研究課題/領域番号 |
23K27567
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補助金の研究課題番号 |
23H02876 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
竹谷 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30359880)
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研究分担者 |
大谷 嘉典 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30815973)
藤谷 昌司 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40376372)
松崎 有未 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (50338183)
赤松 和土 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (60338184)
山田 健治 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (70624930)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / ミトコンドリア病 / 低ホスファターゼ症 / 先天代謝異常症 / ミトコドリア / 低ホスファターぜ症 / 脂肪酸代謝異常症 |
研究開始時の研究の概要 |
治療法が確立していないミトコンドリアが関与する3つのIEMsの神経障害に対して、1RECによる有効性とその機序を明らかにすること、および 2BBBを通過させる方策として、浸透圧利尿薬を併用することでRECによる治療効果の増強を実証することである。
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研究実績の概要 |
さまざまな酵素欠損が原因である先天性代謝疾患(IEMs)の神経障害は確立した治療法がなく、酵素補充療法は脳血液関門(BBB)を通過しないため、有効な治療法は存在しない。最近、我々はミトコンドリアが関与するIEMsに対して、間葉系幹細胞(MSC)から移入したミトコンドリアによりIEMs由来神経細胞の機能を回復させ、実臨床においてMSCがけいれんの抑制に寄与することを明らかにした。しかし、十分な効果は得られていない。その理由として、通常のMSCは細胞特性にばらつきがあり品質が一定しないこと、およびMSCがBBBを通過しないことが挙げられる。そこで、本研究では、細胞特性が均一な高純度間葉系幹細胞(REC)によるミトコンドリアが関与するIEMsの神経障害に対する有効性とその機序の解明と、BBBの細胞間隙を広げる浸透圧利尿薬と同時にRECを投与することでRECがBBBを通過して神経障害を改善させることを実証する。本研究の成果は、酵素補充療法や遺伝子治療といった疾患特異的治療ではなく、RECがミトコンドリア機能異常という同じ病態を持った異なる疾患に対する治療薬、すなわち疾患横断的な治療薬になり得る可能性を秘めた画期的結果をもたらすことが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリア病、低ホスファターゼ症のそれぞれ3クローンのiPS細胞から神経細胞の分化を行い、これまでミトコンドリア病由来iPS細胞から神経細胞の樹立に成功した。その細胞を用いて、高純度間葉系幹細胞(REC)と共培養した結果、神経細胞のATP産生能および酸素消費量、ミトコンドリア膜電位が回復しただけでなく、活性酸素の低下もみられた。また、これらの効果を少なくても3週間は維持された。さらに、ミトコンドリア移入経路として、エクソソームが主要な経路であることがわかった、 RECを用いた神経細胞に対する治療法開発のため、十分量のRECあるいはそれに付随するエクソソームなどを脳内に輸送する必要がある。そのためにまず、血液脳関門(BBB)の細胞間隙を広げる浸透圧利尿薬を健常マウスの総頸動脈に投与し、BBBを一時的に広げる実験を行った。その結果、浸透圧利尿剤投与2時間後では通常時には起こらない、エバンスブルーの脳内への浸潤が確認でき、BBBを一時的に広げられることが確認できた。 MELAS患者iPS細胞由来ニューロンにおける電気生理学的表現型とREC細胞による神経機能改善効果を検討した。MELAS細胞では健常対照に比して神経発火頻度(Mean firing rate)が増加する傾向を検出した。しかしながら傾向は保存されるものの分化誘導バッチ毎・Well間のバラつきが存在し、現在の条件では安定的な表現型検出及びREC細胞との共培養による治療効果判定は困難であると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
1. 先天代謝異常症のiPS細胞の樹立および神経細胞への分化を行う。また、低ホスファターゼ症iPS細胞由来神経細胞を用いて、RECとの共培養実験を行う。 2. ミトコンドリアモデルマウスを用いて、in vitroで認められた効果をin vivoで実証する実験を行う。 3. 細胞あるいはエクソソームが浸透圧利尿薬によって広げられた細胞間隙を通過できるかどうかを確認する。現在、GFP-またはLuciferaseラベルされたRECを準備しており、浸透圧利尿薬投与2時間後にGFP-またはLuciferaseラベルされたRECを静脈内へ投与し、脳内へのRECあるいはエクソソームの移行性を確認し、RECあるいはエクソソームの脳内への投与の実現を目指す。 3. 安定した表現型検出を実現するため、従来の転写因子を用いた直接分化誘導法に加え、拡大培養および神経前駆細胞の状態で凍結保存が可能である小分子化合物を用いた方法を用いることで分化誘導バッチ間差が減少するか検討する。また、成熟を促進する培養環境により神経分化度の影響を最小化することでWell間差の少ない均一な電気生理学的表現型の評価システムを再構築することを目指す。
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