研究課題/領域番号 |
23K27552
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補助金の研究課題番号 |
23H02861 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山口 直之 長崎大学, 病院(医学系), 准教授 (40457560)
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研究分担者 |
赤司 太郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20975833)
羽場 宏光 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 室長 (60360624)
斧山 巧 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (60817831)
野村 幸世 星薬科大学, 薬学部, 教授 (70301819)
磯本 一 鳥取大学, 医学部, 教授 (90322304)
熊倉 嘉貴 東京大学, アイソトープ総合センター, 客員教授 (90517773)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 短寿命α線放出核種 / 消化器がん新規内視鏡治療 / 内視鏡的局注療法 / 消化器がん新規内視鏡治遼 |
研究開始時の研究の概要 |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、リンパ節転移の可能性が低い極早期胃癌に対して効果的な低侵襲手術であるが、粘膜下層深部浸潤癌の治療には適さない。この課題に対応するため、免疫コンピテントマウス胃癌モデルに対して選択的ドラッグデリバリーシステムを併用した短寿命α線放出核種を経内視鏡的に腫瘍に局注し、その治療効果を検証する。この革新的治療法は、腫瘍のみならず所属リンパ節に対しても抗腫瘍効果を発揮させ、ESDの適応範囲を拡大することを目指す。さらに、PET核種を用いたセラノスティックス技術により、腫瘍集積性、リンパ節転移及び治療効果を定量的に評価し、消化管癌治療における新たな治療法を開発する。
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研究実績の概要 |
近年、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)と呼ばれる胃癌に対する低侵襲内視鏡手術が開発され、全国的に急速に普及しているが、その適応範囲はリンパ節転移の可能性が低い極早期の癌に限られる。早期癌であっても粘膜下層深部浸潤癌(SM2)等ではセンチネルリンパ節(癌からのリンパ流を直接受けるリンパ節)に転移する可能性が10~20%あり、その転移巣に対して治療効果がないためである。そこで今回、免疫コンピテントマウス胃癌モデルにおいて、選択的ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いて短寿命α線放出核種を経内視鏡的に局注し、治療効果の評価を行う。この内視鏡的放射性医薬品局注療法により、抗腫瘍効果を直接触れる腫瘍のみならず、腫瘍内のリンパ管を通してセンチネルリンパ節にも核種がデリバリーされることで抗腫瘍効果を発揮させる。これによって、新たなDDSを構築し、現在、ESDの治療適応外であるSM2癌等に対する内視鏡治療のさらなる適応拡大を目指す。また、同時にPET核種を用いて腫瘍集積性やリンパ節転移、及び治療効果を定量的に評価する、治療と診断を両立したセラノスティックス技術を確立し、消化管癌に対して、内視鏡的局注放射性医薬品療法という新たな選択肢を確立する。 2023年度中には内視鏡メーカーと協力して、マウス実験に必要な局注機能も有する極細径内視鏡(径0.9mm)の開発に世界に先駆けて成功している。 本極細径内視鏡はマウスに対し経口的に胃内に挿入及び観察も可能で、同時に局注機能も有しているため、胃粘膜にも胃癌細胞株を局注可能なようにデザインされている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度中には内視鏡メーカーと協力して、マウス実験に必要な極細径内視鏡(径0.9mm)の開発に世界に先駆けて成功している。同内視鏡を用いてマウス胃内の観察は成功しており、同内視鏡は局注機能も有しており、既存癌細胞株をマウスの胃粘膜内に局注し、胃癌病変の形成を試みる予定であるが、当初の計画では、2023年度内に、胃癌病変の形成を終了している予定であり、この点においてはやや遅れている。 しかし、当初の計画では、内視鏡の新規開発は予定しておらず、既存のヒト用の経鼻内視鏡(径5.6mm)でマウスの胃壁に対して開腹下で行う予定であったため、本極細径内視鏡の開発の成功は、開腹下ではなく、マウスに対して経口的に胃粘膜に局注可能であり、おおむね順調に進展していると判断している。なお、すでに本内視鏡を用いて開腹下での胃壁への局注実験は成功している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は本極細径内視鏡を用いて既存癌細胞株をマウスの胃粘膜内に局注し、胃癌病変の形成を試みる予定である。それにより、マウスの胃に癌細胞株を移植した担癌モデルを樹立後、癌近傍に局注後、アスタチン-211等の治療用α線放出核種及び診断用核種で標識したVHH抗体を経内視鏡的に腫瘍へ注入する実験を予定している。本実験により、選択的ドラッグデリバリーシステム(DDS)を用いて”短寿命”α線放出核種を経内視鏡的に局注し、治療効果の評価を行う。この内視鏡的放射性医薬品局注療法により、抗腫瘍効果を直接触れる腫瘍のみならず、腫瘍内のリンパ管を通してセンチネルリンパ節にも核種がデリバリーされることで抗腫瘍効果を発揮させる。また、同時にジルコニウム-89等のPET用核種標識抗体をRIイメージングを行い、リンパ節や遠隔転移巣の検索を行う。本研究終了時にはヒト臨床応用への概念実証(PoC)獲得を目指す。
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