シグナロソームを形成するが、アダプター分子SAPの人為的発現でキナーゼFynがリクルートし活性型シグナロソームへとスイッチする現象がみれらた。また、細胞傷害活性の上昇が見られる一方、サイトカイン産生には影響しないことが確かめられた。CAR-ICOSにはフォスファチジルイノシトールキナーゼPI3Kが遷延化する形でリクルートし、これまで知られていたCD28-PI3K経路をリバイスする結果が得られた。またCAR-CD28と比較しても、サイトカイン産生や細胞傷害活性は遜色ないことを、in vitroおよびin vivoで示した。引き続き、科学的根拠に基づいたCARのデザインの創出と、反転的に複雑なT細胞補助刺激受容体ネットワークの解明を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CAR-2B4は世界的にも試験されてきた歴史がある一方、実用化には至っていない。一方、CAR-NK細胞治療にも親和性があり、また2B4シグナル自体の解明が不十分で、CAR作製の科学的根拠に乏しい。2023年度は2B4単体の生化学的解析から行い、2B4の生体における機能を明確にすることができた。2B4のリガンドであるCD48をガラス平面支持脂質二重膜SLBへの導入に成功し、2B4の1分子観察を可能にした。2B4はリガンド依存的にクラスタリングし、通常の細胞内分子構成の場合はSHIPをリクルートし抑制性シグナロソームを形成すること、SAPの補充によりFynをリクルートし活性型シグナロソームとなることを明確に示した。同様の分子の挙動はCAR-2B4でも観察され、Fynの分子数調整を行う事でCAR-2B4が抗腫瘍効果を十分に発揮出来ることを明らかにできた。また、従来のLck中心のSrcファミリー分子のリクルートではなく、SHIPの関与も予想され、サイトカイン産生は助長しないCARであったことが分かり、サイトカイストームを誘発しない新たなCAR-T細胞を開発出来る可能性を見出した。
CAR-ICOSも、実験的には試されたものの、実用化には遠いCARの1つである。CAR-ICOSに関しても、まず、ICOS自身の解析から始め、PI3Kの制御ドメインも酵素活性ドメインも、強力かつ長時間ICOSにリクルートする現象が確認できた。これまでPI3Kシグナルのアンプリファイアーと考えられていたCD28に比較しても量質ともに10倍以上の強調効果があり、T細胞補助刺激シグナルの根本を覆す結果が得られた。CAR-ICOSの抗原特異的細胞傷害活性はin vitroでCAR-CD28相当にあること、また担がんマウスモデルを用いたin vivo腫瘍縮小効果も十分獲得していることを示すことができた。

今後の研究の推進方策

CAR-2B4-T細胞療法とサイトカインストームの関連において、サイトカイン産生量のみではなく、サイトカインストームを視野においたより強い炎症モデルにて2B4の機能的解析を予定している。体温および体重測定にてアウトプットが出せる条件設定を検討中である。
In vivoモデルをよりヒトに近似させるため、ヒト化マウスの導入を試みる一方、実験系のヒト化を予定している。まずCAR-T細胞の標的となるCD19は、マウスB細胞も発現しており、腫瘍以外のCARへの刺激がCARの活性化増強やあるいは持続する強力なシグナルによって疲弊を誘導するか、検証する必要がある。マウスB細胞特異的に発現させるプロモーターカセットを、阪大産業科学研究所宮崎先生より供与戴いたカセットを元に、ヒトCD19(hCD19)を発現するマウスの作製に着手している。二重特異性抗体との比較も範疇に考え、hCD3eのKIマウスも試みたが、細胞外ドメインのみをスワッピングさせたコンストラクトにてスプライシング異常が発生したため、cDNA全長のKIマウスを作製予定である。
CAR-4-1BBとCAR-CD28の比較検証の試み。実臨床からにわかに最近、CAR-CD28の有用性の再考とCARにおけるCD28シグナルの詳細なメカニズム解明が注目されている。4-1BBとの比較において、まず4-1BB自身のシグナロソームを解析するため、CD137LのSLBへの導入を予定し、まずHisタグ-ニッケル結合を用いた系の立ち上げを行う。次にTRAFファイミリー分子の4-1BBヘのリクルートおよびシグナロソーム形成が起こるか1細胞イメージングにて検証する。CD28単体シグナルとして我々が明らかにしたPKCq-NFkB経路と4-1BB-TRAF-NRkB経路のコンポーネントの違いを可視化すると共に、まずはCARにおける解析の基礎データの蓄積を試みる。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] ベイラー医科大学(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Evaluation of therapeutic PD-1 antibodies by an advanced single-molecule imaging system detecting human PD-1 microclusters2023

    • 著者名/発表者名
      Nishi Wataru、Wakamatsu Ei、Machiyama Hiroaki、Matsushima Ryohei、Saito Kensho、Yoshida Yosuke、Nishikawa Tetsushi、Takehara Tomohiro、Toyota Hiroko、Furuhata Masae、Nishijima Hitoshi、Takeuchi Arata、Azuma Miyuki、Suzuki Makoto、Yokosuka Tadashi
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 1-16

    • DOI

      10.1038/s41467-023-38512-7

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] PD-1-mediated suppression of CAR-T cells via CAR signalosomes colocalized by PD-12024

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Yoshida、Hiroaki Machiyama、Ei Wakamatsu、Arata Takeuchi、Hitoshi Nishijima、Tetsushi Nishikawa、Ryohei Matsushima、Masae Furuhata、Hiroko Toyota、Mamonkin Maksim、Brenner Malcolm K、Tadashi Yokosuka
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Comparison of linear and parallel co-stimulatory signaling via CD28 in the activation of Chimeric Antigen Receptor T Cells2024

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Nishikawa、Arata Takeuchi、Hiroaki Machiyama、Ei Wakamatsu、Hitoshi Nishijima、Masae Furuhata、Hiroko Toyota、Nishi Wataru、Ryohei Matsushima、Yosuke Yoshida、Tadashi Yokosuka
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] c-SMAC formation in double positive T cells functions as a checkpoint in thymic selection2024

    • 著者名/発表者名
      Hitoshi Nishijima、Ei Wakamatsu、Hiroaki Machiyama、Arata Takeuchi、Tetsushi Nishikawa、Yosuke Yoshida、Tadashi Yokosuka
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Fine tuning of T cell activation by multistep regulation of CD6 and its ligand CD1662024

    • 著者名/発表者名
      Arata Takeuchi、Tetsushi Nishikawa、Hiroaki Machiyama、Ei Wakamatsu、Hitoshi Nishijima、Masae Furuhata、Hiroko Toyota、Ryohei Matsushima、Yosuke Yoshida、Tadashi Yokosuka
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] CD4/CD8 coreceptor binding to MHCs positively regulate CAR-T cell response via translocation of Lck into CAR microclusters2024

    • 著者名/発表者名
      Hiroaki Machiyama、Ei Wakamatsu、Arata Takeuchi、Hitoshi Nishijima、Tetsushi Nishikawa、Ryohei Matsushima、Yosuke Yoshida、Masae Furuhata、Hiroko Toyota、Mamonkin Maksim、Brenner Malcolm K、Tadashi Yokosuka
    • 学会等名
      第52回日本免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 超解像イメージングが解明する免疫チェックポイント阻害療法の分子メカニズム2024

    • 著者名/発表者名
      横須賀忠、西航、松島遼平、西川哲史、吉田洋輔、竹原朋宏、西嶋仁、町山裕亮、若松英、竹内新
    • 学会等名
      第51回日本集中治療医学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] キメラ抗原受容体CAR-T細胞の初期の活性化と細胞応答におけるLckの分子動態と共受容体の関与2023

    • 著者名/発表者名
      町山裕亮、若松英、西嶋仁、竹内新、横須賀忠
    • 学会等名
      第32回京都T細胞カンファレンス
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ヒトPD-1マイクロクラスターの1分子イメージングを用いた治療用抗PD-1/PD-L1抗体の機能評価の研究2023

    • 著者名/発表者名
      横須賀忠、西航 、若松英、町山裕亮、松島遼平、吉田洋輔、西川哲史、竹原朋宏、西嶋仁、竹内新、東みゆき、鈴木実
    • 学会等名
      第26回日本がん免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 分子イメージングシステムを用いた補助刺激受容体2B4のT細胞におけるスイッチング機構の解明とCAR-T細胞への応用2023

    • 著者名/発表者名
      松島遼平、若松英、齋藤顕昇、吉田洋輔、西川哲史、西航、豊田博子、古畑昌枝、町山裕亮、西嶋仁、竹内新、鈴木実、横須賀忠
    • 学会等名
      第26回日本がん免疫学会総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Super-resolution imaging elucidates the molecular mechanism of CAR-T cells and ICI immunotherapy2023

    • 著者名/発表者名
      Tadashi Yokosuka
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Super-resolution imaging elucidates the molecular mechanism of CAR-T cells and ICI immunotherapy2023

    • 著者名/発表者名
      横須賀忠、若松英、西嶋仁、竹内新、松島遼平、西航、西川哲史、吉田洋輔、Maksim Mamokin、Malcolm K Brenner、町山裕亮
    • 学会等名
      第85回日本血液学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 免疫チェックポイント阻害剤の効果に影響するヒトPD-1変異の解析2023

    • 著者名/発表者名
      西航、若松英、町山裕亮、松島遼平、西川哲史、吉田洋輔、豊田博子、古畑昌枝、西嶋仁、竹内新、池田公英、鈴木実、横須賀忠
    • 学会等名
      第64回日本肺癌学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [図書] Basic Immunology and Its Clinical Application2024

    • 著者名/発表者名
      Nishi Wataru, Ei Wakamatsu, Hiroaki Machiyama, Ryohei Matsushima, Yosuke Yoshida, Tetsushi Nishikawa, Hiroko Toyota, Masae Furuhata, Hitoshi Nishijima, Arata Takeuchi, Makoto Suzuki, Tadashi Yokosuka
    • 総ページ数
      258
    • 出版者
      Springer
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 東京医科大学免疫学分野ホームページ

    • URL

      https://tokyo-med-imm.jimdofree.com/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 東京医科大学プレスリリース

    • URL

      https://www.tokyo-med.ac.jp/news/pressrelease/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-18   更新日: 2024-12-25  

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