研究課題/領域番号 |
23K27616
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補助金の研究課題番号 |
23H02925 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柳田 素子 京都大学, 医学研究科, 教授 (70378769)
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研究分担者 |
築山 智之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 特任准教授 (60612132)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | 霊長類 / 動物モデル |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者は、カニクイザル腎臓病モデルを活用し、霊長類特異的な腎障害関連遺伝子変化があることを予備的に見出している。本課題では、霊長類に特異的な腎障害修復メカニズムを解明する「霊長類腎臓病学」を提案する。具体的には、カニクイザル腎臓病モデルを確立し、シングル核解析を用いてマウスモデルおよびヒト腎臓病組織と比較し、霊長類特異的な変動遺伝子を同定する。次に、Spatial transcriptomicsの技術を駆使して、ヒト腎組織で同分子を発現する細胞の役割や制御機構を解析するとともに、ヒトiPS細胞由来腎オルガノイドを用いて霊長類特異的腎障害修復メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
げっ歯類腎臓病モデルに基づく新薬候補が臨床的な有効性を示すことは稀だが、その一因はヒト腎臓病とのギャップである。例えば、げっ歯類の腎虚血再灌流モデルは急性腎障害モデルとして頻用されているが、その組織障害はヒト急性腎障害で見られる組織障害よりもはるかに重度である。また、様々な腎臓病において炎症応答は重要な因子だが、マウスモデルにおける炎症応答は、ヒトの病態における炎症応答とは極めて相関が低いことも報告されている。さらに遺伝性腎疾患の中には、該当遺伝子の欠損マウスがヒトの病態を模倣しないものも多いが、これはマウスとヒトの遺伝子配列の一致度が低いことに起因する。本課題では、霊長類に特異的な腎障害修復メカニズムを解明する「霊長類腎臓病学」を提案する。具体的には、カニクイザル腎臓病モデル(遺伝子改変モデル・手術モデル)を確立し、シングル核解析を用いてマウスモデルおよびヒト腎臓病組織と比較し、霊長類特異的な変動遺伝子を同定する。次に、Spatial transcriptomicsの技術を駆使して、ヒト腎組織で同分子を発現する細胞の役割や制御機構を解析するとともに、ヒトiPS細胞由来腎オルガノイドを用いて同分子の機能やシグナル伝達機構を解析することで、霊長類特異的腎障害修復メカニズムを解明する。得られる知見は独自性、創造性があり、腎臓病創薬への応用可能性が高い。本年は、遺伝子改変サルの作成を行うとともに、カニクイザルに腎臓病モデルを誘導し、経時的サンプリングを行い、シングル核RNAseqにより疾患腎の主要細胞集団、細胞間相互作用、遺伝子発現ネットワークなどを抽出した。さらに同定した分子、シグナル経路をヒト腎生検組織で検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究協力者の沖先生との共同研究により、PIC-RNAseq技術の最適化が進み、非常に良い精度で特定の細胞の遺伝子発現解析が可能になったことが一因である。加えて霊長類モデルの確立が進み、解析着手がスムーズであったことも要因である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、現在進行中の霊長類モデルの経時的サンプリングと平行して、マウスにも同モデルを誘導し、経時的サンプリングと、シングル核RNAseq解析を行う。加えて、サルとマウスの腎臓病モデルで得られた前述のデータと、公開されているヒト腎臓病サンプルのシングル核RNAseqデータを比較し、霊長類特異的腎障害関連遺伝子を抽出する。研究代表者はすでに予備的な解析において、ヒトとサルで共通する変化を示すが、マウスでは変化しない霊長類特異的腎障害関連遺伝子を複数同定しており、進捗が期待できる。加えて、作成された遺伝子改変サルの解析を行い、その表現型の評価やヒト組織との比較を行うとともに、シングル核RNAseqを行うことで細胞間相互作用を検証する予定である。さらに注目した分子、シグナル経路については、オルガノイド実験も平行して行うことで、霊長類に特徴的な分子メカニズムの検証を行う。
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