研究課題/領域番号 |
23K27550
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補助金の研究課題番号 |
23H02859 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森田 明典 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90334234)
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研究分担者 |
青木 伸 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (00222472)
王 冰 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, グループリーダー (10300914)
下川 卓志 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 物理工学部, グループリーダー (20608137)
椎名 勇 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (40246690)
金井 昭教 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (60549567)
笹谷 めぐみ (豊島めぐみ) 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (80423052)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 放射線防護剤 / p53 / 放射線併用抗腫瘍薬 / 抗炎症剤 / 分子標的創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、p53活性を制御する放射線防護剤の他、新たに放射線性腸炎を抑制する防護剤を発見した。本研究では、これまでに得られた有望化合物をシードとし、防護活性のさらなる向上を目指した化合物活性評価、防護作用の分子機構の解明、および放射線併用療法におけるがん制御率の向上活性評価を実施し、がん制御率を高める放射線併用治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
正常組織の耐性を高める防護剤の開発および作用機構解明は、がん治療におけるリスク臓器防護剤としての医療応用に繋がることが期待される。研究代表者らは、p53活性を制御する放射線防護剤の他、新たに放射線性腸炎を抑制する防護剤を発見した。本研究では、これまでに得られた有望化合物をシードとし、防護活性のさらなる向上を目指した化合物活性評価、防護作用の分子機構の解明、および放射線併用療法におけるがん制御率の向上活性評価を実施し、がん制御率を高める放射線併用治療薬の開発を目指す。 ① 5CHQ誘導体による放射線防護活性の向上と、その作用機序の解明:タモキシフェン制御性CreERT2がタンデム挿入されたLgr5-EGFPノックインマウスを腸管幹細胞の可視化のために用い、開発した尾側半身照射法における障害が主に直腸であること、および障害誘導のしきい線量を明らかにした。 ② 5CHQ系統化合物によるDNA損傷-p53応答、放射線防護活性およびDNA損傷の特徴解析:誘導されたDNA損傷応答の特徴を発見し、想定モデルに基づいた検証を進めた。 ③ 担がんマウスを用いた5CHQ系統化合物による腫瘍制御率向上活性評価:樹立した可移植性腫瘍株を用いた担がんマウス放射線併用試験を実施し、5CHQ系統化合物による腫瘍制御率の向上を検証を進め、優れた抗腫瘍活性を示す有望化合物を発見した。GFP導入腫瘍株の一部を作製した。 ④ STAによる抗炎症作用の標的細胞および責任分子の同定として、mRNA-Seq解析を実施し、変動する遺伝子発現の網羅的解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① 5CHQ誘導体による放射線防護活性の向上と、その作用機序の解明:タモキシフェン制御性CreERT2がタンデム挿入されたLgr5-EGFPノックインマウスを活用し、開発した尾側半身照射法による放射線直腸炎における幹細胞動態を明らかにした。 ② 5CHQ系統化合物によるDNA損傷-p53応答、放射線防護活性およびDNA損傷の特徴解析:誘導されたDNA損傷応答の特徴はこれまでに報告されていない特殊な分子応答であり、画期的な発見である。 ③ 担がんマウスを用いた5CHQ系統化合物による腫瘍制御率向上活性評価:樹立した可移植性腫瘍株を用いた担がんマウス放射線併用試験において、5CHQ系統有望化合物は、代表的な化学放射線療法薬であるシスプラチンを上回る腫瘍制御率を示した。 ④ STAによる抗炎症作用の標的細胞および責任分子の同定として、mRNA-Seq解析を実施し、上方制御ならびに下方制御される遺伝子群を同定した。 以上から本研究の進捗状況は、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
① 5CHQ誘導体による放射線防護活性の向上と、その作用機序の解明:タモキシフェン制御性CreERT2がタンデム挿入されたLgr5-EGFPノックインマウスを腸管幹細胞の可視化のために用い、回復期腸管のLgr5-EGFP発現細胞数と5CHQおよび5CHQ誘導体の防護活性を裏付ける幹細胞動態を明らかにする。 ② 5CHQ系統化合物によるDNA損傷-p53応答、放射線防護活性およびDNA損傷の特徴解析:誘導されたDNA損傷応答の特徴はこれまでに報告されていない特殊な分子応答であり、この活性を指標に化合物スクリーニングを進めると共に、想定モデルに基づいた各種評価項目の検証を進める。 ③ 担がんマウスを用いた5CHQ系統化合物による腫瘍制御率向上活性評価:樹立した各種可移植性腫瘍株を用いた担がんマウス放射線併用試験において、種々の解析遺伝子を導入した可移植性腫瘍株も活用し、5CHQ系統化合物による腫瘍制御率の向上の検証を進める。 ④ 実施したmRNA-Seq解析によって同定された上方制御ならびに下方制御される遺伝子群より、STAによる抗炎症作用の責任分子および標的細胞の同定作業を進める。
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