研究課題/領域番号 |
23K27475
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補助金の研究課題番号 |
23H02784 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂口 昌徳 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (60407088)
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研究分担者 |
橋本谷 祐輝 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (50401906)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | シナプス可塑性 / 海馬 / 新生ニューロン / 恐怖記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、睡眠中の記憶固定化におけるシナプス可塑性の役割を解明することを目的とする。成体マウス海馬の新生ニューロンが記憶固定化に重要であることが示唆される。超小型内視鏡と光遺伝学を活用し、睡眠中の新生ニューロンのシナプス可塑性を操作し、記憶固定化への影響を検証する。このアプローチにより、睡眠中の記憶固定化におけるシナプス可塑性の意義を明らかにできる。本研究で得られる知見は、記憶固定化メカニズムの理解に寄与し、記憶障害やPTSDの新たな治療法開発につながる可能性がある。また、睡眠時の神経活動観察やシナプス可塑性操作技術は、今後の神経科学研究に広く応用されることが予想される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、レム睡眠中の恐怖記憶再想起の意義を解明することである。レム睡眠は夢を見る時期であり、覚醒時の恐怖体験が悪夢として再体験されることがある。この再体験時には、恐怖記憶をコードする特定のニューロン(記憶痕跡)が再活動するが、その意義は不明である。本研究では、この再活動の分析とレム睡眠中の操作を通じてその意義を明らかにする。 本年度は、特にカルシウムイメージングやAIを用いた技術でレム睡眠中の記憶再想起を詳細に分析する技術に大きな進展があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、レム睡眠中の恐怖記憶再想起の意義を解明することを目的としている。これまでの研究において、以下のような重要な進展があった。 第一に、カルシウムイメージング技術の大幅な進展である。我々は、自由行動下での海馬ニューロンのカルシウムイメージングを実現し、これを用いて99日にわたる長期イメージングに成功した。この成果は、レム睡眠中の記憶痕跡の動態解析において画期的な一歩となった。 第二に、PTSDのマウスモデル開発が順調に進展していることである。我々は、恐怖記憶の汎化を誘導できる新しいPTSDの動物モデルを確立し、このモデルを用いてレム睡眠中の記憶再想起と汎化の因果関係を詳細に解析している。このモデルは、PTSDの病態理解と治療法開発において重要な役割を果たすと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究進捗を踏まえ、2024年度は以下に焦点をおき研究を進める。 レム睡眠中の記憶固定化メカニズムの詳細解明:カルシウムイメージング技術の長期イメージング成功を活用し、記憶痕跡として機能するニューロンの動態をさらに詳細に解析する。特に、レム睡眠中におけるニューロンの同期活動が記憶固定化に果たす役割を明らかにするため、リアルタイム解析技術と組み合わせた実験を行う。確立したPTSDのマウスモデルを用い、恐怖記憶固定化とレム睡眠中の記憶再想起の因果関係を詳細に検証する。特定のシナプス可塑性や神経回路の動態を観察し、記憶汎化のメカニズムを解明する。 これらの計画に基づき、引き続きレム睡眠中の恐怖記憶再想起のメカニズムを解明し、PTSDなどの精神疾患に対する新たな治療法の開発に向けて研究を推進していく。
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