研究課題/領域番号 |
23K27518
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補助金の研究課題番号 |
23H02827 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
丸山 博文 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (90304443)
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研究分担者 |
森野 豊之 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10397953)
倉重 毅志 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, 医師 (20710627)
中森 正博 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (30881297)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2027年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2026年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / necroptosis / 逆行性進展 / OPTN / TMEM106B / ALS |
研究開始時の研究の概要 |
初代培養細胞や患者由来iPS細胞を用いてnecroptosis関連タンパク質の解析を行う。特に細胞体と軸索を分離し局所による相違を検討する。 脳内細胞の種類による差を明確にするため、single cell RNA-seqによる解析を行い、炎症・necroptosis・軸索再生に関わる分子を解析する。 並行して患者検体を用いて病理学的検討を行う。 その後モデル細胞を用いた薬剤スクリーニングを行い、有効なものをモデル動物において検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるnecroptosisの逆行性進展機序、およびその阻害による軸索再生を検証することが目的である。2023年度は、細胞モデルの樹立と手技の獲得、評価法の手法や抗体の作製、ヒト病理検体での確認を行った。 細胞モデルは、OPTN遺伝子改変モデルマウス初代培養細胞と、運動神経に分化させた患者由来iPS細胞を用いて検討することとしている。そのため、初代培養細胞作製および培養方法の確立、およびiPS細胞から運動神経への分化誘導技術の獲得と安定化、細胞株の樹立を進めている。遺伝子改変モデルマウスは、グリア細胞での評価も念頭にconditional knockoutマウスの作製も検討している。 モデル細胞の評価方法としては、特殊なチャンバーを用いて軸索の伸長を経時的に観察し、細胞体と軸索における遺伝子発現プロファイルを個別に評価する系を確立した。また、近年報告された、前頭側頭葉変性症におけるリソソーム膜タンパク質TMEM106Bの凝集に着目し、OPTNのオートファジー受容体としての機能とTMEM106Bとの関連を検討することとしている。TMEM106BのC末端領域を認識する抗体を複数作製し、神経変性疾患患者の剖検脳を用いて有用性を確認した。TMEM106Bは軸索輸送に関与する可能性が示唆され、この抗体を用いて、今後は軸索での凝集体の検討が可能となった。 ヒト病理検体を用いた検討では、ALS患者の脊髄・筋内神経束(神経終末)において、RIPK3の発現だけでなく、RIPK3とともにnecrosome複合体を構成するRIPK1、MLKLの発現も確認した。このことから、実際にALSの脊髄や神経終末において、necroptosisが機能していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では運動神経に分化させた患者由来iPS細胞を用いる予定だが、備品、設備、環境のセットアップおよび諸手続きに時間を要した。倫理審査の承認、また、iPS細胞を運動神経に分化させるベクターの供与におけるMTA締結に時間を要したが、それぞれ進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
オプチニューリン遺伝子改変モデルマウス初代培養細胞と運動神経に分化させた患者由来iPS細胞を用いて、継時的変化をtime-lapseで軸索伸長を中心に観察する。形態学的な変化に加えて、necroptosis関連タンパク質(RIPK1, RIPK3, MLKL, caspase8など)やオプチニューリン関連タンパク質(TBK1, NEK1)、軸索輸送関連タンパク質(TDP-43, TMEM106B, myosinVI, Huntingtin)の免疫染色・生化学的解析を行う。特に細胞体と軸索を分離し局所による相違を時間的・空間的に詳細に検討する。 ニューロン・ミクログリア・アストロサイト各々のプロファイリングを明確にするため、single cell RNA-seqによる解析を行い、炎症・necroptosis・軸索再生に関わる分子とそのプロファイルを同定する。 並行して、保有する患者検体(死後脳・脊髄組織、生検筋組織)を用いた病理学的検討を行い、necrosome複合体を構成する成分の蓄積や細胞内分布を免疫染色により確認する。凍結組織を用いてウェスタンブロット、RT-qPCRを含めたRNAの発現量の解析により蓄積量を確認する。 その後モデル細胞を用いた薬剤スクリーニング(necroptosis阻害薬、NF-kB阻害薬など)を行う。さらに軸索再生を観察することにより回復過程を評価する。効果を示した候補についてモデル動物への有効性を検討する。
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