研究課題/領域番号 |
23K27645
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補助金の研究課題番号 |
23H02954 (2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
鍬田 伸好 (東伸好) 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究所 難治性ウイルス感染症研究部 室長 (60361218)
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研究分担者 |
林 佐奈衣 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特任助教 (10597587)
熊本 浩樹 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (80297019)
青木 宏美 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任助教 (90970351)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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キーワード | HBV感染症 / ヒトB型肝炎ウイルス / 抗ウイルス薬開発 / ヒト肝キメラマウス / cccDNA / B型慢性肝炎 / HBV / 新規核酸系抗HBV化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
HBV感染により惹起されるB型慢性肝炎(CHB)の治癒において最大の障壁はcccDNAの存続である。cccDNAはHBV感染に続いて肝細胞核内で形成さ れHBV 複製の鋳型として機能、新たに産生されたHBV-DNAが持続的にrecruit/補充されることでcccDNAが存続する。cccDNAの低減・排除は既存 の核酸アナログ製剤(NAs)では不可能とされる。本研究ではHBV複製完全阻止とcccDNA枯渇によるB型肝炎治癒機序についてヒト肝キメラマウ スを用いた評価系を確立して解析を行う。 本研究により得られるデータは、抗HBV治療とCHB治癒の病理学・抗ウイルス学的基盤を形成すると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究ではヒトB型肝炎ウイルス(HBV)のウイルス複製を完全に阻止する可能性を有する新規薬剤候補化合物:新規核酸アナログ(E-CFCP)とHBV慢性感染ヒト肝キメラマウス(PXBマウス)を用いてcccDNA (covalently closed circular DNA) 枯渇によるB型肝炎治癒を検討するための評価系を確立し 解析を行うことで、B型肝炎治癒に係る抗HBV治療とB型慢性肝炎治癒の病理学・抗ウイルス学的基盤を形成することを目的としている。cccDNAはHBV感染に続いて肝細胞核内で形成されHBV 複製の鋳型として機能し、新たに産生されたHBV-DNAが持続的に核内にrecruit/補充され一定数が形成維持されている。 このようにcccDNAは感染細胞核内でエピソームとして、あたかもHBVにとってのゲノムのように存続することからHBV感染によって起こるB型慢性肝炎の治癒にとって最大の障壁となっている。 本年度はPXBマウスに2x10<5> copies/mouse でHBVを接種し8週間継続飼育で血中HBV-DNAレベルが 2x10<7>-8x10<8> copies/mLのHBV慢性感染PXBマウスを作製した。続いて作製したHBV慢性感染PXBマウスへ新規核酸アナログE-CFCP 2mg/kg の9週間1日1回連続経口投与. (実験コントロールとしては既存の核酸アナログであるエンテカビル(ETV) および 薬剤なし溶媒液のみの投与群をおいて同様に長期間1日1回連続経口投与を実施) 1週間に1回採血を行い血中HBV-DNAレベル, HB 関連タンパク量を継続測定した。最終剖検時には全血、肝臓組織等サンプリングを行った。採取した試料の解析を可能な限り前倒して開始し、研究を進展させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、令和5年度に、HBV感染PXBマウスを用いた実験を実施し解析のためのサンプリングを行い、翌年令和6年度から採取したサンプルの解析を開始する予定であった。 上述の様に令和5年度はHBV慢性感染PXBマウスを作製し、HBV慢性感染PXBマウスへ新規核酸アナログE-CFCP 2mg/kg の9週間1日1回連続経口投与を行い 1週間に1回採血や最終剖検時の全血、肝臓組織等サンプリングを行っただけでなく、採取した試料の解析を一部進め、E-CFCPがHBV慢性感染PXBマウスの血中HBV-DNA量をETVよりも強力に低減する傾向を示すこと、他方でE-CFCP ETVどちらも薬剤なし溶媒液のみのコントロール投与群に比して HBV関連タンパク質量の増加を抑制する傾向があることを明らかにした。また、肝組織中のcccDNAの測定にも着手し、少なくとも薬剤なし溶媒液のみの投与群に比してE-CFCPはHBV慢性感染PXBマウス肝臓組織内のcccDNA量を低減する傾向があることをdroplet digital PCR法(絶対定量法)で示した。 以上のことから令和5年の研究進度および現在までの達成度は「予定より進んでいる」と考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に実施した「HBV感染PXBマウスを用いた実験」で得られたサンプルの解析を先に進める。具体的には 肝組織中のcccDNA 量の測定およびデータの統計解析と肝臓組織レベルでのHBV-DNA残存状態の解析等を行う。HBV 複製完全阻止を 確認するため核酸アナログ投与によって生成されたtruncated HBV-DNAの程度について HBV-DNAの領域特異的なプライマーを設定しdroplet digital PCR法(絶対定量法)で測定する。さらに HBV 複製完全阻止およびcccDNA枯渇のメカニズムを明らかにするため肝組織内の核酸アナログ残量もしくは取り込み量についても nano-LC/MS/MS等を用いて仔細に解析する。一方でE-CFCPは新規化合物のため解析の際に追加で必要になった場合は研究分担者の化学合成研究者に合成を依頼する。上述のサンプル解析結果から一定の結論を導き出し、学会報告並びに学術論文として発表する。
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