研究課題/領域番号 |
23K27623
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補助金の研究課題番号 |
23H02932 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
井上 克枝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10324211)
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研究分担者 |
大石 沙織 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50894094)
築地 長治 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20710362)
小関 道夫 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (60444303)
中村 壮 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点講師 (50769833)
高山 直也 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10584229)
斎藤 潤 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (90535486)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
2025年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | ゴーハム病 / リンパ管種症 / 血小板 / CLEC-2 / ポドプラニン / リンパ管 / リンパ管腫症 |
研究開始時の研究の概要 |
血小板活性化受容体CLEC-2を欠損したマウスはリンパ管と血管の不分離が起こり、リンパ管への血液の混入やリンパ浮腫を示す。リンパ管腫症 /ゴーハム病(GLA/GSD) は、全身のリンパ管組織が増殖・浸潤する疾患で、病因・病態は不明である。当院のGSD患者はCLEC-2欠損マウスと類似 した症状を呈した。私達はCLEC-2の欠損・異常がGLA/GSDの発症に関与するという仮説を立て、これを検証する。
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研究実績の概要 |
ゴーハム-スタウト病(GSD)は原因不明のリンパ管腫症の一形態であり、リンパ管の異常な分布を特徴とする。胎生期に血小板CLEC-2とリンパ管内皮のポドプラニンの結合により、血管からのリンパ管の分離が促進される。 CLEC-2欠損マウスとGSD患者のリンパ管の異常は類似しているが、血小板上のCLEC-2がGSDの発症に関与しているかどうかは不明である。 致死性GSD患者の血小板におけるCLEC-2の発現を調べた。この患者の血小板のほとんどは、ヒトCLEC-2に対するある種のモノクローナル抗体でのみ検出できない異常なCLEC-2を発現していた。さらにこの集団は、CLEC-2を活性化する蛇毒であるロドサイチンによって血小板活性化が惹起されなかった。抗CLEC-2自己抗体が生じている可能性、CLEC-2に遊離ポドプラニンが結合して抗体の結合を阻害している可能性は否定され、CLEC-2の遺伝子であるCLEC1Bの変異は認められなかった。 この症例は、構造的にも機能的にも異常なCLEC-2を有する患者の最初の報告であると考えられた。CLEC-2の異常は、GSDにおけるリンパ管新生の調節障害と関連している可能性がある。 当院以外のGSD/リンパ管腫症(GLA)患者でもCLEC-2の異常が認められるか、岐阜大学病院に通院している患者小関医師の3名の血小板を解析したが、いずれも異常は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当院のGSD患者の解析が終わり、論文発表することができた。さらに他のゴーハム病/リンパ管腫症の患者さんの解析を始めているため。
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今後の研究の推進方策 |
当院以外のGSD/リンパ管腫症(GLA)患者でもCLEC-2の異常が認められるか、3名分解析したが、異常は認められなかった。いずれも血小板減少が認められない、病状の安定した患者であったため、再度、血小板減少をきたしている患者を中心に検証する。具体的には、小関医師が該当する患者から採血して、全血のまま山梨大学に送付し、血小板CLEC-2の発現などを解析する。当院のGSD患者血小板は、抗CLEC-2抗体4A10を用いたフローサイトメトリーでは大部分が反応しなかったが、他の抗体ではコントロール血小板と同様に反応がみられた。4A10のエピトープに異常が認められると考えられるため、4A10のエピトープ解析を築地講師と大石助教が行う。必要なペプチド合成などは外注委託する。当院患者のCLEC-2遺伝子には異常が認められなかったため、当院患者の場合、CLEC-2の異常がGSDの原因ではなく、二次的に生じていたり、増悪因子となっている可能性を考える。例えば、GLA/GSDでPDPN陽性リンパ管組織が血中に大量に存在するためCLEC-2がsheddingなどの変化を受けるとの仮説を立て、マウスにリコンビナントPDPNを投与して、CLEC-2の変化を検証するなどの実験を行う。 小関医師の他の患者に、CLEC-2異常とその遺伝子異常が認められた場合、斉藤教授がiPS細胞を作成し、中村講師が節か巨核球細胞株を作製する。また、もしリンパ管内皮の遺伝子異常に原因があることが予想された場合は、斉藤教授が作製した患者由来iPS細胞を用いて、高山准教授が間葉系幹細胞からリンパ管内皮を作製する。
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