| 研究課題/領域番号 |
23K27594
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| 補助金の研究課題番号 |
23H02903 (2023)
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹藤 幹人 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20709117)
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| 研究分担者 |
大内 乗有 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (00595514)
榎本 篤 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20432255)
奥村 貴裕 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (60635598)
室原 豊明 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90299503)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
18,720千円 (直接経費: 14,400千円、間接経費: 4,320千円)
2025年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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| キーワード | 心不全 / キナーゼ / リン酸化 |
| 研究開始時の研究の概要 |
真核細胞に発現するアクチンは細胞の収縮や分裂などに関与し、心筋細胞では収縮の中心的な役割を果たしている。アクチンとともに働くミオシンはATPと結合しアクチンに沿って移動し、ミオシンがアクチンと結合・解離・再結合を繰り返すことにより、心臓の収縮と拡張の周期が調整される。心臓の拡張は「収縮が完了するとミオシンはアクチンとの結合を解いて筋肉は弛緩する」とされているが、ミオシンとアクチンの結合が解かれるメカニズムは不明な点が多く、心臓拡張のメカニズムを解明し、HFpEFの病態解明を進める。
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| 研究実績の概要 |
加齢に伴う全身の組織弾性の低下は、肺や関節、皮膚など様々な臓器の生理機能に影響を及ぼす。中でも循環器系においては、血管の弾性が低下することで血流調節機能が損なわれ、高血圧や動脈硬化の発症に寄与することが知られている。心疾患に関しては、これまで主に心筋梗塞などに起因する心収縮力の低下が主因と考えられてきたが、心拡張機能の低下との関連については十分に解明されてこなかった。 近年、駆出率が保たれた心不全(Heart Failure with preserved Ejection Fraction:HFpEF)が新たな心不全の病態として注目されている。HFpEFは、心室の拡張機能不全によって生じる心不全であり、特に高齢者に多く発症することが特徴である。また、HFpEFの患者は従来の心不全治療薬に対する反応が乏しく、有効な治療法が未確立であるため、その病態解明と治療法開発が喫緊の課題となっている。 これまで、心筋細胞における収縮機構はアクチンとミオシンの滑り運動を中心に詳細に研究されてきたが、それに対して心拡張に関わる分子機構については未だ不明な点が多い。特に、収縮終了後にアクチンとミオシンがどのように解離し、心筋が効率的に拡張するのかという点については、十分な理解が進んでいない。そこで本研究では、心筋細胞内でのアクチンとミオシンの解離に着目し、心拡張に関与する新たな分子因子の同定およびその機能解析を行うことで、HFpEFの病態メカニズムの解明を目指す。 さらに、得られた知見を基盤として、HFpEFに対する新たな治療法開発に向けた創薬シーズの探索を行う。本研究は、高齢化が進行する現代社会において、増加する心不全患者に対応する新たな治療戦略の確立に貢献し、延いては健康寿命の延伸に寄与することを目的としている。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、HFpEFの病態解明および新規治療標的の探索を目的として、心臓の拡張機能に関与するキナーゼを網羅的に解析した。まず、ヒト遺伝子にコードされる全519種のプロテインキナーゼの発現を17種類のヒト臓器で測定し、心筋細胞に特異的に発現するatypical kinaseであるALPK2および心筋線維芽細胞に発現するPKNを同定した。 ALPK2については、心筋特異的ALPK2欠損マウスを作製しHFpEFにおける機能解析を行った。その結果、ALPK2は心臓の収縮には関与せず、拡張機能の調整に重要な役割を果たすキナーゼであることを見出した。さらに、ALPK2はトロポミオシン1(TPM1)をリン酸化することで心拡張を制御しており、心筋における新たな治療標的となる可能性が示唆された(FASEB Journal, 2024年掲載)。 一方、線維芽細胞に発現するPKNについては、線維芽細胞特異的PKN欠損マウスを用いて機能解析を実施した。心筋梗塞や代謝障害に伴う過剰な心筋線維化を抑制し、心機能低下を改善する効果が確認された。さらに、PKNはp38 MAPKの活性化を介して心臓線維芽細胞の分化を制御していることが明らかとなった(Nature Communications, 2024年掲載)。 これらの成果は、HFpEFに関わる心筋と線維芽細胞の機能異常に対して、それぞれの細胞型に特異的な治療戦略を提供する可能性を示すものである。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、ALPK2による心筋拡張機構の分子基盤をより詳細に解明し、HFpEFの治療法開発につなげることを目指す。生化学的解析により、アクチン周囲に局在するトロポミオシン1(TPM1)がリン酸化されることで、アクチンとミオシンの結合が緩み、心筋の拡張が促進されることが示唆されている。このことから、「ALPK2によってリン酸化されたTPM1がアクチン-ミオシンの結合を制御し、心臓の拡張に関与する」という仮説を立て、これを検証する。さらに、他のリン酸化基質候補に対する特異的リン酸化抗体を用い、タンパク質レベルでのリン酸化状態の解析を行い、ALPK2の機能全体像を明らかにする。 加えて、ALPK2を活性化する上流シグナルの同定も重要な課題である。免疫沈降法を用いた解析により、ALPK2と相互作用する因子を探索するとともに、ALPK2が膜タンパク質結合ドメインを有することから、細胞外因子によって活性化される可能性についても検討を進める。具体的には、細胞内でビオチン標識された膜タンパク質とALPK2との結合を評価し、結合パートナーの同定を試みる。 最終的には、TPM1のリン酸化状態を指標とした創薬アッセイ系を構築し、ALPK2の活性化因子を薬物ライブラリーからスクリーニングする。これにより、HFpEFに対する新規治療薬候補の同定を目指し、本研究を治療法開発に向けた基盤研究へと発展させる。
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