研究課題/領域番号 |
23K27564
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補助金の研究課題番号 |
23H02873 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
中山 東城 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任准教授 (40613302)
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研究分担者 |
吉岡 耕太郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任助教 (70780641)
桑原 宏哉 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (80723486)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,590千円 (直接経費: 14,300千円、間接経費: 4,290千円)
2026年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / RFX / RFX遺伝子 / トランスクリプトーム解析 / 核酸医薬 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、小児の44人に1人が罹患する遺伝的素因の強い疾患である。これまでの研究で、中枢神経系発生に関わるRFX遺伝子の異常が、自閉症スペクトラム障害(ASD)の原因となることを報告した。従来は1本鎖であるアンチセンス核酸に相補鎖を結合したヘテロ2本鎖核酸技術を開発し、中枢神経での遺伝子制御効果を飛躍的に向上することに成功した。本研究では、RFX遺伝子群がどのようなASD遺伝子群を制御しているのかを遺伝学的に明らかにした上で、標的遺伝子に対する核酸医薬を開発し、ASDの新たな治療薬の開発に向けた研究を行う。本研究はASDの病態解明と治療法開発に繋がる研究である。
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研究実績の概要 |
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、小児の44人に1人が罹患する遺伝的要因の強い疾患である。研究者らは、転写因子regulatory factor X(RFX)の異常がASDの原因となることを示した。RFX遺伝子群が発生および成人の脳において高発現することから、ヒトの発達中の脳および成体の大脳皮質におけるRFXの発現パターンを単一細胞トランスクリプトーム解析を用いて調べた結果、ASD患者で最も多く見られたRFX3遺伝子は、大脳皮質第2/3層に位置するグルタミン酸作動性神経細胞で高発現していた。
RFXの機能異常がどのように下流遺伝子に影響を与え、ASDの表現型を引き起こすのかについては、これまで解明されていない。RFXファミリーがどの遺伝子を制御するのかを調べるため、ASDリスク遺伝子およびASDで発現量が健常者と異なる計634遺伝子の上流プロモーター制御配列を抽出し、モチーフ濃縮解析(Motif Enrichment解析)を実施した。その結果、X-boxコンセンサスモチーフ(GTHNYYATRRNAAC)およびRFX3、RFX4、RFX7固有モチーフが、ASDリスク遺伝子の上流制御配列中で有意に見出される(濃縮される)ことが判明した。興味深いことに、最上位にランクされた5遺伝子のうち、AP2S1、KDM6B、NONOの3遺伝子は、発達遅滞やADHD、ASDとの関連が報告されている遺伝子であった。さらに、HepG2細胞におけるRFX3のChIP-Seqデータ解析から、これらの遺伝子のプロモーター領域に極めて強い結合ピークが認められ、RFX3がASDに関連する遺伝子の上流に結合することが明らかとなった。
上記のさらなる解析のため、RFX3ノックアウト(KO)iPS細胞を神経細胞に分化させたモデル細胞を作成した。RFX3ホモ接合体KO、ヘテロ接合体KO、および野生型対照細胞(isogenic control)を用いてトランスクリプトーム解析(RNAseq)を行い、経時的なRFX3発現量の変化による遺伝学的影響を網羅的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、RFX遺伝子群のハプロ機能不全が実際の神経細胞でどのように下流のASD遺伝子群を制御し、ASDの病態に繋がるのかを、申請者らが確立した独自の遺伝子発現解析プラットフォームを用いて網羅的に解析する。また、独自の核酸技術を融合してRFX遺伝子発現を制御する核酸医薬を開発し、ASDの根本的治療に向けたProof of Conceptを提示することを計画している。 本年度は、RFX遺伝子群のハプロ機能不全が神経細胞でどのような遺伝子変化をもたらしASDの病態に繋がるのかを調べるため、CRISPR-Cas9を用いてRFX3 KO iPS細胞を作成し、RFX3ホモ接合体KO、ヘテロ接合体KO、および野生型対照細胞(isogenic control)によるトランスクリプトーム解析(RNAseq)を実施した。現在までのところ、研究は概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
作成したRFX3ホモ接合体KO、ヘテロ接合体KO、および野生型対照細胞を用いて、転写因子RFX3の結合部位をCUT&RUNアッセイ法により解析する。同じRFX3 iPS神経細胞モデルを用いて結合部位プロファイルを比較し、RFX3結合部位を同定する。得られたデータを解析し、神経細胞においてRFX遺伝子群がどのようなASD遺伝子群を制御しているのか、またRFX遺伝子群の発現量の変化が下流の遺伝子発現をどのように変動させるのかを遺伝学的に明らかにする。 患者で認められる変異はいずれも常染色体優性遺伝形式をとり、病態としてハプロ機能不全が想定されることから、RFX遺伝子変異のない健常アレル側のRFX遺伝子発現を何らかの形で上昇させることができれば、根本的な治療に結びつく可能性が高い。したがって、遺伝子発現を回復させる核酸医薬配列の検索もあわせて行う予定である。
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