研究課題/領域番号 |
23K27485
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補助金の研究課題番号 |
23H02794 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分51030:病態神経科学関連
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研究機関 | 名古屋学芸大学 (2024) 名古屋大学 (2023) |
研究代表者 |
大野 欽司 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 教授 (80397455)
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研究分担者 |
増田 章男 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (10343203)
伊藤 美佳子 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (60444402)
大河原 美静 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (80589606)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 先天性筋無力症候群 / 神経筋接合部 / アセチルコリン受容体 / スプライシング |
研究開始時の研究の概要 |
神経筋接合部(NMJ)の正常分子構築機構を明らかにするとともに、NMJ発現分子の先天的欠損による先天性筋無力症候群(CMS)の分子病態を解明し、新規治療法開発につなげる。Ctgf, agrinなどNMJ構築誘導分子の正常制御機構をマウスモデル、RNA代謝解析などにより解明する。本邦CMS症例で同定した病的バリアントの機能解析を行うとともに新規化合物による治療法開発研究を行う。
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研究実績の概要 |
はじめに、CMS患者由来iPS細胞を用いた解析によりCMS患者で同定をしたDOK7ミスセンスバリアント(p.G64R)がDOK7異常凝集体を作りDOK7の発現を低下させるとともにMuSKリン酸化を抑制することを明らかにした。別のCMS患者で同定されたDOK7 p.T77Mも同様に異常凝集体を形成することを見出した。つぎにアセチルコリン受容体(AChR)の胎児型γサブユニットのミスセンスバリアントがアセチルコリン受容体のチャネルゲート平衡定数を44倍閉口側に減少させ、開口時間を異常に短縮することにより、胎児型AChRのファーストチャンネル症候群を惹起し、手関節拘縮のみを特徴とする不全型エスコバー症候群を起こすことを明らかにした。3番目に、神経細胞特異的なAGRNスプライスアイソフォームはPTBP1とRNAの結合によって生成されることを明らかにした。4番目にGFPT1 exon 9を骨格筋特異的に含める選択的スプライシングはスプライシングを増強するSRSF1, Rbfox 1/2とスプラインシングをよく制するhnRNP H/Fの競合により実現することを明らかにした。Rbfox1/2は骨格筋分化ととともに発現が上昇し、hnRNP H/Fは低下することを見出した。加えて、骨格筋特異的なGFPT1 exon 9の欠損は骨格筋におけるGFPT1を顕著に増やしグルコースのペントース回路への流入を異常に増加させることによりUDP-GlcNAcの産生を2.3倍に増加させ、神経筋接合部の形態異常、グルコースの細胞内取り込み抑制、ならびにミトコンドリアのエネルギー産生低下を招くことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記したように、(1) DOK7ミスセンスバリアントの解析・(2) 胎児型アセチルコリン受容体γサブユニットのミスセンスバリアントの解析・(3) 神経細胞特異的なAGRNスプライシング機構解析・(4) GFPT1 exon 9を骨格筋特異的なスプライシング機構解析とマウス骨格筋における生理的な役割の4つのプロジェクトを終え論文として公表することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
はじめに、GFPT1 exon 9フレームシフト変異の解析を行う。正常GFPT1 exon 9は骨格筋のみに含まれ、骨格筋型GFPT1-L (long isoform)は他臓器型GFPT1-S (short isoform)の80%の酵素活性を有する。本邦CMS患者で同定したGFPT1 exon 9のフレームシフト変異は骨格筋におけるGFPT1-Lの産生を不可能にし、骨格筋特異的にGFPT1を欠損させる。このCMS患者のフレームシフト変異をマウスに導入し、運動機能・神経筋接合部形態・神経筋接合部超微形態・糖代謝を含めた表現系を解析する。次に、神経筋接合部信号伝達促進新規治療法開発研究を行う。名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)が持つ化合物ライブラリーを用いてアセチルコリン受容体のクラスタリングを促進する低分子化合物を同定する。研究代表者らはATF2がMuSKリン酸化の定量指標になることを同定しており、ATF2-Luciferase plasmidを用いてアセチルコリン受容体のクラスタリングを促進する新規低分子化合物を同定する。同定した新規低分子化合物の標的タンパク質を網羅的なドッキングシミュレーションにより明らかにする。NMJ信号伝達障害分子機構解明と新規治療法開発は、罹患者数が多いにも関わらず治療法が存在しないサルコペニアの病態解明と治療法開発につなげる。
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