研究課題/領域番号 |
23K27603
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補助金の研究課題番号 |
23H02912 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大石 由美子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80435734)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,980千円 (直接経費: 14,600千円、間接経費: 4,380千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | マクロファージ / 骨格筋 / 筋再生 |
研究開始時の研究の概要 |
1. 筋損傷部位にリクルートされた単球/マクロファージが傷害部位で増殖し、機能的に多彩なマクロファージサブタイプに分化するメカニズムを明らかにする。2. マクロファージの増殖・分化異常が、筋衛生細胞をはじめとした他の間質細胞との相互作用を介して加齢による再生不全や組織修復の遅延をもたらすメカニズムを、1細胞単位の細胞間相互作用ネットワークの観点から理解する。
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研究実績の概要 |
本研究は、加齢によるマクロファージ-筋衛生細胞間相互作用の変調・破綻メカニズムの解明を目的として行った。まず本研究では、2歳齢の加齢マウスを用いて、筋損傷後のマクロファージの増殖とHGF+細胞数の変動を調査した。シングルセルトランスクリプトーム(scRNA-seq)を用いて、加齢マウスと若齢マウスの筋損傷前後の間質細胞の遺伝子発現を比較した。結果として、加齢マウスでは、筋損傷後のマクロファージの増殖が有意に抑制され、HGF+細胞数も減少していることが確認された。さらに、貪食や細胞代謝に関連する遺伝子群の発現が加齢により変動していることが明らかになった。これにより、加齢に伴うマクロファージの増殖・分化異常が、筋衛生細胞をはじめとした他の間質細胞との相互作用を変容させ、再生不全や組織修復の遅延をもたらすことが示唆された。次に、加齢/若齢マウスの筋損傷部位から間質細胞をFACSで単離し、筋オルガノイドを構築した。scRNA-seq解析から見出した細胞間相互作用をin vitroで検証し、特定のマクロファージ分画や筋衛生細胞分画を加齢マウス由来の細胞に置き換えたオルガノイドを構築した。これらの結果を通じて、加齢による細胞間相互作用の変化に対する治療的介入が、サルコペニア予防・治療法の開発に向けた基盤的知見を提供することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに2歳齢の加齢マウスを用いて、筋損傷後のマクロファージの増殖とHGF+細胞のリクルートに関する予備的検討を行った。加齢マウスでは、若齢マウスと比較してマクロファージの増殖が有意に抑制され、HGF+細胞数も減少していることが確認された。これに基づき、加齢に伴うマクロファージの増殖・分化異常が筋衛生細胞との相互作用を変容させる可能性があると考えた。 具体的には、加齢マウスの筋損傷前後の間質細胞を対象にシングルセルトランスクリプトーム(scRNA-seq)解析を行い、若齢マウスと比較した。現在、scRNA-seqデータの解析が進行中であり、貪食や細胞代謝に関連した遺伝子群の発現変動や細胞間相互作用の変容を解析している。これまでのの解析結果から、加齢に伴う特定の遺伝子群の発現変動が確認されており、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討を通じて、加齢による細胞間相互作用の変化に対する治療的介入の可能性を探る基盤的なデータが得られつつある。今後、加齢に伴う特定の遺伝子群の発現変動についてはscRNA-seqデータのさらなる解析を進めると同時に、注目すべき遺伝子については欠損細胞を作成するなどして機能をin vitroで解析する。これらの研究を通じて、加齢による細胞間相互作用変化を明らかにし、将来的なサルコペニア予防・治療法の開発に向けた知見を深めていく予定である。
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